ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「テレクラキャノンボール2009 賞品はまり子*Gカップ」(HMJM)

 面白い。もうこの一言に尽きる。カンパニー松尾監督作『テレクラキャノンボール2009 賞品はまり子*Gカップ』の感想だ。松尾率いるメーカーHMJMのキャッチフレーズは「面白いAVはここにある」だが、正に本当に面白いAVを見てしまった。全4時間という長尺なのに、少しもダレることなく楽しめた。いや、もう、冗談ヌキにこの作品だけは見た方がいい。少なくとも男と、心にチンコを持っている女は全員見るべき。チンコを持ってない女については、ちょっとわからないけど。


「テレクラキャノンボール」は1997年から1999年にかけてカンパニー松尾がhmpで撮ったシリーズで、今回9年ぶりの復活となる。バイクと車によるレースのRUNステージと、素人女性とのハメ撮りを撮影できるかを競うSEXステージの合計点で勝者が決まる。
 今回は、カンパニー松尾バクシーシ山下、アキヒト、ミスターX、ビーバップみのるの5人が、東京から名古屋、福岡へ爆走する。


 やる気が無さそうに見えて、実は一番負けず嫌いなバクシーシ山下を初めとして5人は真剣に勝負している。RUNステージでも、様々な駆け引きが繰り広げられ、本来AVとは何の関係も無いレースが延々と続くのに全く飽きさせない。
 そしてテレクラ、出会い系、ストリートナンパなどあらゆる手段を駆使して素人女性をゲットするSEXステージの面白さは言うまでもない。カンパニー松尾がV&R時代からこだわり続けてきた素人女性ゲット合戦モノには、いつだってAVの神が舞い降りる。奇蹟のようなドラマや、直視できないような現実が立て続けに繰り広げられる。


 ナンパの魔術師とも言うべきビーバップみのる(ドグマから特別参戦)の驚異的なコミュニケーション能力、カンパニー松尾の遺伝子を継ぐ男(本当に実弟)アキヒトのパワーも素晴らしいが、やっぱり本作の見どころは松尾、山下、ミスターXら40代男たちだ。
 長年彼らをAVで見てきた者としては「うわー、松尾も山下もおっさんになったなぁ」という実感を抱かずにはいられない。もうルックスがあからさまに老けている。髪の毛とか肌とか、かなり来ちゃっている。そりゃあ、そうだよ。40代だもの。
 しかし、このレースにかける彼らの姿勢はとてもオトナのそれではない。若者ですらない。コドモだ。もう目をキラキラさせて、本気で競い合っている。もう楽しそうでしょうがないのだ。


 実は僕も10年くらい前に松尾の大阪ツアーに同行したことがある。あの時も本当に楽しかった。いいオトナが欲望を剥き出しにする男子校の修学旅行のような数日間。まるで誰が一番バカになれるのかを競っていたみたいだった。本作にも何度もテロップで映し出される「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら」の言葉を地で行く世界。
 そして松尾たちは今でも同じ気持ちで走り続けているのだ。そういえば、こんなテロップも出てくる。
 KEEP ON FIGHTING KEEP ON RIDING

 このレースの中でゲットされる素人女性の大半が熟女だ。おっさんとおばさんのAV。そう言ってもいいかもしれない。でも、おっさんもおばさんもKEEP ON FIGHTINGでKEEP ON SEXなのだ。松尾や山下のギラギラっぷりは、同年代の僕には眩しい。ああ、もう僕はあそこまで獣になれないのかなとも思うけど、あのレースに放り込まれたら、誰もが獣に変貌できるのかもしれない。
 全ての男に見てもらいたいと書いたけれど、特に40代以上の同世代に見てもらいたい気もする。元気が出るのだ。いてもたってもいられなくなる。AVを見て、がんばろうって気持ちになるのも変なもんだけど。


 カンパニー松尾の映像センスと編集テクニックは年を追うごとに凄まじく切れ味がよくなっているけれど、本作でもそれは冴え渡っている。5人の視点が同時進行するという極めて難易度の高い素材を、カットアップの如きスピーディな編集で見事にまとめあげ、4時間を一気に見せきってしまう。全てのジャンルを含め、今、松尾以上の力を持った映像作家は日本に何人いるだろう。


 本作は、今の業界の基準でいうAVの定義とは大きくかけ離れている。4時間のうちセックス以外のシーンが大半。しかも画面に映っているのは、ほとんどむさ苦しい男ばかり。そして登場する素人も、今ではマニア向け企画モノにも出演できないようなレベルの女性ばかり。最近のセルビデオしか見たことがない人にとっては、信じられない「AV」だろう。
 しかし、子供が見てはいけない大人のエンターテイメントという意味では、明らかにこれは「AV」なのだ。21世紀に入って、切り捨てられてしまった「AV」の最良の部分がここには凝縮されている。
 このレースの賞品は、おなじみGカップまり子だ。優勝者は帰りのフェリーの豪華個室でまり子を自由にすることができるという。ラスト1時間は優勝者とまり子のハメ撮りだ。絶品ボディと底無しの性欲を持つまり子のセックスはあまりにも強烈。このパートを見るだけでもモトは取れるのではないかとも思う。しかし、ここでもまたちょっとしたドラマがあったりして、最後まで気が抜けない。


 繰り返そう。『テレクラキャノンボール2009 賞品はまり子*Gカップ』は面白い。この作品が実用的かどうかはわからないが、これは間違いなくAVだ。間違いなく、面白いAVなのだ。

『テレクラキャノンボール2009 賞品はまり子*Gカップ』


公式サイトから、最高にカッコイイ予告編ムービーを見ることが出来ます。
http://www.hamajim.com/shop/AVGP-136.php

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