ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

1986年の繁華街マップ

『日本エロ本全史』を出してからも、ずっとエロ本収拾は続けているわけなんですが、創刊号だけでも、もう30冊以上コレクションが増えております。しかも、そのうち15冊くらいは、日本エロ本史においても重要な雑誌なんですよ。
 ああ、早く『日本エロ本全史』の増補改訂版出してぇ!(笑)。

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ナイトマガジン創刊号 1986年6月号(ナイトタイムス社)

 というわけで、先日、『ナイトマガジン』の創刊号を入手しました。『ナイトマガジン』と言ってもピンと来ないかもしれませんが、これは『ナイタイマガジン』の創刊時の誌名なんですね。
 もともとは1981年に創刊された風俗新聞『歌舞伎町タイムス』の月刊誌版として『ナイトマガジン』が1986年に誕生し、それが『ナイタイマガジン』となり、2009年まで風俗情報誌の代表的存在として刊行されていたのです。
 ちなみに『ナイトマガジン』創刊の1986年には、『シティプレス』も創刊されています。二大風俗情報誌が同じ年に創刊されていると思うと、この1986年という年は風俗業界にとってもターニングポイントだと言えそうですねぇ。
 といっても、今の風俗嬢のほとんどが『ナイタイ』も『シティプレス』も知らないんだろうけど(笑)。

 さて、その『ナイトマガジン』創刊号に、当時の風俗街のイラストマップが掲載されてるんですよ。風俗店だけじゃなくて、飲食店なども描かれています。これがもう、懐かしいのなんの。銀行なんてみんな名前変わってますし、映画館もほとんど残ってない。それでも、意外に飲食店は老舗として残ってる店が結構あったりして、眺めているだけでも楽しくなります。
 せっかくなので、ちょっとお見せしたいなと思いまして……。

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続おやじびでお 第8話 AV雑誌ノスタルジアの巻

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 先日、「ベストビデオ」*1が休刊しました。1986年創刊で、25年の歴史でした。創刊号のグラビアは沙羅樹*2ですか。うーん、時代だなぁ。

 ここ数年で「オレンジ通信」*3「ビデオメイトDX」*4と老舗がバタバタと倒れ、これでレンタル時代からのAV雑誌で、現存しているのは「ビデオ・ザ・ワールド」*5だけになってしまいましたね。雑誌業界が厳しいと言われるようになって久しいわけですが、なんとも寂しいものです。特にAV雑誌黄金時代を知る者にとっては……。

 というわけで、今回はAV雑誌の思い出について書いてみましょう。いわゆるAV誌と言われている雑誌の中で、最も古いのは1981年末創刊の「オレンジ通信」でしょう。その後「アップル通信」*6さくらんぼ通信」「バナナ通信」など、フルーツ+通信のタイトルをつけた類似誌をたくさん生むほどの人気を博しました。
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 しかし、創刊当初の「オレンジ通信」は、実はAV雑誌ではなかったんですね。AVはむしろ脇役で、ビニ本裏本、そして裏ビデオの紹介の方がメインでした。そう、80年代の半ばくらいまでは、裏ビデオの方が勢いがあって、一般のAVは「表ビデオ」なんて言い方をされていたほどなんです。これは当時の「通信」系雑誌全てに共通していました。

*1:三和出版発行。女の子にスポットをあてたオーソドックスな作りで安定した人気があった。創刊時は「ベストマガジン」モロパクリな表紙だった。現場取材中心の別冊「スーパードキュメント」は継続している。

*2:1986年にデビューしたAV女優。村西とおる軍団の一員として活躍。2006年に復活した。

*3:東京三世社発行。27年という長寿を誇ったAV雑誌の代表格。後期は裏モノ情報がメインになっていった。ちなみに創刊前に同名の少女漫画があるが、誌名はそこから取られた?

