「エロの敵」参考資料
「女優・林由美香」を監修した柳下毅一郎さんがこの本を作るにあたって、AVの基礎資料がないということで苦労したと話していました。確かに年鑑などのその年にリリースされたAVを全て網羅したリストは存在しないのですが(何しろ年間の総リリース数は数万本単位ですから)、優れた参考資料は意外にあるんですよ。
ちなみに「エロの敵」の巻末で参考資料として表記したのは
- アイドルが脱いだ理由(宝泉薫 宝島社)
- あかまつ別冊 セクシー雑誌大全(まんだらけ出版)
- アダルトというお仕事(奥出哲雄・高橋景一 太田出版)
- アダルトビデオジェネレーション(東良美季 メディアックス)
- アダルトビデオ全作品録(宝島社)
- アダルトビデオ20年史(東京三世社)
- アダルトメディア・ランダムノート(藤木TDC ミリオン出版)
- 荒木経惟・末井昭の複写『写真時代』(ぶんか社)
- 一億人のAV(宝島社)
- 威風堂々!ワイセツ大行進(宝島社)
- 噂の真相(噂の真相)*
- 裏パソコン通信の本96(三才ブックス)
- ウラビデ大全集(東京三世社)
- AV OPEN公式ガイドブック(東京三世社)
- AV CLUB(日之出出版)*
- AV烈伝(井浦秀夫 小学館)
- エロ魂! 私説エロマンガ・エロ劇画激闘史(ダーティ・松本 オークラ出版)
- エロ本のほん(ワニマガジン社)
- エロ本編集者入門(宝島社)
- おとこGON!POWERS(ミリオン出版)*
- オレンジ通信(東京三世社)*
- ガツン(KKベストセラーズ)*
- 官能する文学(矢切隆之 朝日ソノラマ)
- CanDo(エレメント)*
- 教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書(ばるぼら 翔泳社)
- クイックジャパン(太田出版)*
- 高級藝術宣言(JICC出版局)
- GORO(小学館)*
- GON!(ミリオン出版)*
- 雑誌狂時代(宝島社)
- ザ・ザイスマガジン(司書房)*
- さる業界の人々(南伸坊 情報センター出版局)
- 実録GON!戦士たち(ミリオン出版)
- 職業AV監督(カンパニー松尾・井浦秀夫 秋田書店)
- SPA!(扶桑社)*
- 性は乱調にあり(矢切隆之 三一書房)
- 性メディアの50年(宝島社)
- SEXYコミック大全(KKベストセラーズ)
- 総天然色の夢(仙田弘 本の雑誌社)
- だれが「音楽」を殺すのか?(津田大介 翔泳社)
- だれが「本」を殺すのか(佐野眞一 新潮文庫)
- 超B級フーゾク大全集(いその・えいたろう 水声社)
- DMM(GOT)*
- 出るまで待てない!!(SODアートワークス)*
- 日刊ゲンダイ(日刊現代)*
- 80年代AV大全(双葉社)
- ビデオTHEワールド(コアマガジン)*
- ビデオメイトDX(コアマガジン)*
- 100万人のアダルトビデオ(宝島社)
- 平凡パンチの時代(マガジンハウス)
- マガジンデータ(日本雑誌協会)
- Milk Club アリスクラブ年鑑1991(白夜書房)
- メディアで欲情する本(宝島社)
- 「有害」コミック問題を考える(創出版)
- 有害図書の世界(メディアワークス)
- 夜の雑誌たち(伴田良輔 二見書房)
(*は雑誌)
webでは
- All About アダルトビデオ
- 閑話究題 XX文学の館
- サイケおやじの闇の中の妖精
- ザ・20世紀
- 懐かしポルノ館
- ヒゲタしょうゆ公式サイト 全冷中「冷し中華祭り」秘話
- MEDIA NEW GENERATION プロデューサー・インタビュー/江並直美 デジタローグ
