ぶりかまめし 吹雪(1200円/富山県/B-4)
初めて京王駅弁大会に行く人に一弁勧めるという時は、僕はいつも富山の「ぶりかまめし」にしています。柔らかく煮こまれたぶりかまの味わいとボリューム、そしてそれを受け止めるワサビ酢飯の美味しさ。誰にでも満足してもらえる駅弁だと思うのですよ。魚介好きはもちろん、肉好きの人だって、この食べごたえは十分に満足してもらえます。
というわけで、毎年リピート必須なぶりかまめしですが、今年はなんと新作が登場。その名も「ぶりかまめし吹雪」。
なんと蟹が加えられているというじゃないですか。さらに薄切り蕪の酢漬けもプラス。それで「吹雪」というわけですか
駅弁大会のブースでは、通常のぶりかまめしは実演なのですが、こちらの吹雪は輸送ということで、少し出遅れると売り切れてしまったりします。なので、終了日一日前というギリギリになってようやく入手しました。
さて、ぶりかまめし吹雪。どーんとボリュームあるぶりかまがご飯の上を覆い尽くしているのは通常どおり。しかし、通常版の白えびとワカメ、ガリのかわりに、に薄切り蕪の酢漬けと、そしてほぐした蟹の身がご飯の上にまぶされています。ご飯はワサビ酢飯ではなくて、通常の酢飯になっていますね。
柔らかなぶりかまの食感と蕪のサクサクとした歯ごたえの対比がなんともいいですね。。蕪の歯ごたえで、雪の上を歩く時の感覚を表現しているとか。というと、これはむしろ蟹よりも蕪が重要なのかもしれない。実際、蟹はいまひとつ存在感がないかも。いや、もう、蟹ってだけで嬉しいもんなんですけどね。
これはもう好みの問題になっちゃうと思うんですけど、個人的にはぶりかまの甘辛い味をさっぱりさせてくれるワサビご飯の方が合うような気がするので、通常版に軍配があがるかなぁ。蕪のサクサク感も捨てがたいんですが。
いずれにせよ、こちらの吹雪も、誰にオススメしても間違いない名弁だと思いますね。
三味牛肉どまん中(1300円/山形県/B-3)
京王駅弁大会でも毎回安定して売上上位を占め、もはや駅弁界の王者の風格も漂う牛肉どまん中。だって、美味いんですもん。毎回食べる度に「あー、これだよなー」と再確認する旨さ。
ただ、数年前から牛肉どまん中には、通常の醤油味に加えて、しお味やみそ味、さらにはカレー味なんてバリエーションが登場していて、それらのハーフ&ハーフなんてのも出てるんですよ。それどころか海鮮丼やうなぎ丼、牛タン丼のハーフ&ハーフもあるらしい。東京駅なんかではそっちも買えるのに、京王駅弁大会では、ずっと醤油味のみ。
駅弁は京王駅弁大会で買うものという信念の僕としては、京王でのどまん中バリエーションの登場を心待ちにしていたのです。ただ、実演という形態上難しいのかな、と諦めていたのも正直なところですが。
ところが今年は、通常版に加えて「三味牛肉どまん中」なんて新製品が登場したじゃありませんか! ハーフ&ハーフどころじゃなく、一個で醤油、しお、みその三味が楽しめるというのですよ。
大きさは通常版と同じですが、十字に区切られて四等分され、そのひとつひとつのマスに醤油味、しお味、みそ味、そして通常版と同じくかまぼこや玉子焼き、煮物などが入っています。
さて、こういう時は味の薄いものから濃いものへ食べていくのが鉄則ですね。まずはしお味から。うん、あっさりとした味付けの分、牛肉そのものの味がよくわかりますね。というか、こんなに美味しい肉だったのかーと改めて思うくらい。
そして醤油味。これはもう安定の旨さ。甘辛さのバランスも絶妙なんですよね。
最後はみそ味。ちょっとピリ辛ですね。これはビールに合いそうだな。
というわけで三味。ひとつの味は三分の一の量なわけで、三口ほど食べるともう終わっちゃうんですよね。なので、主食というよりも、おかず感がある感じ。タレのしみたご飯がすでにおかずっぽいですしね。
それぞれ、もうちょっと食べたいなーという気持ちが残るのも正直なところ。満足感を得るには、やっぱりひと味、せいぜいハーフ&ハーフくらいの量が必要なのかな、とも思いました。でも、これ、酒のつまみ弁としては最強な感じがします。ちょっとづつ、色んな味を楽しみつつ、ビールをゴクリ。日本酒でもよさそう。あー、飲みたい!