*4:コアマガジン発行。いち早くインディーズ路線を開拓。思い入れたっぷりの読み応えのある記事が多く、業界からの支持も厚かった。

*5:コアマガジン発行。AVを作品として評価するというオンリーワンの道を歩む。裏モノガイド誌としても定評がある。今でもDVDをつけないという硬派な姿勢もステキ。

*6:三和出版発行。オレ通と並ぶ老舗誌だった。「女体解剖実験室」という人気企画が大変エロくて実用度も高かった。

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「ビデオ・ザ・ワールド」休刊に寄せて

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「ビデオ・ザ・ワールド」(コアマガジン)が休刊しました。その話は昨年末から聞いてはいたのですが、本来なら8月号まで発売される予定だったといいます(その後、誌名だけ残して外部編集に引き継ぐ予定もあったらしい)。しかし、急遽この6月号で休刊となってしまいました。そのため、この号では休刊号にも関わらず、歴史を振り返るような企画もなく、連載の中には「あと二回」といった表記もあったりして、突然の休刊だったことがわかります。どうやら4月19日に発行元のコアマガジンの「ニャン2倶楽部」編集部、「コミックメガストア」編集部の家宅捜索の影響のようですが、30年の歴史を持つ雑誌の終幕としては、あまりにもあっけないものでした。

 カンパニー松尾監督はTwitterで「時代の流れとはいえ、唯一批評性があっただけに残念です。悔しいです。ワールドが一つの指針であり、ワールドに評価されたくて撮ってた時期もありました。無念です」とつぶやき、長年執筆していた東良美季さんはBlogで「僕というモノカキを作ってくれたのは、この『ビデオ・ザ・ワールド』だと思っている。」と語っています。
 僕らアダルト系ライターにとっても、「ビデオ・ザ・ワールド」は特別な雑誌でした。特に90年代前半のオルタナティブAVムーブメントにおいては、女優ではなく、あくまでも作品を批評するという「ビデオ・ザ・ワールド」の編集姿勢は大きな役割を果たしました。「ワールド」で評価されている作品は必ず見なければ、と思いましたし、「ワールド」で注目された監督はチェックしました。そして何よりも、「ワールド」で書きたい、それがすべてのAVライターの夢だったといっても過言ではないでしょう。

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創刊号50冊で振り返るエロ雑誌40年史

「創刊号50冊で振り返るエロ雑誌40年史
 ご無沙汰しております。前回のエントリーが7月末だから丸二ヶ月もさぼっちゃいました。こんなにBlogかかなかったの、初めてかもしれないなぁ。特に書かなかった理由というのは無いんですが、こういうのは習慣なので、一度書かなくなるとなかなか腰が上がらなくなっちゃうんですよね。
 ライブだのイベントだのは色々やっていたのですが、その辺はFACEBOOK PAGEの「安田理央の部屋」の方にアップしてました。今後も最新情報などはこちらの方を見ていただけると幸いです。
 ちなみに10月は、12日にネイキッド・ロフトにて、カンパニー松尾バクシーシ山下平野勝之、ゴールドマンを招いて「90年代初頭のAVに何が起こったのか?」を、そして20日にはおなじみ野獣のリリアンで下北沢TREEでLIVE、さらに24日には、新たに結成したファンクバンド、Roswellsの初LIVEがあります。こちらは四谷アウトブレイクにて。さらに28日には渋谷Bar Issheeでの小野島大さん主催のイベント「Bring The Noise!」で久々にDJやります。

