ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

永山薫×安田理央 対談連載開始

 Webスナイパーで「短期集中連載 永山薫×安田理央 対談『アダルトメディアの現在・過去・未来』」の連載が始まりました。毎週日曜日更新です。

アダルト写真雑誌、AV、エロマンガ……その内部に様々な文化的要素を包括しつつ、その商業形態を劇的に変化させているアダルトメディア。出版不況とインターネット産業の相克の中で、今、見据えるべきポイントはどこにあるのか。漫画評論家・永山薫氏とアダルトメディア研究家・安田理央氏が、素肌と脳で感じているアダルトメディアの状況を縦横無尽に語り尽くす! 大ボリュームの短期集中連載、毎週日曜更新です。

 僕にとっては永山薫さんは伝説の変態エロ雑誌「ビリー」(白夜書房)の執筆者であり、「ビデオ・ザ・ワールド」の初期「チャンネル」執筆者であり、そして名著「エロマンガ・スタディーズ」(イースト・プレス)の著者という、正に憧れの人であります。
 永山さんの新刊「マンガ論争勃発2」(マイクロマガジン社)は、全てのマンガ関係者、そしてエロ関係者、いや出版関係者は必読の一冊であります。ここんとこ僕は、この本と藤木TDCさんの「アダルトビデオ革命史」(幻冬舎新書)をアンダーライン引きまくって勉強中ですよ、ホント。

 そんな憧れの永山さんとエロメディアについての対談というのは、おこがましいというか、何というか。
 女装からネット、規制、出版不況…。エロとマンガというテーマで4時間、しゃべりまくりました。
 かなり面白いものになってますので、ぜひ読んで下さい!



「短期集中連載 永山薫×安田理央 対談『アダルトメディアの現在・過去・未来』」

http://sniper.jp/300special_issue/3004adult_media/post_1493.php

町野変丸が廃業していた

先日Twitterで、町野変丸が2年前に漫画家廃業してることを教えてもらった。Wikipediaで調べてみたら、本当らしい。うわー、全然知らなかった。あまり話題にもなってなかったような気がするんだけど…。

2007年刊行の単行本『さわやかアブノーマル』の後書きで、漫画家を廃業したことを明らかにした。掲載誌の休廃刊が相次ぎ、アブノーマルな作風の漫画家を受け入れる雑誌が減った事が原因。現在では成人向けダウンロードサイトでCGを発表・頒布するのみの活動となっている。

AVでも、バクシーシ山下やゴールドマン、平野勝之といったかつて脚光を浴びた異才を受け入れる場がなく、現在彼らは「AV難民」という新レーベルで新たな活動を始めるというのだけれど、その自虐的なネーミングはなぁ…(笑)。

残念なことだけれど、エロが異才を育てるという時代は終わってしまったんだよなぁ。

B級グルメ探求漫画誌「食漫」(日本文芸社)

漫画ゴラク増刊として、B級グルメ探求漫画誌「食漫」が創刊されました! 
酒のほそ道」のラズウェル細木先生、「食いしん坊!」の土山しげる先生、「江戸前の旬」の九十九森&さとう輝先生など、グルメ漫画鉄壁の布陣を誇る漫画ゴラクだけに期待しちゃいますよ! もう速攻で買いに行きました。
おお、土山先生は、あの名作「食キング」の続編ですか。九十九&さとう先生は当然「江戸前の旬」外伝ですね(「旬」サーガは広がっていくなぁ…)。女の子が寿司職人を目指す「北の寿司姫」ですか。ラズ先生は「喰道楽」。第一回は袋ラーメン食べてますね。これは「食蔵」のラインかな。
さらに「ザ・シェフ」で一世を風靡した加藤唯史先生が「グルメ探偵りょうじ」、そしてグルメ漫画の神様・ビック錠先生がコラムマンガ「うろうろグルメン」! 鼻血の出そうな豪華メンツ(グルメ漫画的に)じゃないですか!
その他、ナポリタンにレトルトカレーにスガキヤに電子レンジに駅弁に酒のつまみに東京ラーメンと、B級グルメなテーマの漫画が揃っております。でもあの怪作「ドカコック」が無いのは残念。このラインナップなら絶対入るべきでしょ!
まだ、こ、コレは!というズバ抜けて面白い作品はありませんが、僕は断固支持しますよ、買い続けますよ!
とはいえ、そんなに続きそうにないかなぁ、というのも正直な感想。そう言えば2001年にも「呑ん兵衛」ワニマガジン)という居酒屋テーマ専門のコミック誌が出ましたが、あっと言う間に消えちゃいましたっけ。あれも、結構よかったんだけどなー。

「はちみつblood」(海野やよい 宙出版)

M女を描かせたらピカイチのエロ漫画の巨匠・海野やよいさんの新刊「はちみつblood」は、なんとエッセイコミック。しかも2年前に糖尿病が発覚してからの闘病記なのでした。いや、ま、全然闘病という悲壮な感じはなくて、むしろ治療を楽しんでしまおうというような、のほほんとした前向きさが心地よいです。
糖尿病ってカロリー制限さえ守れば食べちゃいけないものがないというのは知りませんでしたね。なので一日のカロリーが1600カロリーと制限された海野さんは、まず電子ハカリを買ってきて「みっちり規定量の限界まで食う!」と考えるのです。我慢するのではなくて、その1600カロリーでいかに満足できるかを楽しんじゃう。
いやー、参考になります。僕も他人事じゃないからなぁ。最近調べてないから、今度検査受けよう(笑)。でも、もし糖尿病だと発覚しても、この本があるから、楽しみつつ治療ができると思います。これなら、僕も闘えるかもって気になりますからね。
カロリー制限してからの海野さん、すんごく痩せたんですよね。別人としか思えないくらい。そういえば下関マグロさんも糖尿病になってダイエットに成功してたし、僕もまた頑張ろうかなぁ。
いやね、2年ほど前に10キロほど落として、「ああ、おれはいつでも体重落とせるんだな」と思ったら、なかなかダイエットに気が入らなくて…。一応、毎朝体重と体脂肪計って、一日一万歩以上歩くようにはしてるんですが…。