そして、他の味も美味しいけど、やっぱり醤油だよなーという結論に落ち着きそう(笑)。
甲州かつサンド(鶏)(680円/山梨県/B-6)
事務所で駅弁飲みをするなら、すき焼き重だけじゃなくて、なにか「うまいもの」の方でもつまみを買っていこうかな、と物色していたのですが、結局選んだのは駅弁の「甲州かつサンド(鶏)」でした。
甲州かつサンドは、牛・豚・鶏とあり、今回はチラシにも掲載されている極厚なんてのも初登場。これにも惹かれましたが、結局一番好きな鶏にしました。牛・豚・鶏と一通り食べたんですけど、最も美味しかったのは鶏なんです。
その理由は、付いてくる柚子胡椒とマヨネーズ。チキンカツに柚子胡椒とマヨネーズをつけて食べると、これがもう絶品なんですよ。鶏と柚子胡椒の組み合わせ、大好きなんですよねー。
つまみにする時は、包丁で二つに切っておくと食べやすくてオススメです。
やー、これがビールに合うのなんのって。
そして、パリッコが買ってきた「鮎屋三代」の鮎の甘露煮の「くずれ」なんかもつまみつつ、ビールをグイグイ。あー、幸せ。
北さつま牛・鹿児島黒豚贅沢すきやき重(1280円/鹿児島県/A-6)
盟友パリッコと駅弁大会で駅弁を買って来てうちの事務所で飲もう、という話になりました。パリッコの都合で会場に行けるのが18時過ぎ。ううむ、この時間だと狙ってた駅弁は大方売り切れちゃってるな。さてどうしようか……。輸送ブースと実演ブースを悩みながらウロウロ。
飲みながら食べるわけだから、それに合った駅弁ということだよな。まずはビールか。となくると、魚介より肉かな……と、方向性を絞っていって、候補として上がったのが鹿児島の「北さつま牛・鹿児島黒豚贅沢すきやき重」と、兵庫県の「神戸名物ステーキ&しゃぶしゃぶ弁当」。ううむ、牛&豚のすき焼きか、ステーキ&しゃぶしゃぶか。なんとも贅沢な対決ではありませんか。悩んだ末に「北さつま牛・鹿児島黒豚贅沢すきやき重」を選びました。理由はすき焼きの方が下のご飯に味がついて、つまみになるんじゃないかと考えたからです。チラシ一面の「新作肉弁当対決」の駅弁でもありますしね。
さて、すきやき重。ご飯が全く見えないほどにびっしりと覆い尽くされた牛肉と豚肉。サブは玉子焼きと紅しょうがだけという潔さ。まずは豚から行きましょう。む、むぅ、美味い。続いては牛、こ、こっちも美味い。
とにかく肉自体の味がよいですね。噛みしめると溢れ出てくる肉の味。黒豚は脂の甘みと柔らかさ、さつま牛はしっかりした肉の歯ごたえ。どちらもビールにぴったり。そしてその味の染みたご飯もまた合うんですよ。私の読みは間違いなかった、と満足しながら、あっという間に完食です。
あー、やっぱり美味いなー肉。駅弁は魚介よりも肉派なんですよね。
さなえばっちゃんのおこわ弁当(1280円/岩手県/D-6)
前半戦のみ出店で目をつけてた駅弁はあらかた買えたかな、と思ってたんですが、うっかりしてました。「さなえばっちゃんのおこわ弁当」も前半までじゃないですか!