 さて、現在発売中のアサヒ芸能にて「創刊号50冊で振り返るエロ雑誌40年史」という12ページの大特集を監修しました。監修といっても、雑誌集めから構成、原稿までほとんど一人で全部やってるんですが(笑)。これはタイトルどおりに、50冊の時代を代表するエロ雑誌の創刊号の表紙を並べて解説したという資料的要素の強い特集です。
 取り上げた雑誌は、Pocketパンチ Oh!、S&Mスナイパー、GORO、映画の友、プレイボーイ日本版、写真時代、ビリー、アクションカメラ、スコラ、写真時代Jr、日本版ペントハウス、スーパー写真塾、ベッピン、ザ・ベストマガジン、クラッシュ、デラべっぴん、夜遊び隊、プレイガール、ウレッコ、すっぴん、ボディプレス、ヘイ! バディー、スクリュー日本版、DOLIVE、ビデオ・ザ・ワールド、アップル通信、ビデオボーイ、ビデパル、ガールフレンズ、ビデオメイトDX、ジャンクショップ、GOKUH、ニャン2倶楽部、クリーム、TOPAZ、BIG4、お尻倶楽部、Vacca、THE TENMEI、SEX DOLLS、ペントハウスjapan、お宝ガールズ、おとこGON!、WAM、ファイヤー、スマートガールズ、TENGU、サルシキ、平口広美のフーゾク魂、ソフト・オン・デマンドDVDの50冊。それからコラムでアサヒ芸能、キングコング、危ない1号、PENTジャパンスペシャルを取り上げています。
 基本的にエポックメイキングとなった雑誌をセレクトしたつもりなのですが、僕のコレクションがベースになっているもので、どうしても偏りが出ちゃってるんですよね。白夜系、英知系がやたらに多いとか、サン出版系が入ってないとか……。解説も全然書きたりなかったので、いつかムックか何かの形でもっと充実した形でまとめられたらいいなと思っております。あと、「ニャン2倶楽部」の創刊は1989年なのに、なぜか1997年にしちゃっているという痛恨のミスもあったりして。ああ、なんで気づかなかったんだろう……。
 あえて創刊号に絞ったのは、エロ雑誌というのは路線変更が多いのが面白いなと思ったからです。これは特集の中のコラムでも書いたんですが、エロ雑誌は売れなければ、さっさと路線を変えちゃうものなんですね。あんまりプライドが無い(笑)。だから歴史の長い雑誌などは、時期によって全くスタイルの違う雑誌になっていたりする。有名な雑誌でも創刊号はまるで別物だったりすることが珍しくないんです。雑誌はつくづく生き物なんだなぁ、と実感します。当時、この辺の雑誌を愛読していた人は、創刊号を見て「へー」って思うこと多いんじゃないですかね。
 ま、とりあえずエロ雑誌の創刊号ばかりをこれだけ一挙に並べた特集というのは前代未聞だと思います。もうすぐに次の号が出ちゃいますので、興味を持った方はぜひ急いでお買い求め下さいませ!
 最近、僕はこんな感じの仕事ばかりしてますね。冗談で名乗った「アダルトメディア研究家」そのものになってきました。でも、エロメディアも「まとめ」の時期を迎えたってことは、何か寂しい気分にもなったりして。

「絶滅寸前! 愛と涙のエロ本30年史!」(EX大衆11月号)


 現在発売中の「EX大衆」11月号(双葉社)で、「絶滅寸前! 愛と涙のエロ本30年史!」という特集を手がけました。
 80年代、90年代、00年代という30年間のエロ雑誌の歴史の中で、面白い企画や重要な雑誌などを紹介していくというものです。
 ちなみにとりあげた雑誌は、投稿写真、ボディプレス、平凡パンチ、スクリュー、ベストマガジン、SMスナイパー、写真時代、ビデオ・ザ・ワールド、デラべっぴん、CG MOMO、いたずら倶楽部、WAM、桃クリーム、お宝ガールズ、夜遊び隊、THE TENMEI、全て原寸大、おとこGON!POWERS、TENGU、ベストマガジンスペシャル、YO!、平口広美のフーゾク魂、オトコノコ倶楽部、アイドロイド、ジャンクショップ、スコラ、キングコング、TOPAZと、メジャーもマイナーもごっちゃごっちゃであります。
 時代の変化によって、エロ雑誌の誌面がどう変わっていったのかはなんとか表現できたんじゃないかな。

