ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

春原未来のこと、そして日本のAV女優の進化について考えたこと

 先日、レビューの仕事で「100人斬り ついでに30発も大量ゴックンしちゃいました! 春原未来」(アイデアポケット)という作品を見て、唸った。
 人気企画単体女優である春原未来が、100人の男優を次々とフェラや本番で抜いていくという内容だ。確かにハードではあるが、こうした作品はこれまでにもたくさん作られてきていて、特に驚くほどのことはない。
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 しかし、この作品での春原未来がすごいのだ。最初から最後まで笑顔を浮かべて、実に楽しそうに男たちにむしゃぶりついていく。
 カウントしながら見ていたのだが、顔射27発、口内発射が37発、胸や尻などへの射精が40発。挿入は54回まで数えられた。
 彼女の顔も身体も大量のザーメンでドロドロに汚れていく。だが、彼女の表情は曇ることはない。その笑顔には神々しさすら感じてしまう。
 こういうシチュエーションならば、普通は淫乱痴女か、あるいは痛々しく凌辱される女に見えてしまうものだが、春原未来はあくまでも男たちを喜ばせるために尽くす。作業的に「抜く」こともしない。一回一回きっちり心を込めてセックスを見せる。もう天使としか、言いようがない。


 春原未来は、もともとは「kawaii*」という美少女系メーカーで単体女優としてデビューしているだけあって、ルックスもかなりいい。誰が見ても美女だと思うだろう。そんな女性がここまでやるのだ。日本のAV女優は、こんな境地にまで来ている。
「私、AV女優とかちょっと興味あるんですよねー」なんて言う女性に、この作品を見せたい。そして問いたい。お前はここまで出来る自信があるのか? と。

 まぁ、実際に春原未来はAV女優の中でも、特異と言ってもいいほどに先鋭的な存在だ。その凄さは、このインタビュー記事を見てもらえばわかるだろう。

AVライターアケミンの『きになるあのこ』 第47回 春原未来
前編 
中編 
後編 

春原 作品を売るのは営業さんの仕事、広報さんの仕事って言われてたけど、でも私はそこの流通まで女優が手を出すべきだと思ってるんですよ。
──プロモーションってこと?
春原 購買意欲を上げさせるのも女優の仕事。私は撮影をしたら仕事が終わり、じゃなくて、撮って編集されて出来上がったものを観て…そこでやっと一つの仕事が終わったっていう気持ちでやっているから。
──なるほど。じゃあ自分の作品も観る?
春原 はい、観ています。全ては観れないですけど…。2980円って安いって思う人もいるかもしれないけど、高いって思う人もいるし。だから2980円出してもいいかどうか、それを決める材料をまず増やすべきだと思う。サンプル動画だけしか、買うか買わないかと決める判断材料が無いってこと自体がまずおかしいし、DMMとかでも特典がつくほうがランキングも上。私は売れる為だったらチェキ何百枚も撮るし、パンツも何枚でも履くし、そういう努力は惜しまないから言って欲しいと思っています。


 女は脱げば金になる。そんな牧歌的な時代は遠い過去だ。AV女優になろうと決意してこの世界にやってきても、仕事が全くないという女性が山のようにいる。と、いうよりも、ちゃんと仕事がある女優の方が少ないほどだ。このご時世、制作側も安易なキャスティングはしない。熟考に熟考を重ねて、売れる子しか撮らない。それは可愛くて、仕事の出来る子だ。必然的に仕事は一部の女優に集中する。
 少し前には可愛いAV女優に「そんなに可愛いのだから、何も脱がなくても」などと言う人がいたが、今は「可愛いのだから、脱がせてもらえる」のだ。可愛くない子は、せいぜいその他大勢のエキストラのような仕事しかない。セックスどころか、脱がせてももらえないのだ。
 
 よく今のAV女優のルックスのレベルが上がったと言われるが、それも当然の話なのだ。普通の人の目につくような「売れっ子」のAV女優というのは、膨大な数の女優の中から選び抜かれた子なのだから。恐らく全てのAV女優の平均値を出したとしたら、10年前20年前と、そう変わらないかもしれない。10年前には考えられなかったような素晴らしいルックスのAV女優たちの背後には、数えきれないほどの並の、あるいは並以下のAV女優たちが潜んでいるのだ。

 前述の春原未来の発言に代表されるように、今のAV女優たちは仕事に対する意識が非常に強い。以前のようにわがままな女の子というのは、極めて少なくなった。どんなにルックスがよくても、スタッフに嫌われるような子は生き延びられない。彼女たちもそれを十分にわかっている。だから、今のAV女優たちは現場や取材の場で、スタッフや関係者にも、きっちりと気を使う。昔のAV女優しか知らない人は、今の現場に来ると驚くはずだ。
 彼女たちは、自分が今、何を求められているのかをしっかりと考え、それに応えようとする。そして、それをこなすスキルが彼女たちにはある。

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 昨年、「輝け!日本ハメ撮り大賞 2013」HMJM)というAVの撮影に参加した。これは15人の監督、男優が一堂に介してハメ撮りを競い合うという企画で、筆者はその審査を担当した。実は2000年にも「驚きナマ撮り21世紀」(h.m.p)というタイトルで同様の企画があり、13年ぶりの第二回開催というわけだ。前回も筆者は審査員として参加していたが、今回の撮影で思い知ったのは13年でAV女優がここまで進化したのだという事実だった。
 この企画では、3人の女優を監督たちが競作の形でハメ撮りする。今回なら、各女優が5人づつ相手にするわけだ。一日で5人相手にするというだけでも、単純に体力的に大変だと思うのだが、彼女たちは全ての撮影が終った後でもケロリとしていて、そのタフさには驚かされた。
 いや、本当に驚かされたのは撮影された作品を見てからだ。15人の監督はこの企画の主催であるカンパニー松尾バクシーシ山下といった40代のベテランあり、みならい(監督名)のような20代の若手監督あり、さらにハメ撮りは素人という男優もいるなど、かなりバラエティに富んだメンツだった。それぞれが意匠を凝らした撮影に挑んだため、女優たちにも様々な役割が要求された。
 撮影された映像を見ると、彼女たちはその要求に見事に応えていた。いや、多くの場合は監督の要求以上のパフォーマンスを見せてくれていたのだ。例えば、ハメ撮り経験のない新人男優による作品でも、女優がきっちりとリードして実用度の高い仕上がりにしていた。
 ちなみにその女優というのは、春原未来である。他の2人、原千草と佐々木まおも素晴らしかった。もちろん監督たちのアイディアやテクニックにも十分楽しませてもらったのだが、全ての審査を終えた時に強く印象に残ったのは女優たちのスキルの高さだったのだ。
 2000年版の3人の女優たちが、監督たちの素材にしか過ぎなかったのに比べて、2013年の女優たちは鬼才監督たちをも凌駕するパフォーマンスを見せたのだ。その違いこそ、この13年間におけるAV女優の進化そのものだった。

 どうして日本のAV女優はここまでスキルが高くなってしまったのだろうか。制作者側としても、視聴者としても、それは単純に喜んでいいことであるはずなのに、なんだか少し怖くなる時もある。
 AV女優たちは、いや、日本の女性は、いったいどこまで行くのだろうか。そして男は、その進化についていけているのだろうか。


 

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