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ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

続おやじびでお 第5話 fromおばちゃん To大人のいい女の巻

AV 原稿アーカイブ エロ

 今やすっかりAVの中でも重要なジャンルとなった熟女ですが、こんな風に定着したのは、10年くらい前。30年に及ぶAVの歴史からすると、割りと最近の話なんです。
 いや、熟女モノAV自体は昔からありましたよ。80年代末に安達かおる監督の「奥さん、いいじゃないですか、へるもんじゃあるまいし」*1シリーズ(V&Rプランニング)がヒットし、生活感を強調した熟女・人妻モノがちょっとしたブームになりました。でも、この頃の熟女は、あくまでも「おばちゃん」であり、一部のマニアックな人向けという感が強かったんですね。AVショップなんかでも、SMとかスカトロ、ニューハーフなんかの棚に並べられたりして、「熟女モノ見る人は、変態」と思われている節がありました。
 いや、しかし、この原稿を書くために80年代中期のAV黎明期のAV雑誌を調べていたんですが、本当にびっくりするほど熟女・人妻モノが皆無*2なんですね。「少女」とか「女子高生」「女子大生」など若さを強調する作品ばかり。AV黎明期の記念碑的ヒット作である代々木忠監督の「ドキュメント ザ・オナニー」シリーズには「主婦 斎藤京子」編があるんですが、25歳の若妻ですしね。

 松沢呉一さんの名著「熟女の旅」*3によれば、そもそも日本のエロの対象は熟女・人妻がメインだったといいます。そう言えば、日活ロマンポルノの記念すべき第一作は「団地妻・昼下がりの情事」*4でした。
 それが70年代に入ると、低年齢化して行き、80年代にはあの空前のロリコンブームが起きるわけです。
 この辺の話はいずれじっくりと書きたいと思いますが、AVの黎明期と言えばモロにこのロリコンブームと重なるわけですよ。
 そしてロマンポルノなどの従来のエロメディアとの差別化の意味でも、若さを強調してたのかもしれませんね。
 この頃、中学・高校生だった自分にとっても、熟女・人妻ってのは、ピンと来ませんでした。20代のセクシーなお姉さんはともかく、やっぱり同世代に近い方が興奮します。この時期に氾濫していた少女モノなんかも、同世代に近いという目線で見ていました。
 そういう意味で、前述の80年代末の熟女ブームの時は、まだ早かったんですね。こっちも20代。熟した女性の魅力がわかるには、まだまだ勉強不足。しかも、当時の熟女は「おばちゃん」ですからね。これはハードルがかなり高かった。というわけで、この第一期熟女ブームはスルーしました。
 さて、現在につながる本格的な熟女ブームは2000年代に入ってからやってきました。ご存知の通り、99年に溜池ゴロー監督が川奈まり子を撮った「義母〜まり子34歳」(ソフトオンデマンド*5のヒットがきっかけです。

ここから熟女=おばちゃん、ではなく、熟女=大人のいい女、という視点で撮られたAVが次々と作られ、さらに人気熟女がたくさん登場し、熟女ブームは過熱していきました。
 そして現在はマニアックどころか、美少女単体モノに匹敵するメジャーなジャンルに成長したわけです。
 熟女というだけで敬遠していた私ですが、今はすっかり「熟女、悪くないじゃん。いや、むしろ歓迎」と思うようになりました。何しろ、もうバッチリ同世代、というか多くの熟女が年下になっちゃいましたからね。
 実際、この年(42歳)になると、30代も「若い」とか思っちゃいますからね。30代女子つかまえて、「女の子」とか言っちゃいますからね。こちらの許容範囲がグーンと広くなった感があります。AVを好んで見る層が高齢化しているという話がありますので、私のように「同世代」好みの人多いとすれば、現在の熟女人気も納得の行くところであります。
 それからもう一つ、調べていて気づいたんですが、熟女AVって現在主流のAVとちょっと違うところがあるんですよ。すぐセックスに突入するのをよしとする今のAVに比べて、熟女AVは前置きが長いんですね。それはドラマだったり、ドキュメンタリーだったり、熟女自身のキャラクターの描写がまずあるというスタイル。そしてあまりハードな内容のものは好まれないという傾向。
 これ、よく考えてみると、レンタルAV黄金時代のスタイルなんですよ。今のセルAVではすっかり肩身が狭くなったドラマやドキュメンタリーが、熟女というジャンルの中では、まだ生きているんですね。
 熟女AVのファンというのは、単に熟女が好きというのだけではなく、今のハードコアなAVに疲れちゃった人、という面もあるのではないでしょうか。
 以前に、都内のとあるビデオショップを取材した時に聞いた話なんですが、その店はお客さんの年齢層が高く、40代、50代がメイン。当然の如く熟女モノの人気が高いんですが、女優モノでもデビュー作よりも、その後の作品が売れるというんですね。気に入るとその子の作品をずっと買い続ける。新人よりも慣れた子の方がいいというわけです。風俗でいうところの馴染みの子。
 AVを見るのでも、過激さよりも癒しを求めたいという熟女ファンの傾向が見えてきますよね。
 さて、昨年あたりから熟女の中でも五十路*6の人気が高まっているそうです。私もさすがに五十路モノはちょっと苦手なのですが、これも自分が五十路になると守備範囲になってくるんでしょうか。そしてこのままAVユーザーの高齢化が進んで行くと、ちょっと恐ろしい未来が待っているかもしれません。
 とか言いつつ、私は若い子のAVも大好きなんですけどね。守備範囲は広いですよー(笑)。

TENGU(ジーオーティー)2010年8月号掲載。最近は熟女物に20代の女優が出演することも多くなり、熟女の幅がやたらと広くなっちゃってます。もはやAVというジャンルの中の最大勢力だもんなぁ、熟女。

*1:インパクトのあるタイトルも受け、こうした口語体のAVが以後、続出した。ちなみにカンパニー松尾原作の「職業AV監督」によれば第一作の女優は、本当の人妻ではなかったとのこと。

*2:手元にある84年、85年頃のAV雑誌をひっくり返して調べたが見事なくらい見つからなかった。代わりに少女M(13歳でデビューしたロリータヌードアイドル)や、くりいむレモンの特集なんかがあった。正にロリコン黄金期だったのだ。

*3:熟女マニアの編集者との会話を中心とした松沢呉一氏の熟女考。99年 ポット出版刊。現在はちくま文庫。氏の著作の中で一番面白いかもしれない。

*4:71年に西村昭五郎監督、白川和子主演で制作され大ヒット。79年までに22作まで作られた。今年、中原俊×高尾祥子のコンビでリメイク。

*5:当時は熟女で単体モノを撮るというのは冒険だった。ちなみに川奈まり子はこの時、32歳なので2歳逆サバを読まされている。

*6:実は五十路にとどまらず、年齢は高ければ高いほど人気が出ると某熟女メーカーの談だが、さすがに女優の数も少なくなってしまうので貴重度は高まるばかり?

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