ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

約束の地1 フードルたちの嬌宴(02年8月)

 ずっと行ってみたかったのだ、「MAN−ZOKUナイト」。フードルたちが出演するイベント。いったいどんな客が、何を期待して集まるのか知りたかった。
 以前、某フードルを歌舞伎町の街中で撮影していた時に、彼女に声をかけてきた男性がいた。彼女も親しげに話していたから常連さんかと思ったのだが、フードルイベントの常連であり、店には来たことはないのだという。では、彼らは一体フードルに何を期待してイベントに行くんだろう。そんな疑問がずっと頭の中にあったのだ。
 8月7日。猛暑の夕方。開場時間の6時ちょうどに会場の歌舞伎町ロフトプラスワンに行くと、なんと階段に長蛇の列。20分前から来ていたという本誌編集のM氏は既に並んでいたが、それでも列の後ろの方だった。階段には冷房設備はなく、みんな汗だく。こんな思いをしてまで並ぶ。それほどまでに素晴らしいことが、このイベントにあるのだろうか?
 十数分押しで開場。この時点で、おおむね満席。僕とM氏はなんとか後ろの方のテーブル席をゲットした。会場を見回して客層を確認。年齢層は幅広い。20代から50代と思われる人まで。メインは30代前半だろうか? 基本的には地味で、秋葉原系。声優のイベントに集まる客と、外見上は区別がつかない。残念ながら、「風俗はモテない奴が行くとこと」というパブリックイメージは、当たっているというしかないか。
 店内では、ハッピを着たシーズ(マンゾクを発行している会社)の社員が、新聞を売り歩いている。ご苦労様。
 しばらくして、イベントが始まった。司会はMANZAI−Cの西野健一。アシスタントと称して風俗嬢が3人登場し、近況を語る。海に行ったとか家に冷蔵庫が無いとか、正にどうでもいい近況。本当にアイドルのトークショーのようだ。客がこれを楽しんで聞いているのかどうかは、よくわからない。
 続いて、野球拳のコーナー。おお、フードルイベントらしくなってきた。風俗嬢が2人と、客2人が野球拳。風俗嬢の一人が急遽欠席とのことで、ただ遊びに来ていた風俗嬢が代理で出演。デニムスカートにTシャツというラフな格好だったが、なんとノーパンだという。普段からノーパン。
 野球拳は盛り上がった。客が負けるとブーイングが飛び、女の子が負けると、本当に嬉しそうな歓声があがる。君たち、そんなにオッパイが嬉しいか。まぁ、嬉しいよなぁ。こういう場で見る生のヌードというのは、確かにお得な気がする。例え、お金を払えば見るどころか揉んだり、舐めたりできる風俗嬢のオッパイだとしても。
 この後も多くの風俗嬢が出てきて、オッパイだのお尻だのパンツだのを見せてくれるのだが、女の子の方は恥じらいも焦らす演出もなく、あっさりと見せてしまう。「有難いもの」としてハダカを見ている客との温度差が面白い。
 本日のメインイベントは、人気風俗嬢9人によるユニット「ピンクバルーン」のライブだ。ちなみに今日は一名欠席で8人編成。当日いきなり音信不通でドタキャンというのが風俗嬢っぽい。
 狭いロフトプラスワンのステージにカラフルな浴衣姿の女の子8人が歌い踊る姿は圧巻。シモネタなしの典型的アイドル歌謡。当然のことながら、歌も踊りも学芸会レベル。誰がこれを求めているのかなぁとも思うが、客席の一部からはコールが絶叫される。ピンクのお揃いのハッピを着た一群。もう親衛隊がいるのだ。
 現代の日本人のDNAには、80年代アイドル文化が刻み込まれているのだなぁと実感する。90年代にあれだけ否定されたアイドルスタイルだが、決して絶えることはなかった。マイナーアイドルや、こうした異種アイドルのスタイルは、どういうわけか、ハッピにコール絶叫の80年代式だ。最近ではモー娘。によって、一般的にも解禁されたし。
 その後は、擬似フェラのテクニックを競うフェライドグランプリ、風俗店の割引券が賞品のジャンケン大会などで、イベントは幕を閉じる。
 ワンドリンク付でチャージ2000円。これで、たくさんの生オッパイが見られたのだからお得なイベント、だとでも言えばいいのか。ハダカがこれだけ溢れている世の中でも、まだまだ生のハダカには価値があるのだなと思う。
 しかし、そう考えるとピンクバルーンのライブの意味がよくわからない。そういえばピンクバルーンと行く海の家バスツアーという企画もあるらしい。料金1万8千円。これもお得なのか?

●ネタに詰まったときのお蔵出し企画(笑)。「お宝ワイドショー」(コアマガジン)で連載していたルポ「約束の地」の第一回。2002年10月号に掲載。このMAN−ZOKUナイトは、まだ続いている。すげえ。

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