 最後にはラッシャーみよし師匠と僕の対談などもあったりするんですが、その中で「今のエロ本が、あの当時にあったら神ですよ。それなのに今は売れないっていうんだから皮肉だよね」とみよしさんが言ってるんです。
 確かにこの特集自体は「むかしのエロ本は、こんなにメチャクチャなパワーがあった!」というテーマがあるわけですが、実は今のエロ本の方が実用性はずっと高いと思うのですよ。面白くはないけれど、実用には向いてる。ぶっちゃけて言っちゃえば、作り手としてはつまらなくなったけれど、ユーザーにとってはよくなってるんじゃないか、と。


 これ、AVなんかでも同じなんですよね。仕事でここ30年のAVを見返したりしてるんですが(最近、そんな仕事ばっかりなんです)、昔のAVって本当にひどい。特に単体物なんて、よくこれでみんな我慢していたなというレベル。
 もちろんモザイクがデカイとか、女の子のレベルがイマイチとかそういう部分もあるんですが、やっぱりちゃんと「エロ」を撮ろうとしてないなという気がするんですよね。作り手が自分たちだけで、楽しんでる。もしくは手を抜いてる。そうとしか思えない作品ばかりなんですよ、今の目で見ると。そんなドラマはエロと関係ないだろう、とか、その笑えないコメディやめろ! とか、見ていてイライラしちゃうんですよね。

 ちょうど今週の「週刊ポスト」で「AV全史」というかなり気合の入ったAV史の特集をやってるんですが、「今のAVは即物的だ」「昔はよかった」みたいなニュアンスが感じられるんです。
 でも、ユーザー視線で見ると、やっぱり今のAVの方が断然レベルが高い。異常なまでに実用性が高いですよ。
 ハードなものはハードなもので、やりすぎてる感もありますが、例えば一番売れっ子である南★波王監督の一連の作品なんかは、シンプルに濃厚なセックスをきっちりと撮ってます。「今のAVは即物的だ」って言ってる人は、ちゃんと南★波王監督の作品を見てるのかと思いますね。
 
 もちろん制作側から見れば、環境はかなり厳しいものになってます。どんな大手でも、ちゃんと売れると確信がない作品は出せません。昔みたいに冒険はできないんです。だから、面白いことはできない。90年代前半みたいにアナーキーなAVは作りづらい状況ではあります。

 ま、そんな作品を喜ぶのは僕たちだけだからなぁ。オナニーツールとして、お金を払って買うユーザーにとっては、そんなのは「ハズレ」でしかないわけですからね。
 漫画「ラーメン発見伝」で「ラーメンに古き良き時代はない」って言ってたのと、近いものがありますね。

 とか言いつつも、僕は昔のエロ本やAVは大好きなんですよね。でも、それは好みとかノスタルジーとか、別の視点で見ての評価ということなので、実用的なクオリティと言う面で考えれば、今の方が断然上だと思っております。


 それなのに今は売れないっていうんだから皮肉なんですよね……。


 ところで「EX大衆」の「エロ本30年史」特集、表紙ページに福戌氏による「1/6落ちていたエロ本フィギュア」が掲載されておりまして、これが素晴らしい完成度なんですよ。
 あー、こういうバカバカしいパワー、やっぱり楽しいんだよな……。

古本屋ツアー 桜台〜池袋

 先日、海野やよいさんたちと練馬最強の肉料理居酒屋「友愛」に行った時に帽子を忘れてしまい、それを取りに自転車で練馬まで行ったついでに、久しぶりに桜台の古本屋・島書店を覗いたんですね。

ここは大量の本、雑誌、ゲーム、DVD、VHSが山と積まれた秘境系の古本屋。もちろんエロ本もいっぱい。こういう店は僕にとって最高にウキウキする場所なんですね。小一時間吟味して、「アゲイン79年10月号」と11月号、そして「ボディプレス86年7月号」を購入いたしました。
「アゲイン」はみのり書房から出ていた、いわゆるニューウェーブ系漫画誌