といったところです。注釈などの参考にした、エロとは関係ないものも多いですね。
その中でもエロメディアについて書かれた本の中で特に重要と思えるものをいくつか紹介したいと思います。ほとんどが入手困難ですが、古本屋やオークションを丹念にチェックすれば見つかるかもしれません。エロ研究者(笑)なら、押さえておいて欲しい重要資料です。
「アダルトビデオ20年史」(東京三世社 1998年発行)
AV情報誌の老舗、「オレンジ通信」の1998年12月号増刊。1982年のビニ本時代からインディーズビデオが盛り上がる1998年までのAVの歴史をほぼ完全にフォロー。豊富なカラー図版で大量のAVモデルを紹介しているのはもちろん、沢木毅彦の私的な視点からAVアイドルの変遷を追ったコラム、藤木TDCのAVアイドルスキャンダル史、SMビデオ史、ストリップに移ったAVアイドル、インディーズビデオ10年史、「ビデオ安売王」始末記、故・東ノボルの企画モデル観、豊田薫・神野龍太郎・高槻彰インタビュー、ブラックパック物語、日比野達郎の男優私史と読み物も充実。そして何よりもスゴイのが巻末のアダルトビデオ年表。ここまで詳細な年表は他に類を見ない。全560名のAV女優リストも圧巻(生年月日・スリーサイズ付)。1998年までのAVのことなら、この一冊があればだいたいわかる最重要の一冊だ。99年以降もフォローしたコンプリート版の出版が望まれる。
「80年代AV大全」(双葉社 1999年発行)
双葉社好奇心ムック36として発行。80年代の代表的なAVアイドル50人を各人たっぷり2ページ(1ページの子もいる)約二千字を費やして紹介。各主要作品リストもあり、情報量はかなり多い。村西とおる、代々木忠、安達かおる、小林ひとみ、林由美香、加藤鷹へのインタビューもボリュームがあり読み応え満点。企画モノの撮影現場の裏話を語るラッシャーみよしの回顧録も面白い。巻末の「80年代AV完全データ」は、もちろん完全ではないが、かなりの本数を短いレビュー付きで掲載しているのがありがたい。装丁が地味で損をしているような気がするが濃厚な一冊だ。
「性メディアの50年」(宝島社 1995年発行)
別冊宝島240として発行。別冊宝島はこの他にも多くの性メディア関連本を出していたが、ここではカストリ雑誌から温泉地で売られるエロ写真、ブルーフィルム、官能劇画、レディースコミックと最も幅広いテーマをあげており、日本のエロメディアの全容を俯瞰できる。永江朗が日本のエロ出版社の系譜をたどる「アダルト系出版社のルーツを探せ!」 「エロの敵」でも引用させてもらった座談会「さらば! 自販機蟹工船!」、「道頓堀劇場がマナ板本番ショーをやめたわけ」など、興味深い記事が目白押し。特に裏世界からの視点で裏ビデオ、ビニ本、裏本、エロ広告について書いた夏原武の記事は、この種の本ではつい手薄になりがちな面なので、貴重である。
「戦後セクシー雑誌大全 実話と画報・篇」(まんだらけ出版 2001年発行)
クィックジャパンを作った赤田佑一の幻の雑誌「あかまつ」の別冊。1956年から1980年に至るエロ雑誌の歴史を集大成。123種のエロ雑誌をカラーで紹介する「日本エロ雑誌カタログ」故・米沢嘉博の「戦後日本エロ雑誌クロニクル」、当事者へのインタビュー(実話誌特集の下品な書き文字職人へのインタビューが秀逸!)。さらにこの手の雑誌とは流れが若干違うと考えられる「Jam」を大々的に特集しているのも、サブカルエロ好きにはたまらないだろう。赤田佑一らしい偏執狂的な情報量に圧倒される。「あかまつ」本誌と共に別冊もこの一冊で終わってしまったのが残念。告知されていた奇譚クラブ特集の2号が読みたかった。