ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

漫画雑誌はどんなに売れても赤字

月刊ジャンプ休刊関連で色々検索してて見つけた「コミックビーム」の奥村編集長と岩井副編集長による早稲田大学での対談。直リン禁止らしいので、 「早稲田大学人物研究会」のホームから「奥村勝彦・岩井好典会見録」に飛んで下さい。

 基本的には漫画雑誌の編集者になりたい人へのアドバイスという感じですが、興味深い発言が多く、なかなか読み応えがあります。
 例えば「コミックビーム」連載の鈴木みそ先生の傑作「銭」でも、触れられていましたが、
「K社の全漫画雑誌の中で、雑誌単体で黒字が出てるのは2誌」
「多分競合誌も同じくらいだと思うけれど、(ビームは)原価率が300%とか400%だから。つまり今の数倍刷って全部売れて、ようやくトントン」

なんてことを言ってます。
 漫画雑誌は、それ自体の売上ではペイせずに単行本のヒットがあって、初めて成り立つというビジネスモデルになっているということですね。休刊する月刊ジャンプは、単行本が売れるヒット作が少なかったということなのかな?

 普通の雑誌も、売上自体ではペイしないことが多くて、広告収入で成り立っている場合が大多数です。エロ雑誌の場合は、広告にも頼らないし(頼れない)、単行本的な二次使用での大儲けというのも考えづらいため、実売が勝負という、ある意味で出版業界の優良児だったわけですが、現在の苦境の原因もそこにあるとも言えますね。実売が減少すると、ダメージがモロに来ちゃう。
 とはいえ、出版物への広告出稿も、今後減少していくようですから、いずれにせよ未来は厳しいんですが。

 ただ、漫画雑誌は広告に頼っていないという話を受けての岩井氏の次の発言はカッコイイなぁ。
「でも、それは逆に、僕等漫画業界の人間の誇りでもあります。全メディアの中で『電通? 博報堂? 用ないから帰って』と言える唯一の存在です」


ちなみにこの「早稲田大学人物研究会」の高橋がなりの講演も面白いですよ。松本和彦とかTOHJIRO(藤治郎と表記されてる)の話とか最高。他の講義もこれから読んでみます。

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