10月号は「ニューウェーブ7人の女」特集として、さべあのま柴門ふみ、森田じみい、佐藤晴美、松原幸子、横山洋子、高野文子が取り上げられています。今では違和感ありますけど、柴門ふみもニューウェーブの一人だったんですよね。この号に出ているニューウェーブ作家カタログには、高橋留美子もニューウェーブに分類されてますね。

そして11月号は「ニューウェーブビック4登場」として、大友克洋ひさうちみちお宮西計三高橋葉介が。大友克洋は、あの少女漫画の怪作「危ない生徒会長」を寄稿してますね。あと、コミック界のごしっぷ少女として、まついなつきさんが「こみっくあげいん ぱあてぇ☆れぽあていんぐ」という凄まじいルポ漫画を書いておりますな。これは恥ずかしい。いひひひ。

そして「ボディプレス」は秋元ともみ特集号(でも8ページだけ)。この号も、もちろん持ってるんですけど、200円と安かったので。「ボディプレス」なら、何冊でも欲しいよ! だって素晴らしいんだもん。あ、ちなみに「アゲイン」も各100円でした。素晴らしい。
 というわけで、久々に島書店を堪能したら、古本屋熱が高まって来ましたよ。ちょうど、ここんとこエロメディアの歴史にまつわる本を立て続けに読んでいるもので(後日、まとめてレビューします!)余計に、昔のエロ本を書い集めたくなってきちゃいました。ああ、事務所移転の時に、かなり整理したのになぁ。
 てなわけで翌日、自転車で古本屋巡りをすることにしました。狙いは主に80年代のエロ雑誌。江古田にも「銀のさじ書店」という素晴らしい古本屋があるんですが、ここはよく覗いてるので、東長崎からスタートにします。
 東長崎駅近くの涌泉堂から。

ここは新しめのエロ本が充実していて、値付も安くていいのですが、今回は古いエロ雑誌目当てだから、めぼしい物は無し。でも実用目的で行くにはいい店ですよ。
続いて、椎名町のみのる書房。

ここはエロ本は無しなんですけど、店の佇まいが好きですね。正しい古本屋って感じ。
あと、椎名町ではフタバ図書GIGA椎名町店も覗いてきました。新刊と古書とゲームとDVDと…という大型店ですが、最近レンタルブックも始めたのね。
さて、本命の池袋です。それほど古本の印象はない池袋ですが、大きい街だけに結構あるんですよ。
 まずは目白寄りの往来座

ここはエロ無しですが、落ち着いていて綺麗な店なので、ちょっと離れているけれど、つい寄りたくなってしまいますね。
 さて六又交差点近くの光芳書店。

数年ぶりだけど、変わってないなぁ。エロ本、エロ雑誌はかなり充実していて、あの「プ◯トマト」なんかもあるんですが、全体的に神保町価格というか、結構プレミア値段なんですよね。実はこの日、財布を見たら3千円しか入ってなくて(笑)、銀行で下ろしてきてもいいんだけど、せっかくだから出来るだけ安物買いで攻めようという気持ち。「SMスピリッツ92年7月号」が395円だったので購入。

「SMスピリッツ」は、初期ゴールドマンとタッグを組んでいた野田大和が凄まじいアートディレクションをやってた雑誌なんですけど、購入した号は、もう野田さんが降りてたのか、普通のSM雑誌になってましたね。残念。調べとくべきだったな。
 続いて、K1-BOOKSへ。

お、全品30%オフセールだ。これは嬉しい。ここもエロ雑誌が大変充実してます。「写真時代Jr87年6月号」と「割りきった私たち総集編4」「人喰人種の国 秘境パプアニューギニア」、そして97年に出した自分の本 「OPEN&PEACE」があったのでこれも購入。あんまり手元に無いから。298円でした(泣)。

「写真時代Jr」は、これが最終号のようですね。A5サイズのエロ本の走りでした。巻頭グラビアの芹沢直美がスレンダーでいいなぁ。あ、ここにもまついなつきさんがイラストを!

