日本初の同性愛雑誌「薔薇族」(1971年創刊)の二代目編集長である竜超(りゅうすすむ)さんが、知っていそうで意外に知らない、ゲイを中心としたLGBTの世界を解説してくれるという一冊。LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった性的少数者を意味する言葉なのですが、それ以外にも性的少数者の種類はあるし、だいたい言いにくいというので、本書ではセクシャルマイノリティ、略してセクマイと呼んでいます。なんか某ジャニーズグループの略称みたいですけど、LGBTより言い安くていいですね、セクマイ。
ゲイはどうして、男の世界のはずがオネエ言葉を使うのか、というのは以前から不思議に思っていたのですが、その回答も書かれていました。オネエ言葉はゲイの世界の「仲間同士の証」であると同時に、使い出すとゲイの間ではモテなくなってしまう魔のアイテムであるという説明はなるほど、と思いましたね。
ネットなどが普及して状況が変わったことによって新宿二丁目にも変化が訪れているとか、ゲイの人はBLをどう思っているのかとか、この「近くて遠い隣人」たちの「今」をわかりやすく教えてくれます。個人的には愛読している「きのう何食べた?」が当事者から見てもリアルだと太鼓判を押してくれたのが嬉しかった(笑)。
竜超さんとは、彼が前の名前を使っている時からの知り合いなんですが、ゲイであると同時に、むしろオタクでサブカル好きという面の方が強い人なので、彼の書くものは僕らにとっても非常に読みやすく、わかりやすいんですよね。
僕の生きる上でのポリシーは「世の中には色んな人がいるんだから、あんまり固いこと言わない」というものなのですが、この本からも同じようなメッセージを感じました。セクマイにもいろんな人がいる。うん、そりゃ、そうですよね。