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ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

日本初のニューハーフAVを発見する

AV 痴女の誕生

 拙著「痴女の誕生」の第五章「男の娘の時代」で、日本最初のシーメール(ニューハーフ)AVは1986年に映研から発売された「シーメール ちえみ」だと書きました。これは藤木TDCさんの著書「アダルトビデオ最尖端」(コアマガジン 現在は「ニッポンAV最尖端」として文春文庫より発売)を参照したのですが、先日これより前に作られたシーメールAVを発見してしまいました。

 4月26日に神保町の東京堂書店さんで、とみさわ昭仁さん、柳下毅一郎さんと三人での新刊発売記念イベントに出演したのですが、会場に向かう前にちょっと古本屋を回っていたら、かなり古そうなVHSのAVが売られているのを発見したんですね。その中に「華麗なるゲイの世界を彩るドラマ リラ」「華麗なるゲイの世界を彩るドラマ エミ」という2本があったんですね。
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クリアハードケースのAVというと正に黎明期の80年代前半の作品のはず。メーカーは「シーメール ちえみ」を出した映研。手に取ってみると、タイトルこそゲイですが、パッケージに写っているのは明らかに女性のようなルックス。あ、これはニューハーフ物だな、とわかりました。「エミ」の方のパッケージ表面には「ニューハーフ(ゲイ)の世界に悶える」というキャッチコピーもあります。80年代前半のこの時期には、まだゲイもニューハーフも混同されていたということでしょう。そして何気なく「エミ」のパッケージを見ていると、「ビデ倫No.84226」の表記が。


 ビデ倫の審査番号の頭二桁は受審年度のはず。となると、これは1984年作品。あれ、1986年が第一作だと思ったのに! そして「リラ」の方はビデ倫審査番号も品番も書かれていませんが(「エミ」は品番GE-02)、どうも「エミ」より前に発売された作品のようです。となると、「華麗なるゲイの世界を彩るドラマ リラ」は日本初のニューハーフAVだという可能性が強くなってきました。いや、これ以上前にも発売された作品があるかもしれないのですが、それは今後の調査次第です。とりあえず現時点では「リラ」を暫定的第一号だと考えておきましょう。ただ、「エミ」が1984年なのはわかったのですが、「リラ」が同じ1984年発売なのか、それとも1983年だったのか。これも調査の必要があります。

 藤木TDCさんの「アダルトビデオ最尖端」には、1986年に映研の社員だった長谷川秀樹氏の発言で「ちえみ」の前に映研で一本のゲイビデオを出していた」と書かれています。そしてその作品が1984年12月にリリースされた「THE GAY」であると。ところが、その時にその「THE GAY」も「リラ」「エミ」と一緒に売られていて、見るとパッケージを見る限りゲイ物ではなく、ニューハーフ物でした。品番から察するに、「エミ」の後につくられた作品のようでした。おそらくゲイという言葉に引っ張られて、記憶が混同してしまったのではないでしょうか。
 
 というわけで、恐らく日本初のニューハーフ(シーメール)AVである「リラ」と「エミ」を見てみましょうか。
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 まずは「華麗なるゲイの世界を彩るドラマ リラ」です。VHS時代のソフトにはお馴染みのカラーバーも黒味画面も無く、いきなりショーのシーンから始まります。どうやらニューハーフショーパブのようです。乳房を見せながら踊っているのがリラです。
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ちょっとびっくりするくらいにキレイです。正直、パケ詐欺を疑っていましたが、パケ以上にキレイなんですよね。メイクこそ時代を感じますが、現在でも十分通用する美形です。ニューハーフのルックスのレベルは上がっていると思っていたんですが、30年以上前でもこんなにキレイなニューハーフがいたんだなぁ。
 ストーリーは、京都に旅行に来たカップルが、ニューハーフショーパブに遊びに来て、女性の方が酔っ払って先に帰った後、男性はパブのホステスであるリラと出来てしまい、女性は捨てられ、とぼとぼと東京へ帰っていく、というもの。ひどい話だ(笑)。やたらと延々ショーのシーンが続くのもご愛嬌。
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 AVですから、リラと男性のベッドシーンもちゃんと描かれているのですが、当時はモザイク修正はまだ一般的ではなく、アングルで写っちゃいけないものは写さないという撮り方をしています。従って、下半身はほとんど写りません。
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 リラさん、おっぱいはちゃんと入れてるんですが、下も取っているのかどうか。もし取っていれば、ニューハーフではあっても、シーメールではない。となれば「痴女の誕生」で書いた日本最初のシーメールAVが「ちえみ」であることは間違いではないかもしれない、なんて期待をこめながら、リラさんの下半身を凝視しておりました。いい年して、何をやってるんだ、おれ(笑)。
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 しかし、イメージシーンのブリーフがしっかり盛り上がっているところを見ると、チンコ有り。リラさんはシーメールだと言えそうです。


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 続いて、「華麗なるゲイの世界を彩るドラマ エミ」も見てみましょう。パッケージを見るとエミさん、リラさん以上にキレイなんですよ。しかもちょっとエキゾチックな顔立ち。もしかしたらアジア系の人かな……。
 再生して、いきなり登場したのは、メイク中のオッサン。
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え、いくらなんでも、このオッサンがあのエミさんになるわけがない。実際、メイクが終わって完成したのは、んー、あからさまにオカマのおばちゃん。
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いくらなんでもひどいパケ詐欺だ! と思ったら、そこへ来訪者。
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アポロキャップ(時代だ!)を被った長髪の若者。確かに若いけど、顔も声もしっかり青年。エミさんとはだいぶ違う。でも、この青年、豊胸手術をしたらしくて、それをおばちゃんに見せます。
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そして、おばちゃんが。この青年にメイクをすると……。
 わぁ、パッケージのエミさんが完成。
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いや、こちらもリラさん以上にパケよりもキレイじゃないですか。というか、そうとう可愛いですよ、エミさん。これまたびっくり。
 せっかくなので、写真を撮りましょうよ、とおばちゃんに乗せられてセクシーな写真を撮っているうちに、やってきたオジサンとセックスすることに……という展開でした。
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エミさんも、しっかりチンコ付きのようで、シーメールです。
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 本編終了後に「美少年メタモルフォーゼ」なる作品の予告編も入ってましたが、こちらは、つきあってる彼女が「実は私、女しか愛せないの」と言い出して、女装させられてしまうという話のようです。二村ヒトシさんの「女装美少年」の元祖的作品と言ってもいいかもしれません。
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 というわけで、歴史研究というのは、次々と新しい発見がなされてしまうのです。重版かかったら、この辺書き直したいところです……。

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