ダリブロ 安田理央Blog

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 「花と蛇」作:団鬼六 画:長田要

特冊新鮮組で連載していた長田要:画による「花と蛇」がようやく単行本化されました。1,2巻同時発売。現在休載中のようですが、この続刊は出るのかな。
 前にも書きましたが、これまでにも「花と蛇」映像化作品は死ぬほどありながら、どういうわけか原作に忠実な作品はひとつもないのですよ。ほとんどがタイトル以外、原作とは全く関係無いような代物。
 でも長田要は以前に描いた「お柳情炎」が、原作に忠実な素晴らしい出来だったので、この長田版「花と蛇」は期待してたのです。待ちに待った単行本化ですよ。即買い!ですよ。
 夜桜団のリンチにあった義理の娘・桂子を助けようとして静子が捕らえられてしまう導入部から、美人探偵・京子、その妹の美津子、令嬢・小夜子と文夫の姉弟と次々に淫虐地獄へ堕とされていく展開も、ほぼ原作どおり。原作発表から40年を経て、初めて忠実なビジュアライズ化されたといってもいいでしょう。長田要のレトロなムードがありながらも、古臭さを感じさせないというタッチもマッチしています。
 それなのに、なぜかイマイチ、グッとこないのは何故でしょう。リアルすぎる女体の描写が色気を感じさせないから? 盛り上がるはずの浣腸シーンの描写があっさりし過ぎているから? いろいろ理由は考えられますが、やはり「花と蛇」という作品の特異性によるところが大きいと思います。いやね、本当にこの作品って、ストーリーがないんですよ。ただひたすらに、美女をさらってきては辱めるだけ。辱めも、それほどバリエーションは無いんですね。ビジュアルで見ると、そのワンパターン性が、はっきりとわかっちゃうんですよ。どのページ見ても、同じような絵面になっちゃう。
 それなのに、あれだけの超長編に仕立て上げて、40年もの長きに渡って読者に熱狂的に支持されている原作「花と蛇」というのは、まったくもって凄い小説です。これはひとえに団鬼六の筆力の凄さということなんでしょうかね。
 ということは、忠実にビジュアライズされた「花と蛇」決定版というのは、僕らファンにとって永遠に見果てぬ夢なのかもしれませんね。

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