「割り切った私たち」は三和出版の投稿写真ムックなんですが、ポーズがエゲツなくて、肛門が無修正だったりしたので、当時愛読してました。90年代に入ってるけど、懐かしくて購入。

「人喰人種の国 秘境パプアニューギニア」は、戦時中にニューギニアに行ったカメラマンが十数年後にもう一度現地を訪ね、さらに奥地の人食い人種の部落まで行ったというルポ。著者のキャラクターがかなり、水木しげるさんっぽいので、読みながら脳内で水木漫画に変換してました。かなりエグい話も満載で大変面白かった!

そして僕の「OPEN&PEACE」。100人の風俗嬢に大股開きでピースさせたという写真集(笑)。撮った写真を全部掲載するというかなりアバンギャルドな編集。結構気に入ってたんだけど、売れなかったなぁ。
 そして、西口に回って池袋古書館へ。

えーっ、今月20日で閉店! そのため全品30%オフというのは嬉しいけど、またいい古書店が無くなるというのは寂しい限り。ここも神保町価格なんですけど、3割引きだとだいぶ安くなるよな。おおっ、欲しい雑誌があったけど、ちょっと高いな。どの号がいいのかも、調べた方がいいし。というので、この日は何も買わずに引き上げることに。後日また来よう。

 帰り道の立教大学近くの夏目書房もちょいと覗きますが、ここもエロは無し。ま、大学の近くだからね。
 帰ったものの、池袋古書館で見つけたあの雑誌が気になって仕方がない。というわけで、翌日、また行っちゃいましたよ。
 それが「少女アリス」。ロリコンブームの先駆けとなった伝説の自販機本。現在ネットゲリラとして活躍中の川本耕次さんが作ってた雑誌です。これ欲しかったんだよなー。3150円と高めでしたが、30%オフだと2205円。これなら資料的価値もあるし、買っちゃうか。事前に調べて、川本さんの編集していたのが15号までだとわかっていたから、9号を購入。

 時代的にモデルの質はアレですが、川本さんの写真はいいなぁ。モデルは18歳以上なんですが、ちゃんと少女として映ってるんですよね。吾妻ひでおの漫画も最高。
あと、「THE TENMEI」の6号、19号も購入。


ヘアヌードバブルの徒花という印象が強い「THE TENMEI」ですが、長友啓典のアートディレクションが素晴らしいのと、狂ってるとしか思えない切れのコピー、そして本気でエゲツない加納典明の写真。こんなのが売れまくってたんだから、あの時代は明らかにおかしかったよなー。「THE TENMEI」、コンプリートしてみようかな。どこでも安いし(笑)。

あと、まだ「GON!」の別冊だった「おとこGON!」。凄まじいばかりのバカ&エッチのパワー。20世紀最後のエロパワーだな。21世紀に入るとエロ本は、もう輝きを失っていくばかりになります……。
 というわけで3日間、9店で12冊合計4817円のお楽しみでありました。
 しかし、あー、古本屋めぐり熱、高まっちゃったなー。

「月刊OUT」1978年9月号から僕の雑誌人生は始まった

 結局のところ、僕は混沌とした情報の坩堝というものが好きなんですよ。エロもあり、ロックもあり、B級グルメもあり、真面目なニュースもあり。それらがごちゃ混ぜになっている状態が好きなんです。
 このblogにしても、意識的に色々なテーマに触れるようにしています。blogとしてアクセスを伸ばすなら、テーマを絞った方が、本当はいいんですけどね。

 僕はその「ごった煮」な面白さを雑誌に教えられました。僕が雑誌の面白さを最初に意識したのは、たぶん「月刊OUT」が最初です。1978年9月号。小学5年生だった僕は当時夢中になっていた「さらば宇宙戦艦ヤマト」の特集に惹かれて月刊OUTを手にしました。まだアニメージュが創刊したばかりの頃で、アニメを特集した雑誌というのは、すごく珍しかったのです。
「さらば宇宙戦艦ヤマト」の巻頭特集もキャラクター紹介でギャグを散りばめていたり、勝手に結末を想像したりのお遊び企画があったりして面白かったのですが、それ以外のページも埼玉県の小学生には刺激的すぎました。

