品川名物貝づくし(980円/東京都/A-0)
駅弁大会期間中の週末に恒例となっている「ロマ弁(駅弁とゆくロマンスの旅)」、つまり、京王駅弁大会で駅弁を買ってロマンスカーで食べるという日帰り旅行。これを毎年、駅弁大会仲間でやってるわけですが、この時にどんな駅弁を持っていくかは悩ましいところであります。ここで下手な駅弁を選ぶわけにはいかないですからね。もうチラシを入手した時から、ずっと考えているわけですよ。
今年のロマ弁で僕が選んだのは、「品川名物貝づくし」と「牡蠣まつり」という貝フルコース。必ずお酒を飲むわけなので、そこに合わせて考えました。というか、これは酒必須弁当でしょう。なのでここまで温存してきたんですね。
まずは東京は東海道新幹線の品川駅の「品川名物貝づくし」から行きましょう。フタを開けると、茶飯の上にびっしりと貝。ハマグリ、アサリ、しじみ、貝柱、焼きホタテ。貝づくしの名前に偽りなし。
ちょい濃い目の味付けもお酒のアテにぴったり。そして貝というのは歯ごたえがあって、食いでもあるわけですよ。ずっと噛んでいられる。つまり、すごく長持ちする駅弁なんですよ。つまりは、酒が進む、進む。
半分も食べないうちにビールがひと缶開いて、ワンカップ日本酒に突入。本気出したら、これでワンカップ2~3本は楽勝ですね。そういう意味で、最もコストパフォーマンスの高い駅弁と言えるかもしれません。これで980円なんだもの。いや、本当に今度、これでどれだけ飲めるか、挑戦してみようかな。
カジキソースカツ丼(880円/福島県/A-0)
カジキマグロカツのソースカツ丼というだけでも珍しいのに、それが駅弁。魚カツは好きだし、ソースカツ丼も大好き。そりゃあ、食べないわけには行きませんよね。
もうパッケージから、B級の香りが漂っているわけですが、ご飯の上にマグロカツがドーンとのっている弁面は、今期最高のB級駅弁と個人的認定の千葉のトンかつ弁当のかなり似てますね。
そして味の方向性もかなり似た感じ。ソースがたっぷり染み込んだ香ばしいカツは、どこか駄菓子感覚の美味さ。ソースカツ丼ならではのカツの下に敷かれた千切りキャベツがまたいいんですよね。オリーブオイルで和えてあります。
このカジキソースカツ丼と千葉のトンかつ弁当、そしてながさき鯨カツ弁当の3つは同じジャンルな気がするんですよね。駄菓子系カツ弁当(褒めてます)。いわゆる男の子の味。おやつ感覚で食べたい駅弁です。いや、ボリュームは結構あるんですけどね。
玉屋の奥久慈しゃも弁当(1180円/茨城県/A-3)
後半戦から登場の実演で何か行きたいな、と思って選んだのがこれです。茨城県水郡線の常陸大子駅の「玉屋の奥久慈しゃも弁当」。これは初登場だった去年も買ってます。
ご飯の上に甘辛く煮たしゃもがどっさり。そして炒り卵とささがきゴボウ。
去年も思ったんですが、とにかくボリュームがある。量もなんですが、しゃも肉がしっかりとした歯ごたえで食べごたえがあるので、実際の量よりも多く感じるんですよね。
お腹にずっしりと来ます。ムネ肉とモモ肉の両方があるのも飽きなくていいですね。
駅弁大会では牛肉が幅をきかせてますが、鶏肉だって負けてないですよ、という駅弁です。去年から180円値上げしてるのは、ちょっと残念。千円でこのボリューム! というところもよかったので。でも、まぁ、昨今の情勢からして値上げはしょうがないですよね。
高原野菜とカツの弁当(1000円/山梨県/A-4)
さて、後半戦です。後半戦のチラシ、見開きの掲載駅弁が72個中41個の変わっていて、新鮮ですねぇ(昨年は32個交代)。
後半戦一発目に選んだのは、山梨県中央本線の小淵沢駅の「高原野菜とカツのお弁当」です。え、野菜がメイン? カツよりも先に書いちゃうの? 弁面を見てみると確かにおかず部の半分以上を野菜が占めているという異色の駅弁です。
しかし、この駅弁、1970年からのロングセラーだというから驚きますね。そんな昔から高原野菜を活かした駅弁を作ろうなんて発想があったとは!
