ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「エロの敵」参考資料2

好評につき(笑)、エロ資料紹介の続編をお送りいたします。

「アダルトメディア・ランダムノート」(ミリオン出版 藤木TDC 2004年発行)

 敬愛する先輩ライター、藤木TDCが1992年から2004年まで「噂の真相」に連載していたアダルト業界コラム(「アダルトビデオ構造主義」「新世紀猥物史観」)をまとめたもの。藤木さんによれば1992年には、すでにエロ業界には不況風が吹いていたというが、その後の12年間の業界の流行などが、わかりやすく書かれている。例えば1992年は「ハメ撮り」が普及し、企画モノの人気が高まり、そしてバクシーシ山下の「女犯」が社会問題となっている。さらに1993年はコンビニでヘアヌードが掲載される雑誌が買えるようになり、1994年にはアダルトCD−ROMに売れ行きが好調、1995年には第一次痴女ブーム、1996年はセルビデオが台頭し始める…と、「エロの敵」ではさらりと触れただけのエロメディアの歴史をもっと知りたいという方にはオススメ。「エロの敵」でも引用させていただいた「海を渡る『無修正』の脅威」は必読のテキストだ。


「エロ本編集者入門」(宝島社 斉藤四郎 1999年発行)

宝島スピードブックスという文庫シリーズの28巻として出版。前代未聞のエロ本編集者のハウトゥ本。定番ポーズの研究からグラビアのレイアウト、企画の立て方、組み方、撮影現場対処対応マニュアルなど非常に実践的なノウハウが詰め込まれている。さすがに7年も前の本なので、現在のエロ本制作にはそぐわない部分もあるが、それでもエロ本新人編集者は目を通しておいて損はないだろう。「撮影の度にモデルの身の上話を聞いていたら、体も気力も持たない。親身に相談に乗るふりをして、すべてを聞き流すべし!」「進行はカメラマンに任せろ」など現場を知ってるからこその実践的なアドバイスが満載だ。「夏岡文学が示す淫猥文字の威力とは」なんてたまらない。いや、これは業界内の人にしか、わかりづらいかもしれないが(笑)。


「総天然色の夢」(本の雑誌社 仙田弘 2000年発行)

 東京三世社の「PINKY」「MEN」、そして「SMセレクト」の編集者であった仙田弘の回顧録。1970年代初頭のエロ雑誌業界の状況がよくわかる。特に、SM雑誌黄金時代を作り上げた「SMセレクト」創刊時の話は興味深い。ここのところ「SMスナイパー」でアートビデオの峰一也監督・社長や、シネマジックの吉村彰一監督・社長などに取材しているのだが、SMというジャンルの黎明期のエピソードというのは、実にアナーキーで魅力的なのだ。そのSMビデオが誕生する約10年前にあたるSM雑誌が盛り上がっていく過程も、また、たまらなく面白い。エロ本出版社がどのように分裂して増えていったのかも、よくわかる。

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