ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「絶滅寸前! 愛と涙のエロ本30年史!」(EX大衆11月号)


 現在発売中の「EX大衆」11月号(双葉社)で、「絶滅寸前! 愛と涙のエロ本30年史!」という特集を手がけました。
 80年代、90年代、00年代という30年間のエロ雑誌の歴史の中で、面白い企画や重要な雑誌などを紹介していくというものです。
 ちなみにとりあげた雑誌は、投稿写真、ボディプレス、平凡パンチ、スクリュー、ベストマガジン、SMスナイパー、写真時代、ビデオ・ザ・ワールド、デラべっぴん、CG MOMO、いたずら倶楽部、WAM、桃クリーム、お宝ガールズ、夜遊び隊、THE TENMEI、全て原寸大、おとこGON!POWERS、TENGU、ベストマガジンスペシャル、YO!、平口広美のフーゾク魂、オトコノコ倶楽部、アイドロイド、ジャンクショップ、スコラ、キングコング、TOPAZと、メジャーもマイナーもごっちゃごっちゃであります。
 時代の変化によって、エロ雑誌の誌面がどう変わっていったのかはなんとか表現できたんじゃないかな。

 最後にはラッシャーみよし師匠と僕の対談などもあったりするんですが、その中で「今のエロ本が、あの当時にあったら神ですよ。それなのに今は売れないっていうんだから皮肉だよね」とみよしさんが言ってるんです。
 確かにこの特集自体は「むかしのエロ本は、こんなにメチャクチャなパワーがあった!」というテーマがあるわけですが、実は今のエロ本の方が実用性はずっと高いと思うのですよ。面白くはないけれど、実用には向いてる。ぶっちゃけて言っちゃえば、作り手としてはつまらなくなったけれど、ユーザーにとってはよくなってるんじゃないか、と。


 これ、AVなんかでも同じなんですよね。仕事でここ30年のAVを見返したりしてるんですが(最近、そんな仕事ばっかりなんです)、昔のAVって本当にひどい。特に単体物なんて、よくこれでみんな我慢していたなというレベル。
 もちろんモザイクがデカイとか、女の子のレベルがイマイチとかそういう部分もあるんですが、やっぱりちゃんと「エロ」を撮ろうとしてないなという気がするんですよね。作り手が自分たちだけで、楽しんでる。もしくは手を抜いてる。そうとしか思えない作品ばかりなんですよ、今の目で見ると。そんなドラマはエロと関係ないだろう、とか、その笑えないコメディやめろ! とか、見ていてイライラしちゃうんですよね。

 ちょうど今週の「週刊ポスト」で「AV全史」というかなり気合の入ったAV史の特集をやってるんですが、「今のAVは即物的だ」「昔はよかった」みたいなニュアンスが感じられるんです。
 でも、ユーザー視線で見ると、やっぱり今のAVの方が断然レベルが高い。異常なまでに実用性が高いですよ。
 ハードなものはハードなもので、やりすぎてる感もありますが、例えば一番売れっ子である南★波王監督の一連の作品なんかは、シンプルに濃厚なセックスをきっちりと撮ってます。「今のAVは即物的だ」って言ってる人は、ちゃんと南★波王監督の作品を見てるのかと思いますね。
 
 もちろん制作側から見れば、環境はかなり厳しいものになってます。どんな大手でも、ちゃんと売れると確信がない作品は出せません。昔みたいに冒険はできないんです。だから、面白いことはできない。90年代前半みたいにアナーキーなAVは作りづらい状況ではあります。

 ま、そんな作品を喜ぶのは僕たちだけだからなぁ。オナニーツールとして、お金を払って買うユーザーにとっては、そんなのは「ハズレ」でしかないわけですからね。
 漫画「ラーメン発見伝」で「ラーメンに古き良き時代はない」って言ってたのと、近いものがありますね。

 とか言いつつも、僕は昔のエロ本やAVは大好きなんですよね。でも、それは好みとかノスタルジーとか、別の視点で見ての評価ということなので、実用的なクオリティと言う面で考えれば、今の方が断然上だと思っております。


 それなのに今は売れないっていうんだから皮肉なんですよね……。


 ところで「EX大衆」の「エロ本30年史」特集、表紙ページに福戌氏による「1/6落ちていたエロ本フィギュア」が掲載されておりまして、これが素晴らしい完成度なんですよ。
 あー、こういうバカバカしいパワー、やっぱり楽しいんだよな……。

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