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ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「デジタルカメラ2.0」(美崎薫 技術評論社)

 デジタルカメラの誕生から、銀塩カメラの位置を奪い取った現在、そして未来のデジタルカメラのあり方までを考察した一冊。著者の美崎薫氏は1996年の「手で撮るようにわかるデジタルカメラ徹底活用術」(二期出版)から、ずっと注目していました。この人の書く本は、いわゆるデジタル系解説本と違って、「思想」が感じられるんですね。
 本書「デジタルカメラ2.0」でも、「デジタルカメラは単にデジタルなカメラではない」ということが繰り返し述べられていますが、それは10年前の「デジタルカメラ徹底活用術」でも、すでに書かれています。カシオQV10が発売された時代です。ランニングコストを気にせずに撮れて、その場ですぐに画像が見られるデジカメの登場は、パーソナル画像革命である! デジカメをメモ帳代わりに使おう! といった主張は新鮮でしたね。山根一眞氏の名著「スーパー書斎の仕事術」で、「カメラを複写機として、複写機をカメラとして使おう」と提唱していたのと同様のショックがありました。
 僕もカシオQV10を手にした時は感動してデジカメにのめり込み、さっそくデジカメでのハメ撮り=デジハメなんてのを提唱して、1997年には初の著書「裏デジタルカメラの本」(秀和システム)を出しました。なんでも、すぐアダルト方面に応用するのが、僕らしいですね(笑)。以降の著書「OPEN&PEACE」(1999年 メディアックス)、「デジハメ娘。」(2003年 二見書房)もデジカメがらみだったし、撮影仕事もずいぶんやらせてもらったわけで、ホント、デジカメの登場が無かったら、その後の僕の活動もずいぶん変わっていたでしょうねぇ。
「デジタルカメラ2.0」に話を戻しますと、ここでは「デジカメは、ヴァネヴァー・ブッシュが提唱したハイパーテキストシステム『Memex』を彷彿させる」「ディスプレイが大型化されていくとデジカメは写真そのものとして認知されるようになるだろう」「カレンダー型のサムネイル表示というのはデジタルカメラの液晶を、まるで手帳かカレンダーのように変貌させてしまう」といった、デジタルカメラをデジタルなカメラという存在だけには終わらせないという美崎氏の「思想」がヒシヒシと伝わってきます。これはまったく同感。そもそも写真・撮影の知識がまるでない僕が、撮影の仕事の比重が高まって言ったのはデジカメの存在なくしてはありえなかったわけですよ。デジカメがデジタルなカメラに過ぎなかったら、たぶんこういう仕事のスタイルにはならなかった。たぶん、シコシコと文章を書くだけを仕事にしてたでしょうね。これは8ミリビデオ→DVという動画の流れでも同じことが言えるんですけど。ベーカム全盛の頃は、自分で監督とか考えもしなかっただろうしなぁ。
 さて「デジタルカメラ2.0」で、やっぱり面白いのは、1981年のソニーのマビカ発表から、1995年のカシオQV10発売、そして現在に至るまでのデジカメの進歩の歴史。僕もずいぶんデジカメは買ってきたので、「ああ、ああいうのもあったなぁ。これも買ったなぁ」と懐かしかったですね。拙著「エロの敵」じゃないけれど、業界の変貌の歴史って、面白いんですよね。
 ちなみに僕のデジカメ遍歴は、以下の通り。「デジタルカメラ2.0」見ながら思い出して書き出したので、いくつか抜けているのもありそうです。

1996年
カシオ QV10
カシオ QV10A
リコー DC-1S
カシオ QV100
ソニー Cyber-shot DSC-F1
1997年
ソニー Cyber-shot DSC-F3
ニコン COOLPIX300
2000年
フジ写真フィルム FinePix 40i
キャノン IXY DIGITAL
2002年
ソニー Cyber-shot DSC-F77
カシオ EXILM S1
2004年
オリンパス CAMEDIA C-8080
2005年
カシオ EXILM S500
2006年
パナソニック LUMIX DMC-LS1(2005年発売)


初期の頃は狂ったように買いまくってましたが、それはデジカメがまだ未完成な商品だったからなんですよね。ある程度、完成してくると、特に不満もなくて使い続けちゃうわけですよ。
んで、実は今はデジカメには、あまり興味がなくなってます。それは携帯電話のカメラ機能が充実してきたから。2003年にシャープのV601SHのカメラ機能が、あまりに素晴らしくて、以降は携帯で写真を撮ることが飛躍的に増えたんですね。携帯電話で写真を撮りまくるというスタイルは、デジカメ的な特性を更に強調してると思うのですよ。画像メモとして使い、メールで送信する。このスタイルに慣れると、わざわざデジカメで撮るのが、野暮ったく思えてきちゃうんです。なので、現在は型遅れのLUMIXをわざわざ中古で探して来て使ってます。乾電池駆動の奴。デジカメは、もうカバンの中に放り込んであって、あまり使わないので、充電式だと、つい充電忘れちゃってダメなんですよ。乾電池式なら、使う時だけ電池買ってくればいいですからね。
 そういう意味でも美崎氏の提唱するデジカメのあり方というのは、今後はどんどん携帯電話のカメラの方に比重が高まって行くような気がします。なので、本書でも、もっと携帯電話について書いて欲しかったなぁなんて思ったりして。
 あと、自分の趣味的な「思想」も、色濃く出ちゃうのも美崎氏の著書の密かな魅力であります。「デジタルカメラ徹底活用術」や「インターネット時代の情報整理術」(2000年 SCC)も読んでいると、いつのまにかにBTRONの啓蒙になっていたり(美崎氏はBTRONのエバンジェリトとして第一人者)、「デジタルカメラ2.0」でも年度を語るのに「1995年3月23日には、平井和正による日本発(原文ママ 初?)の月刊書き下ろし電子出版『ボヘミアンガラス・ストリート』第4部が公開された。1995年3月とはそんな時期である。歴史の転換点といってもよいのかもしれない」とか、ずいぶん偏った例を出しているし(笑 美崎氏は熱狂的平井和正ファンらしい)。
 本書と同じ「デジタルDNA」シリーズの「Palmクロニクル」(井上真花, 山田達司, 田中裕子 技術評論社)も読もうかなぁ。Palmは使ったこと、ないんだけどこういう本、好きなんだよなぁ。

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