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ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「生きる技術は名作に学べ」(伊藤聡 ソフトバンク新書)

「生きる技術は名作に学べ」は「No1 in HEAVEN」Vol.2にも出演してくれた「空中キャンプ」の伊藤聡さんの処女著作で、世界文学の名作についてのガイドブックです。
 とりあげられているのはカミュの「異邦人」、ヘッセの「車輪の下で」、トゥルゲーネフの「初恋」、アンネ・フランクの「アンネの日記」、ヘミングウェイの「老人と海」、モームの「月と六ペンス」、マーク・トウェインの「ハックルベリィ・フィンの冒険」、スタンダールの「赤と黒」、ジョージ・オーウェルの「一九八四年」、トーマス・マンの「魔の山」の10作品。
 まえがきで伊藤さんが書いているように、これらの作品はタイトルは知っていても、実際には読んだことがないという人がほとんどでしょう。僕もこの中では「老人と海」しか読んだことがありません。それも高校入試の時に面接で「どんな本を読みますか?」とたずねられた時にヘミングウェイと答えるのが、かっこいいかと思って慌てて読んだだけです。だから今はもう内容もよく覚えていません。
 伊藤さんはこの本を「あらためて名作を読み直しながら、いっけん手にとりにくそうに感じられるこれらのテキストのユニークな面をあらたに発見し、より自由な解釈をうながすこと」という目的で書いたといいます。
 なるほど、ユーモアの効いたぬるりとした独自の文体で語られると、どの作品も大変面白そうです。もともとタイトルしか知らない作品ばかりなので、「え、これってそんな話なんだ」と驚かされることも、しばしば。「魔の山」って、勝手に登山の話だと思ってたけど療養記なのか、とか、「アンネの日記」のアンネって、そんなに魅力的な(つまり模範的ではない)女の子だったのかと、これまでの自分の無知が恥ずかしくなります。よし、ちょっと読んでみようかなという気分になります。
「こうした小説をよむことができる機会は、十八歳になるまでのあいだに限定されている」と伊藤さんは言います。自分が高校生の時にこの本に出会っていたら、僕ももっと世界の名作文学に触れることが出来ただろうなぁと思います。そうしたら、その後の人生も変わってきたかもしれない。
 でも、まぁ、世界文学は読まなくても、アシモフやクラークなんかの古典SFは読みまくったし、半村良赤瀬川原平には世の中の新しい見方を教えてもらったし、たくさんのポップカルチャーにも触れられたし、それはそれで芳醇な高校時代ではありましたから、後悔はしていませんけどね。それで、今の自分が作られてきたわけだし。
 そして、たぶん、僕はこれからもこの本で取り上げられている名作は、結局読まないんだろうなぁ。きっと、伊藤さんが紹介する文章の方が面白いから。だから、名作を手に取るかわりに、この本を何度も読み返そうと思います。

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