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ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「逃避めし」(吉田戦車 イースト・プレス)

仕事からの逃避としての料理。それが逃避めし。吉田戦車さんの新刊エッセイです。

逃避めし

逃避めし

本人によれば逃避めしの定義は、

・しめきりが迫っているのに、つい作り始めてしまうもの。
・マンガのことを考えることを忘れたくて、作り始めてしまうもの。
・酒を進めるために、そして酒のダメージから回復するために作るもの。
・仕事中の小腹を満たすために作るもの。
・売っている味、プロの味への反抗心から作るもの。
・けっして外では買えない味のもの。
・冷蔵庫や食品置き場をからっぽにしたくて作るもの。
・料理人として妻の優位に立とうとして作るもの。

だそうです。

仕事場で、ひとりでチマチマと作り、ひとりで食べる。正に男の料理。それも「料理の出来る男の人って素敵〜」と言われるための男の料理とは一線を画す自分のための料理。

だからこの本で紹介される料理は、吉田さんが剥き出しになったものばかり。梅干だけで食べる「日の丸そうめん」、ナポリタンの麺抜き「ナポリタンの具炒め」、白菜に全てを頼った「白菜漬けの冷やし中華」、これも麺抜きの「ラーメンスープ定食」。普通の料理本では決して出てこない創作料理の数々。「春キャベツと焼きハム」なんて、あなた千切りキャベツとハムだけですよ。料理とはいいません、それは。

でも、貧乏料理とか変な料理とか、そういうウケを狙ったものではないところが、この本の素晴らしいところです。これは吉田さんが自分のために自分で作った料理。自分が満足すればそれでいい。だから、かなりの確率で、(吉田さんにとっては)美味しいものになっているのです。

当然、料理の写真も掲載されているのですが、これがまた彩りとか全く考えていない茶色ばかりの料理というところが、実に男らしくて素敵。

そして、これを言うと怒られてしまうかもしれませんが吉田さんの文章は、下手したら漫画よりも面白いんじゃないかと思うほどに、素晴らしいんですね。独特のリズムとセンス。ああ、もう、才能が妬ましい。この本、個人的な吉田戦車ランキングで、「ぷりぷり県」に次いで第二位にランキングしました。

さらにこの本、装丁もいいんです。いや、装丁というかカバーに散りばめられた写真。吉田さんが仕事場の台所で逃避めしを作り、食べている後ろ姿。四十男の哀愁と喜びが見事に表現されております。もう、吉田戦車料理写真集とか出して欲しいくらい。


で、まぁ、こんな本を読むと、自分でも作りたくなるわけですよ、自分のための料理を。僕も今朝、自宅の台所でごそごそと弁当を作って、仕事場に持ってきました。

テーマは「男らしい弁当」。となれば当然、肉。それも豚肉。もちろん炒めます。さらに男の懐の深さ、人間的な厚みを表現するために、深さのあるタッパーにご飯をどすんと入れてみました。写真からはわかりづらいですが、ご飯は二層になっていて中間部には海苔とおかか層が挟まれております。
 後は黄色いタクワンがあればよし。野菜なんてしゃらくさいものは無視です。いや、この弁当の写真をTwitterで公開したら、知人に「男弁当なのに、緑が多すぎるよ!」と言われました。このパラリとかけた青ネギですら蛇足だと! 男弁当の道は険しいですね。

しかし、こんな弁当持ってきちゃうと、気になって気になって、午前中は仕事が手につかないですよ。しょうがないから早弁ですよ(笑)。ああ、うめえ。味付けとかすごく雑なはずなんだけど、それもまたよし。しばらく自分弁ブーム続きそうです。

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