 桑田次郎特集での夏目房之介のパロディ漫画、TBSのテレビ番組「日曜特バン」(アニメ、SF系を取り上げることが多かった)の収録現場ルポ、大人向け絵本の小特集、諸星大二郎の(いつもとは絵柄の全く違う)ブラックコメディ漫画、完全にデタラメな文章の星占い、レコードレビューのコーナーでは特撮やアニメ、SF関連のレコードに混じって、ストラングラーズタンジェリン・ドリームも登場。完全に深夜放送のりの読者コーナー「Fromお茶の水」のギャグセンスの高さや、同人誌紹介「ファンジン紹介ちゃん」には(小学生にとっては)お兄さん・お姉さんたちの世界を垣間見たような気がしました。
 そして特に印象的だったのが「世界のSFショー」というパロディ記事。「宇宙水爆戦」のメタルナミュータントとかC3POとかをコラージュして「世界の料理ショー」風に「SFのヒートケーキ・バイオニック風」を作るという内容なんですが「だめじゃないか、スティーブ! 変質と解体したなんか買ってきて!」なんて、後にSFを知った時に読み返してニヤリとするような台詞なんかもあったりして。
 それからブックレビューのコーナーには未翻訳のSFペーパーバック(ディックの「去年を待ちながら」とかノーマン・スピンラッドの「鉄の夢」とか)まで紹介してあったりして、つまり海外文化の匂いも漂っていたのですよ。これがたまらなかった。
 この頃のサブカルチャーってのは、どうしても舶来モノに対するコンプレックスが強かったような気がします。80年代のヒップホップ輸入くらいまでは、これは続いてましたね。これが払拭されたのは、90年代に入ってからでしょうか。この辺の話はいずれ書いてみたいと思いますが。
 まぁ、とにかくその頃に「OUT」の持っていた独特の匂いに僕はノックアウトされたのでした。そして次の10月号が、あの伝説の海賊版特集。そして11月号がOUT自身をパロディするような特集と、僕はずっぽりとOUTの世界にハマっていったのでした。
 特にさくまあきら堀井雄二による「OUT政府官報」や「月刊さくま」などのパロディセンスには強い影響を受け、中学生の時には自分で「ヤスダマガジン」というパロディ個人誌を作ったりしました。ああ、雑誌って面白いなぁ、将来、雑誌に関わる仕事をしたいなぁなんて思ったのもこの頃です。雑誌ライターとしての僕の原点は確実に「月刊OUT」にあると思います。
 あの時、「ヤマト」特集に惹かれて手にした「OUT」が純粋なアニメ雑誌だったら、その後の僕の人生もまた違ってたかもしれないですね。

 高校生になってからも(前にも書きましたが)、ヒカシュー巻上公一のコラム目的で買った「ウィークエンドスーパー」で赤瀬川原平平岡正明を知ったり、露出度の高いグラビア目的で買った「ボディプレス」でエロ業界の面白さを知ったりと、雑誌は常に新しい出会いを僕にプレゼントしてくれました。雑誌が「混沌とした情報の坩堝」だからなのです。

 だから雑誌がそうした特性を失いつつあるのは、すごく残念なんです。うーん、もうそうした雑誌は成り立たないのかなぁ。本屋+雑貨屋というコンセプトでヴィレッジバンガードが成功していたり、tumblrに魅力を感じる人がいっぱいいるという状況から見れば、そうした雑誌も受け入れられるような気もするんですが…。

 ま、そんなことを思いながら、ふとネットで最初に買った「月刊OUT」1978年9月号を発見して通販で購入してみました。今読むと、レイアウトがおおざっぱで、なんとも牧歌的な印象なんですが、やっぱり当時の熱さは伝わってきますね。ノスタルジー抜きにしても、面白いと思うんだよなー。

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