確かにパッケージも時代を感じさせるレトロで可愛いデザインです。
野菜は、レタス、セロリ、キュウリ、ミニトマト、カリフラワー。そしてコーンやしめじ、茎さつま、リンゴ、山ごぼうというラインナップ。キューピーのレインボードレッシングが付いていて、これをかけてサラダとして食べるわけです。レタスやキュウリの緑にトマトの赤、レモンやコーンの黄と彩りもキレイ。最もカラフルな駅弁と言ってもいいかもしれません。
いや、これが美味しくてビックリ。特にシャキシャキとしたレタスの素晴らしさよ。駅弁の野菜を美味しいと思ったのは初めての体験ですよ。もう一袋「味なお塩」というのもついてくるので、お好みで塩で食べるのも素材の味がよくわかっていいのかもしれないですね。
さらにカツはチキンカツが3つ。製造元の丸政さんは、甲州かつサンドでおなじみなんですが、僕はあのかつサンドも豚より鶏の方が好きなので、チキンカツというのは歓迎です。こちらも安定の美味さなわけですよ。ちゃんとマスタードも付いているあたりも嬉しい。
いや、でも、そのカツを凌駕するサラダの美味さよ。なるほど、確かにこれは生野菜メインの駅弁なのだな、と思いましたね。
あと、駅弁にはめずらしくご飯部が白米一発。炊き込みご飯でも混ぜご飯でもなく、上に何も乗ってない。漬物すらない。この潔さには惚れ惚れしましたね。野菜とカツだけで、十分だろう、という丸政さんからのメッセージをしっかりと受け取りましたよ。
豊後水道味めぐり弁当(1080円/大分県/A-0)
今日は仕事のスケジュール的に、京王に行くのは無理だ。しかも前半戦最終日だから5時で閉会。これは諦めるしかないか……。
いや、ここをこうして、こうすれば、なんとか新宿に立ち寄る時間が作れるぞ。よし、行ける!
考えてみれば、何も毎日行く必要なんてないわけですが、それでもちょっと無理して行ってきました。前半戦最終日に購入したのは大分県は日豊本線の大分駅の「豊後水道味めぐり弁当」。
あの、「山海三味」や「なごり雪」を作った鮨由の初登場弁当ですからね。これは当たりに決まってるじゃないですか。
鯖、焼き鯖、鯛、小肌、サーモン、海老という六種類六個の押し寿司が入った贅沢さ。
しかもすごいのが、それぞれ酢飯に別の具材が挟んであるんですね。
サーモンにはキュウリ、焼き鯖には紫蘇、海老にはキュウリと玉子焼き、などひとつひとつ変えてあるんですよ。なんという手間ひまかけた駅弁なんでしょうか。
これによって、それぞれの味がくっきりと鮮やかな違いを見せてくれるんですよね。
海老やレンコン、さつま芋などのおかず部もナイスアシスト。
こんなに凝っていて、1080円はお値打ちですよね。うん、これは満足感ありますよ。
たらば蟹ちらし(1380円/北海道/B-5)
僕は基本的に海鮮系卑怯弁(そんな素材使ったら、そりゃあ、美味いに決まってるよ! ズルいよ!という駅弁)には手を出さないのですが、たまには行ってみましょうか。
北海道は根室本線・釧路駅の「たらば蟹ちらし」です。
八角形のややコンパクトなサイズに、たらば蟹がどっさり。ちらし寿司ということで、イクラや錦糸玉子、椎茸にガリも乗っているわけですが、こちらの量は控えめ。ひたすらたらば蟹で攻めてきます。
うむ、たらば蟹は当然の美味さなのですが、食べてみるとそれ以上に酢飯込みでの美味さというか、「ちらし寿司」としての絶妙のバランスなんですね。イクラも少なめかと思ったけど、アクセントとしてちょうどいい量なのね。錦糸玉子や椎茸も同じく。
あー、なるほど、美味しい素材であってもそれだけじゃなくて、しっかりバランスを考えているから人気弁当になるのだなぁ、と改めて再認識しました。卑怯なんて言っちゃってスイマセン。