昨年も(僕らの間で)大評判となった駅弁なんです。やばい、どうしよう。前半最終日は5時で閉場しちゃう。間に合うか? でも友人が事前に買っておいてくれて、なんとか入手することが出来ました。持つべきものは駅弁仲間。
その日は夜に映画「Denki Groove The Movie? ~石野卓球とピエール瀧」を観に行く予定だったので、ネットカフェに入って個室で食べることにしました。
鮭の塩焼きにホタテの照り焼き、そして煮物とおこわという地味極まりない駅弁です。パっと見ると、これで1280円って高いんじゃない? とすら思います。でも一口食べればわかります。おかずのひとつひとつまで手を抜かない美味しさ。そしてそれ自体がおかずみたいに美味しいおこわ。
派手なおかずは無いけれど、きちんと作ればきちんと美味しい。そういう駅弁のひとつの理想の形がここにあるんですよね。
駅弁の良心とまで言いたくなります。駅弁大会には、必ず「さなえばっちゃんのおこわ弁当」があって欲しい。そう思います。
いや、しかしうっかりしてました。これで食べ損なってたら、一年間後悔するところだった!
ほっかぶり寿司三品盛り(1280円/北海道/B-6)
えーと、実は昨日、問題の滊車辨當を食べているのですが、あれはネタバレ駅弁なので(笑)、レビューは会期後に公開したいと思います。
さて、僕が京王駅弁大会で歴代で一番食べてる駅弁といったら、まぁ、これですね、ほっかぶり寿司。酢漬けにしたイワシの上に甘酢漬けの薄切り大根をのせたお寿司なんですが、爽やかな酸味と大根のサクサクした歯ざわりが美味いのなんの。見ればつい食べたくなっちゃうお寿司なんですよ。京王駅弁大会でも寿司弁当は多いけど、毎回買いたくなるというのは、このほっかぶり寿司だけですね。
今年は前半のみの出店ということなので、前半最終日の今日、慌てて購入。いわしだけじゃなく、さばのほっかぶりや、炙りサンマ、サーモンなどの詰め合わせもあって、いつも悩むのですが、今日は、いわしとさばのほっかぶり+づけサンマ+炙りサンマの組み合わせにしました。サーモンも美味しいから悩むところなんですけどねぇ、ホント。
ああ、これこれ。これですよ。口に入れると思い出す、あの味。炙りサンマの香ばしい甘みやづけサンマの鮮烈さもいいけれど、やっぱりいわし&さばのほっかぶりの爽やかな味わいですよ。さばの方は脂が強い分をシソを巻くことでカバー。これがまた美味いんだ。
あー、毎年、ほっかぶり寿司が食べられるうれしさよ。
カニだのウニだのイクラだの華やかな食材が目白押しの北海道ですけどね、一番美味しい駅弁はこれだと断言しますね、僕は。
さて、後半戦もがんばりましょう。
ながさき鯨すき弁当(1296円/長崎県/A-5)
毎年買ってる大好きな「ながさき鯨カツ弁当」ですが、今年は「ながさき鯨すき弁当」も売っているということで、こっちを買ってみました。
メインの鯨すき焼きに加えて、鯨カツ、鯨竜田揚げも乗っているというのがお得感あるんですよね。
すき焼きは甘辛のタレで煮こんであり、柔らかいですね。玉ねぎとしらたきも入っていて、すき焼き感あります。
竜田揚げも、給食で鯨のかりん揚げがよく出ていた世代としては懐かしい味です。
しかし、しかし! 一切れ乗っている鯨カツが、やっぱり美味しい。もっと食べたいという気持ちになります。
ああ、いつもの「鯨カツ弁当」にしておけばよかった……というのが正直な気持ち。いや、横で売っていた鯨カツのバラ売りを一枚トッピングしておく手もあったな。
まぁ、とにかく鯨カツが美味いんですよ、ホント。
ところで、店員さんがしつこいくらいに「温めずにそのままお召し上がり下さい」と言ってたんですが、温めると臭みが出ちゃうのかな? もちろんちゃんとそのまま食べましたよ。