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ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「だれが『音楽』を殺すのか?」津田大介

 レコード輸入権、CCCD、違法コピーとファイル交換、音楽配信サービスという現在の音楽業界が直面している問題を音楽ニュースサイト「音楽配信メモ」津田大介さんがまとめた一冊。エイベックスとSMEの事実上CCCD撤退宣言がなされたと時を同じくして発売というのは、グッドタイミングなのか、ちょっと遅かったのか? とにかく、すべての音楽ファン必読の本です。と、いうか、今までこうした問題が語られることが少なすぎたと思うのですよ。
 だって、多くの人は「え、何CCCDって?」とか「レコード輸入権って俺ら関係ないでしょ」と思っているわけですよ。だってみんな知らないんだもん。CCCDに関しても、ミュージシャン側がよく理解せずに承諾して、あとでファンの猛反発をくらって、初めて問題の大きさに気づくという状況だったし。
 この辺の問題について、音楽誌は沈黙するしかなかったわけですよ。スポンサーに公然と叛旗を振りかざすわけにはいかないし。この本が出たのもIT系の出版社である翔泳社というのが象徴的ですね。おかげで、この本、音楽系書籍コーナーではなくてコンピューター書籍のところに置かれているのは困りものですが。*1

 しかしなー、ネットの力が大きくなったとは言うけれど、ネットって基本的に自分の興味のあるところしかアクセスしないわけだから、情報の伝達に偏りがありますよね。結局のところ、テレビとか新聞、一般週刊誌で取り上げられないと世間的には話題にならない。報道されない「事件」がたくさんあるというのは、状況的にはあまり変わっていないのかなぁ。

 今年の夏に僕らの業界を揺るがせた都条例改正問題も、普通の人はぜーんぜん知らないもんねぇ。「そういえば最近コンビニのエロ本にシール貼ってあったりするよね」くらいの認識でしょ。つーか、出版業界でもエロ畑以外の人は、知らないみたいだもんね。前に「anan」がセックス特集で僕のとこに取材に来た時、「へー、今の時期にセックス特集やるんですか。『anan』でもヤバイんじゃないですか?」って話をしたら、編集者、都条例のことを全く知らなくて驚いたんですけど、まぁ、そんなもんなんでしょうね。自分に直接関係ない話は、どうでもいい。実際、これだけ情報が溢れている現状では、ある程度意識的にシャットアウトしていかないと処理できなくなるから、しょうがないんだけど。

 でも、ま、まがりなりにも「音楽が好き」だと思ってる人は、読んでおいた方がいいと思いますよ。「だれが『音楽』を殺すのか?」。音楽なんて、どうでもいい人たちが、あなたたちから音楽をとりあげちゃうかもしれないって話なんですから。

 ちなみに、写真は某撮影のついでに撮ったもの。作者の津田さんも喜んでいただいけるようで(笑)、PRに使ってくれてます。

「だれが『音楽』を殺すのか?」翔泳社 税込1,659円)

*1:ま、現在は音楽書籍コーナーよりコンピューター書籍コーナーの方が広くて、いい売り場になってるから結果的にはよかったのかも?

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