ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」

 80年代初頭のへヴィメタルブームで注目を浴び、後進のバンドにも大きな影響を与えたアンヴィル。しかし同時期に活躍していた多くのバンドが商業的に成功していったのに対して彼らはシーンから無視され、不遇の時を過ごす。そしてリーダーのリップスは50歳を迎える。未だに彼らは音楽でビッグになるという夢をあきらめず、地元のカナダで活動を続けていた。もちろんバンドでは食えず、給食センターの運転手として働きつつ…。
 そんなリップスと、常に彼と活動を共にしてきたドラマーのロブの二人を中心に、アンヴィルの現状を追ったドキュメンタリー。マイケル・ムーアキアヌ・リーブスダスティン・ホフマンなどが絶賛するなど、話題となっている。

 いやぁ、もう切なくて直視できない映画ですよ。特に僕は今年、25年活動してきたバンドを解散しようという状態で見たので、なおさらシーンのひとつひとつが心に突き刺さります。家族から白い目で見られるリップス、お客のほとんどいない会場で全力で演奏するリップス、自信満々で持ち込んだニューアルバムの音源(もちろん自主制作)がレコード会社で全く相手にされないリップス。
 
 僕自身はリップスほど、音楽に打ち込むことはできなかったけれど、あれはもうひとつの自分の未来なのかなぁという気持ちで見ていました。確かにリップスの置かれている状況は厳しく、みじめなものだけれど、あそこまで自分のスタイルを貫き、自分の音楽を信じられるなんて、羨ましく思えました。

 ラスト、はるばるやってきた日本でのライブ。楽屋からステージに向かう長い通路で、客が入っているのか入っていないのか、不安に襲われながらステージに向かうリップスたち。見ていながら、一緒に祈ってしまいましたよ、ロックの神に。

 ま、アンヴィルの音楽自体は苦手なんですけどね(笑)。

『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』公式サイト

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