本の元になったblogはこちら。http://honeyblood.blog41.fc2.com/

「地を這う魚 ひでおの青春日記」(吾妻ひでお 角川書店)

 2005年から「新現実」「コミックチャージ」と雑誌を変えながら掲載されてきた吾妻ひでおのデビュー時代を描いた自伝的作品「地を這う魚」が描き下ろしを加えて単行本化されました。
 1968年、漫画家を目指して上京した若き吾妻ひでおと仲間たちの青春スケッチ。いわば吾妻版「まんが道」、いや、どちらかというと「漫画家残酷物語」に近いか。
 しかし、単なるノスタルジックな青春モノには終わらせないのが吾妻ひでお。この世界では、吾妻本人と若い女性以外はすべて馬やワニやロボットなどの非人間として描かれ(なぜか、通行人などその他扱いのキャラは人間だったりする)、空中や地面には魚や訳のわからない異形の生物がウロウロしているのです。まるで悪夢のようなトリップワールド。その中で、悶々とした日々を送る漫画家志望の吾妻青年。
 シュールで切なく虚無的な唯一無二の世界。「不条理日記」〜「海から来た機械」のムードに近いと言えば近いけれど、もっと深みがあります。画も素晴らしい。吾妻ひでおは、新たな黄金期を迎えようとしているのではないでしょうか?
 これ、ジブリがアニメ化したら、すごくハマるような気がします。

僕はもっとも好きな漫画が「まんが道」というくらいで漫画家漫画は大好きなのですが、どうしてこうも、漫画家漫画は死の匂いに満ちているのでしょうか?
 古典で言えば「まんが道」は登場する実在の人物のほとんどが死んでいますし、「漫画家残酷物語」もキャラクターが死ぬ話ばかり。最近では小林まことの傑作「青春少年マガジン1978〜1983」も主人公以外の主要キャラ2人の死で幕を閉じます。この「地を這う魚」も直接的には死を描いてはいませんが、その匂いは作品中に満ちています。
 まぁ、それほど漫画家という仕事が過酷なものというわけなんでしょうけど。「バクマン」はどうなるんだろう…。

 あと長田要によるコミック版「花と蛇」4巻も出ました。これで完結。後半は大分駆け足になっちゃってるけど、これも原作の終わり無き悪夢のような世界のムードを見事に描いていると思いますね。ちょっと淡々としすぎてるけど、「花と蛇」のビジュアライズ化では、一番いいんじゃないかなぁ。

「このマンガはすごい!2009」(宝島社)

 今年も「このマンガはすごい!2009」のアンケートに参加させていただきました。コメントで「最近の『スピリッツ』は鬱々したマンガばかりでひどい」なんてことを書いちゃったんですけど、今年の年間ランキングを見ても、20位内にスピリッツの作品が一本も入ってないんですよね(「とめはねっ!」はスピリッツに移籍してきたけど)。20位以下でも「闇金ウシジマくん」と「ギャラクシー銀河」だけ。
 一方、快調なのが「モーニング」勢。20以内に5作品チャートイン。さらに1位の「聖☆お兄さん」も「モーニング・ツー」の連載だしねぇ。いや、確かにここんとこの「モーニング」のレベルの高さはめざましいですよ。そういや、今週号掲載のちばてつや大賞受賞作の「RAIL GIRL」も心温まるいい作品だったし。
 でも、長年「スピリッツ」を読んでる人間としては、やっぱりがんばって欲しいですねぇ。僕の中では「スピリッツ」と「モーニング」は青年マンガ界の両輪なんですよね。この二誌が好調でこそ、健全なマンガ界という気がする。
 好き度で言うと「ヤンマガ」と「ゴラク」の方が上なんだけどね(笑)。

「きのう何食べた?」でもしょうゆ味は少数派

モーニング月一連載の「きのう何食べた?」(よしながふみ)は、今一番面白い漫画だと思っております。ゲイカップルがご飯作って食べるだけの話なんですけどね。料理にすごくリアリティがある。ほら、普通の料理漫画って一品豪華主義なんですが、「きのう何食べた?」のシロさんは、ちゃんとバランスの取れたメニューを考えてるんですよ。食材をどう使い回すか悩んだり。無駄にリアル。

そして今週号のお話は、なんとテーマが、僕のこよなく愛するサッポロ一番

主人公のひとりであるケンジが、ものすごく幸せそうに、サッポロ一番みそ味を作って、食べております。全サッポロ一番ファン必読! そうだよね、サッポロ一番食べる時って、最高に幸せな気分になるよね! おれ、人生で最後の食事は何にするかって聞かれたら、たぶんサッポロ一番しょうゆ味と答えると思いますよ。

ただ、今回の話の冒頭で塩かみそかしょうゆかを議論するシーンがあって、しょうゆは「少数派!」と決めつけられていたのが、しょうゆ味原理主義者の僕にとっては哀しかったなぁ。みそも塩も美味しいと思うけど、結局戻ってくるところは、しょうゆ味だと思うんだけどなぁ。

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