読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

意外なところで発見したエロ本文化の後継者?

出版 エロ

 先日、復刊した「薔薇族」から取材を受けました。ご存知の通り、「薔薇族」はゲイ雑誌の草分けで昨年、33年の歴史に一度ピリオドを打っているのですが、早くも復刊を果たしたのですね。で、僕はノンケの人に「薔薇族」の感想を聞くというようなコーナーのゲストとして登場することになったのです。いや、ホント、僕はゲイどころかフェチ的なセンスは全くナシという実につまらないノーマルな単スケ(単純スケベ)男なので、感想といわれてもなぁ…とも思ったのですが、見せていただいた復刊「薔薇族」が意外に楽しめたのですね。いや、男性ヌードが溢れるグラビアページは全く興味なしというか、ツライなぁ困ったなぁというのが率直な感想なのですが、一色ページ、いわゆるモノクロの記事ページが充実してたんですね、「薔薇族」。潜入ルポ「ゲイスポット徹底ガイド 上野薔薇族映画館探訪記」だの唐沢俊一の「ゲイのトリビア」だの、ノンケが読んでも十分楽しめる記事が多いんですね。美輪明宏のロングインタビューなんてのも、興味を持つノンケは多いでしょうしねぇ。
 これは多分に影坂狩人(ex 一文字カルト、二刀流カルト)さんが編集アドバイザーとして関わっている部分が大きいと思われます。実はカルトさんは、以前からの知り合いで僕も彼のことを取材させてもらったことがあるのですが、ゲイには珍しくノンケのエロメディアが大好きで、エロ雑誌にも造詣が深い人なんですね。でも彼は女体には全く興味がなく、純粋に面白さだけで楽しんでいる。つまり、エロ雑誌が持つ直接的なエロ以外の魅力に惹かれているわけです。そんなカルトさんの志向が誌面に反映されているのか、非常に読み応えのあるエロ雑誌となっているのですよ、新生「薔薇族」。そしてそれは僕が愛したエロ本文化の匂いなのですね。

 現在のエロ雑誌は、未曾有の不況の中でエロ以外の部分を切り捨てる方向に走っています。一色ページはどんどん縮小され、エロと直接関係ない記事やコラムなどは排除されつつあります。かつての猥雑、かつパワフルなエロ本文化は風前の灯火となっているのですね。アニメ誌以外ではいち早く「エヴァンゲリオン」の特集を14ページに渡って組み話題を読んだ「デラべっぴん」は雑多なコラムも魅力でしたが、リニューアルを繰り返したあげくコラムの全くない*1裏モノ雑誌へと変貌し昨年、遂に休刊。サブカル色の強かった「GOKUH」も現在はDVDコンテンツがメインで、一色ページはほとんどなくなっています。
 グラビアページでヌードさえ抑えておけば、後は好き勝手やっていいんだという姿勢から生まれたアナーキーなエロ本文化に育てられた僕にとっては、なんとも寂しい時代です。一色ページが充実している読み応えのあるエロ本に久々に出会ったなぁと思ったら、それがゲイ雑誌の「薔薇族」だったというのも、なんとも皮肉な気がします。

 ところが、最近また同じく「かつてのエロ本文化」の匂いを強く感じる雑誌と出会いました。それもまた意外なところで。なんと大メジャー雑誌である「フライデー」(講談社)の増刊である「フライデー ダイナマイト」です。巻頭グラビアは井上和香、安田美沙子のビキニ、袋とじ企画で瀬戸早妃のスポーツコスプレとか松島かえでの女子アナ風ヌードと、一見ベタベタな作りですが、一色ページが凄いのですよ。「GWにこっそり楽しむギャルゲー入門」、「プロレス異種格闘技激闘16番勝負」「日本に眠る埋蔵金を掘り当てろ!!」「日本にもあったダ・ヴィンチ・コードの謎」。いや、記事タイトルだけ見ていると、オヤジ向け週刊誌のセンスと変わりなく思えるんですが、記事の作りこみが凄いのです。「ギャルゲー入門」は電波男本田透が自分の好きなゲームばかりを愛情たっぷりに語りつくしたり、美少女ゲーム界のカリスマ麻枝准にインタビューしたりと本田本人が「専門誌でもここまでやらせてくれない」と言ってたほど濃い構成になっているし、「埋蔵金を掘り当てろ!!」の「日本に眠る埋蔵金全国100カ所詳細MAP」の詳細度は常軌を逸しているし、「ダ・ヴィンチ・コードの謎」は目が痛くなるほど文字でビッシリと埋め尽くされた狂ったレイアウト! つーか、一色ページ全体の文字の小ささと詰め込み具合は、まるで往年の「GON!」のようですよ!
「フライデー ダイナマイト」に限らず写真誌の増刊ってオタク色が妙に強かったりして、以前から気にはなってたんですけどね。改めてみると、すげえや。「グラビアでしっかり売り上げはキープするから、一色ではおれの好きなことをやるんだ!」という編集者の情熱と暴走っぷりが伝わってくるのです。これぞ正しくエロ本文化!

 しかしゲイ雑誌と、大メジャー誌という両極端な場所で、かつてのエロ本文化の流れを発見するというのは、なんとも皮肉っちゅーか。本家本元のエロ出版界にこそ、がんばってもらいたいというのが僕の正直な気持ちなんですけどね。

*1:休刊号まで唯一残っていたのが僕のコラムでした…。

Amazon 【最大70%OFF】ミュージックセール