ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

滊車辨當(450円/栃木県/D-1)

 今年のチラシを手にした時から、ずっと気になってしかたなかったのが、この滊車辨當。大会最安値の450円という値段もさることながら、チラシの写真で見る限り竹の皮で包まれたおにぎりが二個、以上。その間にチラリとお新香が見える? おにぎりも、海苔は巻いておらず、ごま塩をかけただけ。もしかして、中に具も入ってなかったりする?
 と、こちらの想像力を刺激しまくるその佇まい。しかも、チラシではふたコマ分のスペースを使って大きく掲載。つまりこれは京王も推しているということ。いったいこの駅弁は何なんだろう……?

 というわけで、駅弁大会仲間の間でも話題沸騰。大会前のチラシ飲みの時も半分くらいはこの弁当の話をしていたような気がします。そこで「ネタバレ禁止」という声も上がりました。中身に何が入っているか、など、ネタバレしてしまうと、面白みがなくなるからです。初のネタバレ禁止弁! ということで、このBlogでも、レビューの公表を控えていたわけです。
 しかも大会が始まると、この駅弁、あっという間に売り切れてしまうのです。幻の駅弁。もしかすると、これはとんでもない名弁なのではないか。期待と妄想が膨らんでいきます。
 大会6日目にして、ようやくゲット! 11時過ぎなのに売り場にたくさん積まれているじゃないですか。これは販売量を増やしたのかな? とにもかくにも、購入したわけですが、12時半にはもう売り切れてたらしいです。
https://www.instagram.com/p/BAbKnMiDW20/

 さて、それでは食べてみましょう。いやね、おにぎり二つですから、物足りなくなることは必須。だから別にもう一個駅弁買おうか、あるいは「うまいもの」でおかずを買っておくか。ながさき鯨カツ弁当の鯨カツを一枚バラ売りで買うのもいいかも……なんて考えたんですが、やはりここは、これだけで食べてみて、その満足度を図るべきだと思いまして、控えました。仕事場に買って帰って食べる時は、いつもインスタント味噌汁をつけるんですが、今回はそれも止めてお茶だけにしました。この駅弁だけで勝負! したかったのです。

 二枚重ねられた竹の皮を開くと、おお、おにぎりがゴロンと二個、ラップにくるまれています。そしてその横には黄色いタクアンが二切れ、以上。なんという潔さ。正式名称は「駅弁発祥の地 滊車辨當」というのですから、これは元祖駅弁の形なのでしょう。これこそが駅弁の原点なのです。豪華なおかずに頼る駅弁を嘲笑うかのようなシンプルな力強さ。お前にとって、駅弁とは何なのかを問いかけてくる、そんな駅弁ではないでしょうか。

 おにぎりにガブリと食いつきます……。固い。冷えたご飯がゴワゴワしています。かなり大ぶりでしっかり握られています。二口目でようやく中の具に到達。梅干しです。ああ、やはり梅干しか。しかし、梅干しの酸味と塩っぱさに出会った時に、なんと美味なことよ。というか、これはもう梅干しが頼り。だって、ご飯が美味しくないんだもん(笑)。
 もうひとつのおにぎりも、中身は梅干し。二切れのタクアンがこんなに嬉しかったことはないですね。梅干しうめぇ、たくあんうめぇ。……うん、駅弁におかずは必要だな……。食べではあるので、とりあえずお腹はいっぱいになるんですけどね。

 というわけで、ううむ。この大会では450円は破格の安さですが、コンビニで100円のおにぎり二個買った方が、安くて美味しいよな、というのが正直なところですな。いや、しかし、それは駅弁に関しては禁句。そういう意味でも、お前にとって、駅弁とは何なのかと問いかけられるわけです。そういうコストパフォーマンスでお前は駅弁を食っているのかと。

 でも、まぁ、食べる瞬間まで、すごく楽しませてくれたので、文句はないです。むしろ、ありがとう、滊車辨當! と言いたい気持ちです。これを食べたことで、自分は駅弁者として、ひとつステップを上がった気がします。いや、次回また来ても、たぶんもう買わないけど(笑)。

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