ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

米の国ニッポン弁当(1600円/新潟県/C-3)

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本大会最大の問題弁。とにかく高くなり過ぎている!という印象の今回の京王駅弁大会ですが、それを象徴しているのがこの駅弁。魚沼産こしひかり、山形産はえぬき、北海道ふっくりんごの三種類のご飯の味の違いを楽しんでもらおうというコンセプトで作られた企画弁。そのため、おかずも鮭とたらこ、梅干しのみというストイックさ。なるほど、お米の味を引き立てるためですね!

 という狙いはわかります。しかし、これが1600円というのはどうなんだろう。チラシでこの駅弁が発表されるや否や僕の周辺では批判的な意見が相次ぎました。いや、だって、これシャケ弁ですよ。ほか弁なら300円ですよ。それが1600円! いい素材を使えば、それだけの値段になる。それはわかります。「美味しんぼ」でも海原雄山が、よくそんなこと言ってました。

 でも、ねぇ。1600円ですよ。例えば岩手県の鮭いくら弁当は食べきれないほどのいくらが乗って1200円ですよ。やっぱり納得できないというのが、一般人の感覚です。
 とはいうものの、食べずに批判をするというのは、やはりフェアじゃないですね。一度は買ってみよう。食べた上で文句を言おう。そう考えていました。

 僕は、駅弁大会仲間と共にロマンスカーに乗りながら駅弁を食べるという「ロマ弁」というイベントを毎年やっております。その時に、どんな駅弁を持っていくかが、重要なんですね。この時に、ハズレな駅弁を持って行ってしまうと、もういつまでもバカにされちゃうわけですよ。己のアイデンティティをかけての駅弁セレクト。どうせなら「さすがは安田さん!」と言われたい。だから悩みに悩むのです。
 ここで、「米の国ニッポン弁当」を行こう。僕はそう考えました。ロマ弁では、もちろんお酒を飲みながらいただくわけで、そうなると美味しいご飯と日本酒はいい組み合わせになるのではないか。おかずに不安があっても、なんとかいけるんじゃないか。そういう考えを元に、僕は「米の国ニッポン弁当」を選んだわけです。

 からむし素材の風呂敷を広げて「米の国ニッポン弁当」の全容を眺めます。おお、なんとシンプルな弁面でしょうか。塩引鮭、たらこ、紀州梅、さらにこしひかりにはゴマ塩、はえぬきにはおかかもかかっています。まずはご飯の味わいを比べてみましょう。
 うん、それぞれ確かに味が違いますね。でも正直、それほどの差はわからないです。みんな美味しい。そして、鮭やたらこなどと一緒に食べると、その美味しさが引き立ちます。特に梅干しと一緒に食べると、ああ、米、うめぇ! と思いました。

 美味いのですよ。米もおかずも、これは美味しいものばかり。既に食べた仲間からは、お米の味を純粋に楽しむならばゴマ塩やおかかは邪魔ではないかという意見もありましたが、僕はこれはこれで美味しかった。
 うん、これはいい弁当です。弁当本来の美味しさを追求した弁当です。日本酒にも素晴らしく合います。ああ、日本人に生まれて本当によかった、と思う弁当です。味だけで言えば、今大会で一番美味しかったかもしれません。

 しかし、しかし、1600円。確かに美味しいけど1600円。これが1000円だったら、いや1200円だったら……。
 決して暴利をむさぼるために高値になったとは思っていません。努力して努力して、この値段になったのでしょう。いい素材を使ったがゆえに、この値段なのです。

 わかってはいるけれど、僕はこの駅弁を他人にオススメする勇気はないなぁ。すごく残念です。

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