例年よりはちょっと遅めですが、もう来週からですよ、京王百貨店新宿店「第52回 元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」。みなさん、もちろんチラシはフライングゲットして、激しく検討していますよね。
もう何度も書いていることですが、僕は京王駅弁大会の魅力は、このチラシにあると思っています。自分がどうして京王駅弁大会が好きなのか、どうして燃えるのか、それを突き詰めて考えていくと、このチラシにたどり着いたのです。
京王駅弁大会が好きだというと、「じゃあ駅弁が好きなんだ」と思われます。いや、そりゃ当然そう思いますよね。駅弁が好きだから、駅弁大会で駅弁を買う。そう考えるのが普通です。
でも、考えてみると、僕はそんなに駅弁自体が好きなわけではないのですね。1月以外は駅弁の情報には見向きもしません。テレビで駅弁の特集番組をやっていても、まず見ません。
また、駅弁大会が好きというと、「でも駅弁って、旅先で食べるからいいんじゃないの?」などと言われます。そこには僕は反論します。
「いや、旅先だったら、駅弁よりお店で食べた方が安くて美味しいと思うよ」
駅弁、やっぱり高いですよ。お店で千円出したら、温かくてもっと美味しいもの、食べられますよ。
じゃあ、なんで僕はこんなに駅弁大会に惹かれるのか。さらに言えば京王以外の駅弁大会には、そんなにそそられないんですよね。あくまでも、毎年1月に京王百貨店新宿店で開催される「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」が好きなのです。なので、駅弁マニアとか駅弁大会マニアと言われると、申し訳ない気持ちになります。僕は単なる京王駅弁大会ファンでしかないので、京王駅弁大会に出ていない駅弁には、あまり興味がない。
京王駅弁大会は何が違うのか。まず今年で52回という歴史を持つ日本一の駅弁大会だということでしょう。全国から300種類以上の駅弁が集結し、テレビ番組などでも毎年大きく取り上げられる。つまり「駅弁の甲子園」とも言えるべきイベントなのです。参加する駅弁業者の意気込みも、やはり違うわけです。お客さんだって、他のイベントとはちょっと違う意気込みで来ています。それがあの会場の熱気を産んでいるのです。
どんな人だってあの会場に足を踏み入れた途端にアドレナリンがドバドバ出て、テンションが上がります。うん、このフェスティバル感が京王駅弁大会最大の魅力なんだ!
と、思っていたんですが、さらによく考えてみると、それだったら他のメガ物産展でもよい気がします。毎年同じ時期に東京ドームで開催される「ふるさと祭り東京」とか、サンシャインシティで開催される「ニッポン全国物産展」とか、さらには「B-1グランプリ」だの「下北沢カレーフェスティバル」だのだって、フェスティバル感は味わえる。
でも、なんか違うんですよね。メガ物産展は大好きだし行けば楽しいんだけど、楽しさがその場で終わってしまう感じ。開催以前からワクワクして、待ち遠しいあの感覚はない。
そうすると、結局チラシに行き着くのです。これは京王百貨店がその週の催事情報を告知するための週刊のフリーペーパーなのですが、駅弁大会の週の号は出場駅弁をカタログ形式でびっしりと掲載しています。例えば今年のチラシには88個の駅弁が写真と共に掲載されています(さらに同時開催の「全国うまいもの」は54品)。これを眺めるのが、実に楽しいのです。
このチラシを手にした人は、誰もが読みふけってしまう魅力があります。あまり食に興味がない人でも、「おれならこれがいいかな」と、つい考えてしまう。
「こっちの方がウニが多いけど、こっちはウニとイクラとカニか……。いや、おれあんまりカニは好きじゃないから、むしろこっちの……」
「同じ鶏めしでも、こっちは880円でこっちは700円か。でもこっちは実演だな」
比べる楽しさがそこにはあります。
そして、京王駅弁大会は13日間という長い会期のイベントです。しかも交通の便のいい新宿。つまり会期中に何度も行くことが可能なのです。会期中に十数回通う僕らのような人は少ないかもしれませんが、一度行って終わりではなく、今日はこれだが、次に何を買おうという考え方も出来るのです。
複数個買うとなれば、そこには戦略というものが生まれます。
数年前から、京王駅弁大会仲間とも言うべき友だちが増えまして、よくそんな話をします。居酒屋に集まり、各々チラシを手に検討しあいながら酒を飲む。これが通称「チラシ飲み」です。
今年、気になる駅弁はどれか? リニューアルと書かれている駅弁は昨年とどこが変わったのか? 今年のラインナップは例年に較べてどうなのか? そして、今年最初に買うべき駅弁はどれなのか?
昨年のチラシ飲みの様子。奥はラズウェル細木先生。
「おれ、ファースト弁はやっぱりチラシ一面から選びたいんだよね。華やかさが欲しい。とすると、今年は佐賀牛ロースステーキ&カルビ弁当? でも1998円は高いなぁ」
「この金色のひっぱりだこ飯のたこ壺って、陶器? プラスティック?」
「ゲゲゲの鬼太郎丼、新作柄は子泣きじじいかー」
「うーん、今年も沖縄の出店はナシか……」
ひたすらチラシを眺めながら激論を交わします。これが楽しい。実に楽しい。もしかすると実際に駅弁大会に足を運んで、駅弁を食べることよりも、楽しいんじゃないかと思うほどなのです。
もう、おれ、チラシだけあればいいや。そんな気分にもなって来ます。チラシ飲みを楽しむために、駅弁を買うような本末転倒な気持ちになります。
ま、そんな楽しいチラシ飲みをみんなでやってみようというイベントを開催することになりました。
京王駅弁大会開催日の前日の1月11日。場所は渋谷ロフト9。出演者は、駅弁大会仲間であるとみさわ昭仁さん(ライター、マニタ書房店主)、昨年からこの世界に足を踏み入れた初心者パリッコ(居酒屋ライター)、ワタクシの駅弁大会の師匠でもあるモギ氏。そんなおなじみの面々に加えて、映画監督の樋口真嗣さんも参戦! 実は樋口さんも駅弁大会好きで、会期中はよく屋上で顔を合わせたりしてたのでした(笑)。
当日はお客さんからも「今年買うべき駅弁」「思い出の駅弁」などを聞いてみたいと思っております。
ちなみに当日は、チラシも配布いたしますので、手ぶらで来ても大丈夫ですよ!
あと、僕の実娘のイラストレーター、安田三号が描いた「駅弁擬人化ポストカード」も販売しますよ(笑)。
というわけで、「京王駅弁大会勝手に前夜祭 公開チラシ飲み!」、ぜひいらして下さい。チラシ飲みのディープな世界が、あなたを待っています。
1月11日(水)渋谷ロフト9「京王駅弁大会勝手に前夜祭 公開チラシ飲み!」
OPEN 19:00 / START 19:30 予約¥1,500 / 当日¥1,800(要1オーダー500円以上)*駅弁大会チラシ付
出演:安田理央、樋口真嗣、とみさわ昭仁、パリッコ、モギ、他
チラシはこちらの公式サイトからもPDF版がダウンロードできます!
info.keionet.com