ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

消費者生活2003年8月

僕が2003年に某携帯サイトに連載していた「消費者生活」という自分が購入した(お金を払った)ものについてのレビューを再録します。
15年前のお買い物日記です。

サマーソニック8月2日 幕張メッセ他 一日券13000円
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 三十歳を過ぎてからめっきり腰が重くなってしまって、ライブの類はあまり行かなくなってしまった。フジロックをはじめとするロックフェスも興味はあるものの面倒くさくて敬遠していた。しかし、今回のサマーソニックはそうはいかない。なにしろあのDEVOが登場するというのだ。80年代にピコピコな思春期をおくった僕らにはDEVOはスーパースターだ。腰が重いなんていってられない。地獄のような暑さの日だったが、幕張くんだりまで出かけた。とはいっても、夕方からの出陣だったあたりが情けないが(笑)。早めの時刻にダットサンズやホット・ホット・ヒートなど見たかったバンドもあったんだけどねぇ。

 会場に到着したのは午後4時。千葉マリンスタジアムではニュー・ファウンド・グローリーが熱演中。メロコアは野外が似合うねぇ、などとビールを飲みながら5曲ほど楽しんでから幕張メッセの屋内ステージをウロウロ。6時過ぎには再びスタジアムに戻り、大好きなジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンにしびれまくるが、いかん、いかん、もうDEVOのステージが始まるではないか。後ろ髪を引かれる思いで、途中退席。幕張メッセ・イベントホールへ。噂には聞いていたが、サマソニはこのステージの移動が実にかったるい。特にスタジアムからメッセへの道が遠い、遠い。何もない道だしねぇ。

 それにしても2003年にしてDEVOかぁ。僕が初めてDEVOを知ったのは「すすめパイレーツ」で、だったっけなぁ。そこそこいっぱいな客席には、僕と同じように年季の入ったファン、そしてポリシックス経由でDEVOを知ったような若いファン。DEVOのトレードマークであるエナジードーム(通称ウンコ帽)をかぶった客も多数。「20年待ってたんだよぉ!」 ふと振り返ると知り合いが叫んでいた(笑)。

 やがてメンバーが登場する。82年の名曲「That's Good」からスタートし「Girl U Want」「Whip it」「Satisfaction」とヒット曲の連発攻撃にファンは失神寸前の盛り上がり。往年のライブと寸分違わぬ完成度の高い演奏。しかしメンバーの老けっぷり、特にボーカルのマークの太りっぷり(チョビヒゲ付!)はすごい。なにしろみんな50代。それで当時のコスチュームとアクション。まるでコント。でも死ぬほどカッコイイ。気を失ってしまいそうな至福の時でありました。ありがとうDEVO。そして、ありがとうサマソニ

●バイオノートZ(ソニー) ヨドバシカメラ新宿西口店にて267540円で購入。
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 キーボードがイカれたりとノートPCの挙動不審な動作が多くなって来た。仕事で使うものだけに、いきなり壊れられちゃうとヤバイ。ちょうど多目の入金があったので、思い切って新しいPCを買うことにした。マルチドライブ付で無線LAN内蔵で、できるだけ小さくて…と条件を絞っていったら、浮かび上がってきたのがソニーのバイオノートZの夏モデルPCG-Z1R/P。
 モバイル用に開発されたCPUシステムCentrino搭載、1,400×1,050ドットのSXGA+表示液晶モニターなど性能的にはかなりヒキが強い。そういえば今使ってるデジカメは二台ともサイバーショットだから、メモリースティックスロットがあるのもメリットじゃん。それになんといっても、いかにもソニーらしい独自のデザインは購買意欲をそそる。両サイドの曲線が渋いし、ノートPCなのにラッチがないってのも面白い。今、使っている(壊れようとしている)NECのノートは、性能的には文句はなかったのだけれど、いかんせん愛想のないデザインで、ついぞ愛着というものが沸かなかったんだよなぁ。毎日使うものだけに、やっぱ重要ですよ、愛着。

 26万円というのは、今どきちょっと高めな気もしたけれど、どう考えてもコレしかないなと惚れ込んで、買ってしまった。第一印象はデカイ。それまでのNECが12.1型XGAモニターだったことに比べると、14.1型SXGA+というのは実に広い。当然、本体もデカくなっているのだが、シャープなデザインのためか、大きくなったために野暮ったくなったという印象はない。
 そして、意外にキーボードのタッチがしっかりしているのも嬉しかった。ノートPCはどうしてもペナペナなキータッチになりがちなのだが、カチカチとしっかり打つことができる。キータッチが悪かったら、先月買ったHappy Hacking Keyboard Lite2をつないで使おうかと思ってたのだが、その必要はなさそう。というか、ノートPCの浅いキーに慣れた僕には、こっちのキーの方が打ちやすい。

 しかし、これはバイオに限らないのだが、無駄にてんこ盛りのプリインストールソフトって、本当に必要なのだろうか? 最低限のソフトだけあれば、あとは自分で買ったりフリーソフトを落としたりする方がいいのでは。とりあえず、プロバイダーのサインアップソフトだけでも無くしてもらえないのか。でも、あれは広告みたいなもんだから、無くすと定価が高くなっちゃったりするのか?

