ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

SPARKS@渋谷O-EAST 2006年10月20日


 スパークス来日公演行って参りました。いやぁ、素晴らしかった。至福の時間を過ごせましたよ!
 高校生の時に「Whomp That Sucker」(邦題:弱い者いじめ)をジャケ買いしてからのファンなのです。いまだに一番好きなアルバムだなぁ、「弱い者いじめ」。スパークスで一番好きな曲は「Funny Face」だし。 とはいうものの「In Outer Space」までしか聴いていないんで偉そうなことは言えないんですけどね。

 2001年にもロン&ラッセル兄弟に女性ドラマーを加えた3人編成でも来日してたんですが、今回は初のバンド編成公演! しかもスクリーンの映像と歌詞と生演奏がリンクしたロック・オペラ形式による最新アルバム「HELLO YOUNG LOVERS」を完全再現した「HELLO YOUNG LOVERS SHOW」と、バンド編成による新旧織り交ぜたベストな選曲による「SPARKS PLAYS SPARKS」という二部構成。いやがおうにも期待は高まるじゃありませんか!

 しかしスパークスが二部構成でボリュームたっぷりという感じなのに、なぜか捏造と贋作、SPANK HAPPY featuring 野宮真貴と前座が二つも付くというのは理解に苦しむところ。だって、まともなタイムテーブルでも終演予定が22時40分なんですよ。開場の18時30分から最後までいると4時間立ちっぱなし。どう考えても年齢層が高いイベントでコレはしんどいですよ。
 しかも実際には開場が遅れまくり1時間押しですよ。つまり結果的に終演は12時近くということになってしまい、終電の関係で最後まで見られなかった人、帰れなくなってしまった人がずいぶんいたようです。これじゃ本末転倒。スパークスが見たくて来ているのに、肝心のスパークスが見られないなんて…。うーん、前座の意味って何だろうって改めて考えさせられました。

 ブラスセクションにダンサー入りの11人編成の捏造と贋作は、なかなかカッコよかったですね。いかがわしいムード満点のシアトリカルなビッグバンド。久保田慎吾のボーカルが、がなるだけの一本調子なのが、ちょっと表現の幅を狭めちゃってて残念。松本和彦的な(笑)キャラクターは面白いんですけどね。エロエロなダンサーが眼福でした。

 SPANK HAPPY featuring 野宮真貴はねぇ、二人で突っ立ってカラオケで口パクされてもねぇ…。とりあえず休憩タイムってことで奥のバーで飲んでました。バーには同じようなことを考えてた知り合いがいっぱい(笑)。

 ちなみにDJはジム・オルーク+五木田智央。竹中直人の「かわったかたちのいし」のコントとかかけてました。

さて、もう待ちくたびれましたよ。いよいよですよ。一時間遅れで始まったスパークス! 第一部は映像とリンクさせたビジュアルショー形式ということで、ステージ中央に大きなスクリーンとロン&ラッセル兄弟。他のメンバーはスクリーンの後ろで演奏してます。ニューアルバム「HELLO YOUNG LOVERS」を順番に演奏していくんですが、映像とロン&ラッセル兄弟のカラミが絶妙。特に映像と格闘するかの如きロン兄ちゃんが最高。もうおじいちゃんみたいになっちゃってますが、チャップリンのようなあのシニカルな動きと表情は更に磨きがかかっているようです。スクリーンに映った自分と殴り合いしたり、並んでキーボード弾いたり。もう面白い、面白い。第一部の主役は完全にロン兄ちゃんですね。そして、かつてのグラマラスな美形っぷりは跡形もなく老けて、渋い性格俳優みたいになってるラッセル弟。でも歌声は変わらず。アクションも豊かにステージを走りまわり、盛り上げてくれます。スパークスが現在進行形のバンドであることをきっちりを見せてくれる素晴らしいエンターテイメント。
 特筆しておきたいのが映像のセンス。モンティパイソン的なCGが多いんですが、基本的にシンプルで、何も写していない時も多いんですよ。引くべきところは、ちゃんと引いている。こういう時の映像というとつい過剰になってしまいがちなんですが、必要最小限の方が効果的なんだなぁと感心しました。VJとかやってる人は、見ておいた方がいいと思いますね。

第一部曲目

DICK AROUND
PERFUME
VERY NEXT FIGHT
(BABY,BABY)CAN I INVADE YOUR COUNTRY
ROCK,ROCK,ROCK
METAPHOR
WATERPROOF
HERE KITTY
THERE'S NO SUCH THINGS AS ALIENS
AS I SIT DOWN TO PLAY THE ORGAN AT THE DAME CATHEDRAL


 さぁ、短い休憩を挟んでヒットパレードの第二部です。スクリーンは除去され、普通のバンドのようなセッティングに。ギター、ベース、ドラムにロン&ラッセル兄弟というオーソドックスな5人編成。ちなみにベースはレッド・クロスの人でしたよ。

第二部曲目

ACHOO
SOMETING FOR THE GIRL WITH EVERYTHING
TRYOUTS FOR THE HUMAN RACE
NUMBER ONE SONG IN HEAVEN
PINENAPPLE
NEVER TURN YOUR BACK ON MOTHER EARTH
WHEN DO I GET TO SING "MY WAY"
THIS TOWN AIN'T BIG ENOUGH FOR BOTH OF US
AMATEUR HOUR

アンコール
IN THE FUTURE
SUBURBAN HOMEBOY
CHANGE
DICK AROUND

 緻密に構成された第一部とは違って、第二部はザッツ・ロック・ショー! 次々と繰り出される黄金の名曲の数々。ラッセル弟の溌剌としたパフォーマンスが光ってました。暴力的なまでに激しいシーケンスが快感な「NUMBER ONE SONG IN HEAVEN」を生で聴ける感動! 個人的には大好きな「弱い者いじめ」「パンツの中の用心棒」期の曲が一曲も無かったのは残念でしたけど、それでも大満足ですよ! アンコールのラストを、第一部の一曲目でもやった「DICK AROUND」をキーボード一台のみで演奏するバージョンで締めくくるあたりも心憎いですね。
本当にあっと言う間でしたよ。もっともっと聴きたいという気分でしたが、時間は既に12時前。ああ、前座ナシでその分、スパークスにもっとやって欲しかったなぁ…。終電なくなっちゃうよ〜と、急いで渋谷駅に走りました。

 それにしても知り合いだらけのライブでしたね。会場に入ると、あっちこっちに知り合いを発見!(笑)。中でも、なんと大阪から駆けつけたというミンカパノピカのエイジさんたちに会えたのは、嬉しかったですね。あ、ミンカパノピカ、今年の「電メリ3」に出演しますのでよろしくね! 

 また来て欲しいなぁ、スパークス。聴いていなかった90年代以降のアルバムもちゃんと揃えようと決意いたしましたよ。

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