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ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「PANCHKA」、そして「AV難民」について思ったこと。

AV

 ディープスの「マジックミラー号」などで知られるパンチ監督が、自主制作レーベル「PANCHKA」を設立しリリースを開始しました。その第一弾が「PANCHKA Vol.1 ヨメに逃げられ、アキレス切って、気が動転して・・・アタマ真っ白けの淋しいオヤジがあっちゃこっちゃの女の子の自宅におじゃま旅」。
 ユニークなのが、通常パッケージ版はAmazonで販売し、ノンパッケージ版を低価格で自分のサイトで販売するというシステム。こういうのも自主レーベルだからこそ出来るわけですね。ちなみにノンパッケージ版の包装は、何かにそっくりだなぁ(笑)。

「PANCHKA」サイトに書かれているテキストを引用してみますね。

熱くって自由で何か面白い事が起きそうな気がするインディーズAVが最もインディーズらしかった頃の本物のインディーズAVが好きでこの業界に入った私の信念から、この『ぱんちか』というサイトを始めさせていただきました。

たぶん、、、業界一小粒なエロ屋です。でも、、、小さいから自由です。小さいからできる事があります。

イメージとしては有機野菜の直売所みたいなものです。たとえば手作りで新鮮なおいしい泉州ナスを畑で採って来てすぐ農家の縁側でガブリと食べるようなそんな本質的な感動ってあると思うんです。

(中略)
つまり、、、私AV監督パンチは今まで大手メーカーさんでは制約があって実現出来なかったあんな事やこんな事、、、本気でやりたかった事を全開で表現します。
(後略)

おお、これは正に僕が「No1 in HEAVEN」を作るにあたって考えたコンセプトや竹熊健太郎さんの「町のパン屋さんのような出版社」論と完全にリンクしてるじゃないですか。やっぱり時代はこっち方面に流れてきているような気がしますよ。

 さて「PANCHKA Vol.1」ですが、内容はパンチ監督のハメ撮りドキュメント物です。離婚してダウナーになってしまったパンチ監督が、以前に「マジックミラー号」でナンパして、それからつきあっているという九州の愛人の元に転がり込んだり、街でナンパしたカップルのラブラブなセックス(女の子が生理になっちゃったのでオーラルのみだけど)を撮らせてもらったり、やはり以前にナンパ撮影した埼玉の巨乳熟女をハメ撮りしたり、そしてラストには、長年相棒として活躍したディープスの女性プロデューサーまで登場!
心情吐露のテロップが多用され、女性たちとのリアルな会話やコミュニケーションがじっくりと描かれ、ようするにカンパニー松尾直系の私小説的ハメ撮りロードムービーなのですね。今は松尾さんも、あんまり撮らなくなっちゃったことでもわかるように、一時期はフォロワーが乱立したこの路線、現在のAV業界では受け入れられていないわけですよ。そんな余計な映像はいらないよ、そんなの入れるくらいなら、可愛い女の子のエロいセックスをみっちり撮れというのが現在のAVの流れです。
 いや、それは正しいんですよ。オナニーツールとしてAVを考えた時、それは絶対的に正しい。誤解されがちですが、僕は今のAVの完成度は素晴らしいと思っています。
 ただ、それしかないというのはつまらないんじゃないかとも思うのです。AVにだって、色々な手法があり、色々な価値観が共存していた方が健全ではないかと。

昨夜、ロフトプラスワンで「AV難民」というメーカーのイベントが行われました。ゴールドマン、バクシーシ山下平野勝之という90年代AVの革命児たちが集結したメーカーです。しかし、この自虐的なメーカー名からわかるように、現在彼らはAV業界の中では完全に傍流。というか、居場所がなくなっちゃってるんですね。
イベントでは彼らのかつての作品を上映したんですが、やっぱりすごいわけですよ。圧倒的に面白くて、狂ってて、危険なんですよ、映像が。こんなに面白いものを作れた彼らが、難民扱いされてしまうというのは、あまりにも勿体無い。
といっても「AV難民」でリリースされる作品は、彼らが割とまともにAVを撮ろうとしているので、正直いってその力量を活かしきれてないように思います。まともなAVなら、今の監督に到底叶わないですからね。
90年代に彼らが強烈な作品を制作できたのは、やはりV&Rプランニング、そして安達かおるという理解者があったからこそ(ゴールドマンはV&Rでは、ほとんど撮ってないですが)なんですよね。今、そうした理解者がAV業界の中にはいないんです。いや、いたとしても、現在のAV業界のシステムの中では立ちいかないことは目に見えています。V&Rがああいう作品をリリースできたのは、レンタルというシステムの中だったからなんですね。現在のセル中心のシステムでは、難しいでしょう。

だからこその「No1 in HEAVEN」であり、「PANCHKA」なのですよ。既存のセルAVの流通システムとは違った新しいシステム、それはたぶんコンパクトでインディペンデントなシステムだと思うのですが、それを作り出すことが、こうした面白いAVを成り立たせる唯一の方法ではないかと思うのです。ま、ようは売上本数は少なくても成り立つような体制であり、それを面白がる人の元へちゃんと届けられる流通ですね。

「PANCHKA Vol.1」はすごく面白かったのです。なによりも生々しい。前に「もうちょっと上手くダマして欲しいよね」エントリーでも書きましたが、最近のAVのドキュメンタリー(風)ものは、オナニーツールとしての効果を求めるあまり、あからさまにウソっぽくなってるわけです。でも「PANCHKA Vol.1」はリアル。いや、本当はどうなのかわからないけれど、少なくとも見ていて100%リアルに見える。ルックスのいい子もキツイ人も、色々出てくるけれど、それも含めてリアルでエロい。
クライマックスはディープス時代に長年一緒に仕事をしてきた妹分のような存在であるプロデューサー、イケパイが、メーカー立ち上げのご祝儀として出演するシーン。素晴らしい美巨乳の持ち主であり美人社員として有名な子です。といっても、パンチ監督とハメ撮りするわけではなくて、彼女の部屋で下着や水着でのイメージシーンを撮るだけなんですが、これがエロいのエロくないの。深い知り合いであるパンチ監督に、自分の肉体を撮られるという羞じらい。その表情。これこそ素人撮りの醍醐味ですよ。自分が撮る側として、さんざん素人女性をAVに出演させてきたイケパイが、初めて撮られる側に回る。羞じらい、とまどい、泣きそうになり、そして明らかに興奮している。最後には「さっき濡れてました」なんて感想まで漏らしてしまう。セックスどころか、脱ぎもなく、言ってみれば着エロみたいなものなんですが、それでも普通のAVの中のハードなカラミなんかよりも、ずっとエロかったんです。

こういう既存の「主流」からハミだしてしまう部分に、たくさんの宝石が隠れているんです。売れる売れないだけで単純に判断して、無くしてしまうのは、もったいなさすぎる。

「PANCHIKA」公式サイト
 http://www.panchka.com/
「PANCHKA Vol.1」 http://www.amazon.co.jp/gp/product/B0031FETAI/ref=sr_1_1?ie=UTF8&redirect=true&s=dvd&qid=1261498167&sr=1-1
「AV難民」公式サイト http://www.tk-dragons.com/

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