ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

ナポリタンのヨロコビ

「ジャポネ」のナポリタン

 ナポリタンが大好きです。特に喫茶店のナポリタン。茹でた麺をケチャップで炒めるというイタリアのコックが見たら卒倒してしまいそうな、古きよきナポリタンをこよなく愛しています。アルデンテという言葉とは無縁なモチモチした触感こそがナポリタンの魅力なのであります。

 我が心のナポリタン第一位は、江古田の「トキ」のナポリタン。江古田で最も古い喫茶店「トキ」の看板メニューであるスパゲティはとにかくボリュームが凄いのですよ。普通でも他の店の大盛りくらいはあります。んで、大盛りとなると、喫茶店でお水やら料理やらを載せてくるトレイ大の皿に乗ってきます。さらに上の特盛となるとアナタ、その皿に山盛りなんですよ。もう冗談としか思えないような量です。僕も10代の時に特盛を一度クリアしたことがあるんですが、お昼に食べて、翌日のお昼までお腹が一杯でした。もう最近は大盛りさえ厳しくなってきたんで、この間、若い友人に特盛をご馳走して食べてもらいました(笑)。10年ぶりに間近で見る特盛は、やっぱ凄かったなぁ…。

 ま、もちろん量だけではなく味も素晴らしいのですよ、「トキ」のナポリタン。具はシンプルにベーコンとエビとコーンのみ。ピーマンが載っていないのが僕には嬉しいところ。給食のソフト麺を思い出すような、太くモッチリした麺は食べ応え十分。いっぱいにほお張って、ケチャップ味にまみれた口の中をビールで洗い流すのが大好きなんです。喫茶店のナポリタンは、なぜかビールに合うんですよねぇ。日曜の午後に、のんびりと漫画を読みながら(また「トキ」に置いてある漫画が古いんですよ。オリジナルの「釣りキチ三平」とかあるんです)、ナポリタン&ビールを楽しむというのは最高のシアワセであります。「トキ」のナポリタンのおかげで、僕は江古田から離れることができず18年も住み続けているのですから。

 そんなわけで永遠のナンバーワンと思われていた「トキ」のナポリタンですが、最近その地位を脅かすスパゲティが登場しました。有楽町「ジャポネ」です。今さら何を、という方も多いでしょう。B級グルメ界では超有名なこの店、僕はつい最近まで見逃していたのです。昔は有楽町でバイトしていて、すぐ近くのニューキャッスルや天津飯店には通っていたのに!

 さて、その「ジャポネ」は、銀座インズ3というショッピングビルの1Fの片隅にひっそりとあるスタンド式の店です。ランチタイムには大行列、ランチタイム以外でも客が途切れることはないという人気。有楽町のサラリーマンの聖地という呼び名も、大袈裟ではありません。誰もが黙々とスパゲティを食しております。

 こちらのナポリタンの安っぽい甘じょっぱさには魂が痺れる思いでした。そして「トキ」以上に太くてモチモチした麺の食べ応えといったら! さらにシャキシャキとした小松菜の触感が華を添えます。もはや、どこにも「ナポリ」の片鱗も残っていない和風アレンジの妙。メニューには誇らしげに、こう書かれています。

「ジャポネ(=日本)は、店名どおり日本人の味覚にあった味付けを自慢としております」

「ジャポネ」の看板メニューのジャリコはエビ・肉・シソ・トマト・シイタケ・玉ねぎ・小松菜の具が入って醤油味なのですが、こちらに至っては、どう考えてもスパゲティではなくて、焼きうどん! いや、旨いんですけどね。死ぬほど旨いんですけど、これをスパゲティだと言い張るのは日伊関係に悪い影響があるんじゃないかと心配になるほど、徹底して和風です。醤油味なのに、ザーサイが入ってるだけでチャイナと言い張ってるメニューもあります。

 ちなみに「ジャポネ」も大盛り、特盛が凄いんですよ。レギュラーでも、結構ボリュームあるんですけど、その上にジャンボ、横綱とありまして、ウワサでは裏メニューで、さらに上の「理事長」というのもあるらしいですよ。麺がレギュラーの4倍以上で、「横綱」を食べきった実績がないと注文不可とか…。ああ、スパゲティというのは、常識はずれの大盛りが似合う料理なんだなぁ。

 心の底から「あー、うめぇっ!」と思う料理って、実はそうは無いもんですが、僕にとって「トキ」と「ジャポネ」のスパゲティは、その数少ない例なのであります。だって、食べてる時、すげえ幸せな気持ちになるんだもん。口の中いっぱいにほお張ったモチモチな麺を噛みしめてる時に匹敵する快感って、そうは無いですよ。

 
●とりあえず、こちらに「ジャポネ」の写真がいっぱいあるので、興味がある方はぜひ。
http://www.ousaru.com/japone/

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