ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

約束の地3 コスプレイベントに行く(02年12月)

 コスプレ人口というのは、僕らが思っているよりも、ずっと大きいらしい。アニメやゲームのコスプレをする、いわゆるコスプレイヤーたちのイベントというものは、都内だけでも毎週末に4〜5本が行われている。最近では後楽園や豊島園といった遊園地でも、毎月定期的にコスプレイベントが開催されているのだ。
 今回は、その後楽園のコスプレイベント、「コスプレフェスタ」に出かけてみた。当日は、あいにく小雨、そして激寒という天候。それでも、会場の後楽園ゆうえんちに到着すると、コスプレイヤーたちが、入り口付近にたむろっている。
 しかし、最近のコスプレで人気なのは、「テニスの王子様」だったりするので、コスプレといっても、ジャージのテニスルック。確かに作品中の青学テニス部のユニフォームそのままなのだが、知らない人が見ればただの部活帰りの集団。そのうちの女の子の一人が、立ったままコンビニのおにぎりを頬張っていたのが、妙にハマっていた。
 他にも「仮面ライダー龍騎」のキャラの変身前のコスプレなど、一見するとコスプレには見えないようなキャラが多く、意外に地味。
 最近、規制が厳しくなっているのか、期待していた露出度の高い女性コスプレイヤーが見当たらない。
「そういうお姉ちゃんは、きっと寒いから、会場の中にいるんですよ」
編集M氏に促されて、会場へ入る。イベントは屋内遊技場のジオポリスで行われているのだ。入場料は2千3百円。この料金にはクロークや更衣室の使用料、そして遊園地の乗り物代(乗り放題)も含まれている。カメラ持参の人は、入り口で登録をしなければならない。投稿などのトラブルを避けるためだろうか?
 手の甲にスタンプを押してもらい、会場に入る。ムッとする熱気。おお、この寒い中たくさんのコスプレイヤーが集結している。東京ミュウミュウやらファイナルファンタジーやら、僕でもわかるようなキャラもいっぱいいる。
 入ってすぐのところはロビーのようになっていて、みんな立ち話をしたり、写真を撮りあったりして、まったりと過ごしている。
 いや、ホント、まったりという感じなのだ。楽しそうに和気あいあい。その異様な格好を別とすれば、文化祭とか、インターハイかなんかの大会の後、みたいな風景。たくさんの学校の生徒が集まってるようなムードといえばいいのか。つまり非常に健全なのだ。いや、例の「テニスの王子様」の一団なんか、まさに大会後そのものだし。
 確かに、可愛い女の子のコスプレイヤーばかりを狙って写真を撮っている、いかにもなカメラ小僧(といっても年齢不詳のルックス多し)もいるが、それはごく少数。コスプレイヤー同士で写真を撮り合って、はしゃいでいるのが大半だ。カメラ小僧に写真を撮られている子はだいたい決まっていて、次から次へと撮影を申し込まれている。何かのゲームキャラらしい、上半身ビキニのすごい巨乳の子がいて、彼女などはいつ見てもカメラ小僧の前でにっこり笑ってポーズを取っている。でもそれはなんだか仕事をこなしているモデルみたいで、彼女はあんまり楽しくなさそうだ。それよりも、コスプレイヤー同士で撮りあっている子たちの方がよりイベントを楽しんでいるように見える。
 ああ、ここは本当にコスプレイヤーのためのパーティなのだなと実感する。コスプレをしていない人間は部外者なのだ。僕とM氏は、どうにも居心地が悪い。
 さて、ダンスフロアに下りてみよう。様々なコスプレをした男女がアニメの主題歌で踊っている、というか体を揺らしている。踊りの基本はパラパラのようだが、どことなく腰がひけている感じ。それでも、みんな楽しそうではある。ダンスフロアの隅の方で、ひっそりと踊っている子も数人いるのだが、それはそれで楽しんでいるようだ。「世界はピーポー」とか「おじゃ魔女どれみどっか〜ん」とか、子持ちの僕には、耳慣れた曲が多いのが、なんだか嬉しかったりして。
 コスプレイヤーに可愛い女の子が増えてきたという話は聞いていたけど、確かに多いようだ。そして男性コスプレイヤーにも、それなりにカッコイイ男の子が多いようだ。そして、みんな明るく健全。カメラ小僧のような、いかにもマニアといったタイプの人間は、ここでは肩身が狭そうに見える。コスプレなんていかにもマニアックそうな世界もこうして明るく健全になっていったら、本来のマニアなタイプの人間はどんどん居場所がなくなってしまうなぁ、などとつい彼らの行く末を考えてしまった。

●「お宝ワイドショー」2003年2月号(コアマガジン)「約束の地」の第三回。会場の隅で、女の子たちが衣装を作っていたりして、その光景はまるで学園祭の準備。終わらない学園祭を続けているようだった。

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