●映画「ポケットモンスター・アドバンスジェネレーション/七夜の願い星ジラーチ」 池袋HUMAXシネマズ4にて入場料1800円
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 ああ、今年はたくさん映画を見ようと思ったのに、やっぱり子供としか映画館に行ってないなぁ(笑)。というわけで、小学一年生の娘と「ポケモン」を見に行く。「ポケモン」人気のピークなんてとっくに過ぎていると思っていたのだが、まだまだ強い。そういえば、先日子供にせがまれて東京駅近くのポケモンセンターというオフィシャルショップに行ったら入場するのに一時間待ちの行列ができていて驚いたっけ。単なるグッズショップなのに一時間待ち! そして今回の映画も人気らしい。

 まずは本編に先駆けて短編の「おどるポケモンひみつ基地」から。ピカチュウニャースが主人公の「可愛らしさ」を前面に出したミュージカル風のコメディだが、これが実に楽しい。昔のディズニー的なスラップスティック。子供たちも大うけで、ギャグのひとつひとつに律儀に爆笑しているのがおかしかった。
 そして休憩もなく、いきなり始まる本編の「七夜の願い星ジラーチ」。千年に一度だけ7日間だけ目覚めるというポケモンという設定からしてキツイ。そのポケモンジラーチの持つ力を狙って悪巧みをする科学者(兼マジシャン)が登場するのだが、千年前の情報を頼りに人生を狂わせているのか、君は! とツッコミを入れたくなってしまった。この男がジラーチを狙う必然性がどうにも薄いのだ。自分の行動が引き起こしてしまったラストの大パニックに「まさか、こんなことになるとは」じゃないだろう、君。そんな行き当たりばったりの人生じゃ、ロクな大人になれないぞ。
 それから物語中で重要な(そうでもないか)役割を果たす子守唄が、どう聞いても子守唄的なメロディじゃない。ひっかかってたら、ラストにかかるエンディングテーマと同じメロディだった。これがいかにも今風のR&B。大人の都合ってやつが透けて見えすぎるんですよ。最近のアニメの唄って、みんなそうだけど。
 そういう意味でも、素直に楽しめる「おどるポケモンひみつ基地」の方がよかった。ナレーションが山田花子というのは、ちょっと大人の都合っぽかったけど、まぁ、それなりにいい味は出してたし。

●「腰痛放浪記 椅子が怖い」(夏樹静子 新潮文庫) 西船橋の書店にて400円で購入。
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 97年に発表された本の文庫化。夏樹静子といえば、「Wの悲劇」などで知られるミステリーの女王だが、93年からの3年間に恐ろしい腰痛に襲われていたという。腰痛というと、持病として悩んでいる人が多いだけに、軽く考えられがちなのだが、彼女を襲ったのは立つ事も寝る事もできないと言う凄まじい痛み。しかし病院でいくら検査しても、重大な疾患は見当たらない。運動不足ではないかと言われて必死に筋肉を鍛えてみても、症状は好転しない。鍼灸治療からカイロ、温熱療法、尾てい骨治療とあらゆる治療法を試みる。霊の供養や、あのタカツキヒカルの手かざしまで受けてみる。しかし、腰痛は治まるどころか、激しさをますばかり。その描写の恐ろしさ。ついには自殺までも考えてしまうのだが、これほどの責め苦の中であれば、それも仕方がないかと、つい同調してしまいそうになる。

 しかし、その原因は肉体的なものではなく、心因性のものだった。これほどの痛みを自分の「心」が作り出したのだという説に、彼女はどうしても納得がいかない。そして治療が始まる…。
 前述の通りに腰痛の痛みのリアルな描写も恐ろしいが、潜在意識がこれほどまでに苦痛をもたらすことがあるという事実も、また恐ろしい。心の持ちよう次第で、こんな地獄が自分に襲いかかってくるかもしれないという事実。それも潜在意識という奴が犯人だとすれば、自分でコントロールすることも難しいのだから。
 僕も定期的に背中に鉄板でも入ったかのごとくに硬くなり、激痛に襲われることがあるのだが、その間は全く集中力が失せ、仕事にならない。しかし、夏樹静子は机に座ることもままならないという状態の中でも(セーブしているとはいえ)、しっかりと仕事をこなしている。それも小説を書くという、もっとも集中力を必要とする仕事を。しかし、その強靭な精神がこの腰痛を引き起こしたという皮肉。その構造もまた恐ろしい。

 あとがきに書かれていた、夏樹静子が造園設計家に聞いたという話。川の水は表面の流れが速くて元気がいいほど、底の方は停滞して水質が悪くなる。一方、自ら攪拌している川は、停滞して汚れがたまることはないのだという。なるほど、と思う。
 それにしても、この本を読んでいると、どんどん自分の腰が重くなっていくような気がしてくる。ああ、なるほど、「心」が痛みを作り出すのは本当なのだなと実感し、ますます痛みが増してくる。こうなったら、もうだめだ。本を閉じても、痛みはどんどん増していくばかり。僕の深層心理よ、勘弁しておくれ。

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