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ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「HGの呪い 〜Gay YearBook 2005〜」影坂狩人

 ゲイ系ライターの影坂狩人(ex一文字カルト)さんが自費出版したムック「HGの呪い 〜Gay YearBook 2005〜」がスゴイです。2005年に起こったゲイ関連トピックスを可能なかぎり網羅し、影坂さんの視点からの解説を付け加えたゲイニュース年鑑。3段組で184ページというボリュームに、まず圧倒されます。読みでがありますよ、コレ。資料的価値もバッチリ。こういう本、ノンケのエロ業界でも毎年1冊づつ出して欲しいところです。
 とりあげられているニュースといえば、例えば1月は「ゲイの同棲カップルを描いた三宅健主演のドラマ放映」「ネルソン・マンデラ、息子のエイズ死を公表」「同性愛促進兵器の開発を米空軍が密かに検討していた?」「ゴメオ中毒死事件で逮捕」「コンドーム容認撤回でスペイン・カトリックを同性愛団体が非難」「亡命中のイラン人同性愛者、難民申請認められず」「同性愛者の有名デザイナー、デート翌日に殺害」「同性婚禁止の憲法修正案をブッシュ大統領が二期目も最優先」「ゲイ疑惑の大リーガーがPLAYBOYモデルと結婚へ」「同性愛者の英下院議員、自身のHIV感染を公表する」。ゲイ、そしてHIVをキーワードに集められたニュースがてんこ盛りですよ。僕らが普段見過ごしてるニュースも多いですが、「平井賢、ノートPC盗難」とか「レイザーラモンHG版黒ヒゲ危機一髪が発売中止」なんてのは、覚えてますねぇ。
 影坂狩人さんは、自分はゲイ文化ではなくオタク文化を享受してきたと明言しちゃう人で、ゲイでありながらゲイ社会・ゲイ文化を第三者的な視点で見ることが出来るんですね。だから、影坂さんの文章というものは、ノンケの僕らでも非常にわかりやすい。ほら、どうしてもマイノリティな立場の人に対して接する時って、地雷踏まないよーにってビクビクしちゃうというか、身構えちゃうところあるじゃないですか。「大丈夫ですよ、僕は理解してますから!」みたいなアピールをしなくちゃいけないみたいな。でも影坂さんに対しては「あー、正直、おれ、ゲイってわかんねーや。なんで男がいいのかなー」って本音で接することが出来るような気がするんですよ。
 実際にこの「HGの呪い」を読んでも、「あー、異文化の人の意見だなぁ」という感想はほとんどなかったんですね。いや、そりゃあジャニー喜多川の告発本「Smapへ」の紹介記事で、告発者の元光GENJIメンバーがジャニーさんに性的虐待を受けるシーンを「あ〜、引用しながらムラムラしてきた」と書いちゃうあたりは、さすがにゲイだなぁとは思いましたけどね(笑)。僕らがレイプ事件の描写に不謹慎ながらも興奮しちゃうのと同じだけど。
 個人的には復刊むなしく8号で再び休刊となってしまった元祖ゲイ雑誌「薔薇族*1についての記事で、ゲイ雑誌というもののあり方を深く考察しているあたり、僕がエロ雑誌について考えていることと、かなりクロスする部分が多く、興味深かったですね。あ、「薔薇族」編集長・伊藤文学氏との対談も収録されてますよ〜。
 ちなみに「HGの呪い」というタイトルは、昨年からのレイザーラモーンHGブームがゲイシーンにもたらした影響について多くスペースを割いて書かれているからなんですが、HGって割とゲイには好意的に受け止められてるというので、ちょっとビックリ。理由は、カッコイイから、だって(笑)。「自分たちを笑いものにはしてるけど、まぁ抱かれたいタイプだから目をつむりましょう」かぁ。やっぱりどこの世界でも、ルックスで周囲の対応も変わるんだよなぁ。あ、影坂さんはHG否定派なんですけどね。
 さて、この「HGの呪い」は出してくれる出版社が無かったために自費出版となってしまったとのこと。そしてこれは来年度版を商業出版とするためのパイロット版という位置づけなんだそうです。しかし、これ、もう十分立派な「一冊」ですよ。これが上手いこと流通して、きちんと利益が出せるんだったら、無理して出版社から出さなくてもいいんじゃないかなぁと僕なんかは思っちゃうんですよね。独自の流通を開拓していくのも意味があるんじゃないでしょうかね。いや、もちろん、こういう重要な本を見逃している出版社もだらしないとも思いますけどね。先を争って出版すべきでしょう、こういうものは!

「HGの呪い 〜Gay YearBook 2005〜」定価1500円(限定300册)
影坂狩人さんのblog「Cultな疼き。〜GMな日々〜」から購入できます。

*1:影坂さんは復刊「薔薇族」の編集アドバイザーを務めていた。

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