ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

若者は本来、消費をしない生き物

 若者が消費をしないということが問題になっている。僕の属しているエロ業界でも、主なユーザーの年齢層は高い。AVで30代後半から40代、エロ本となると40代以上というところだろうか。なんとなくエロというと、血気盛んな若者が見たり読んだりするものというイメージがあるらしく、エロのユーザーはオヤジばかりだよ、と言うと驚かれることが多い。
 すると、そうか、若い人はインターネットとか携帯電話でエロを見るからね、わざわざAVとか雑誌とか買わないよな…という話になるわけだし、実際にそれも大きな理由なのだと思う。エロ雑誌がネットやらない人の救済処置のようなスタンスになっているという(エロ雑誌読者のネット利用率は低い)のも事実だ。
 ただ、エロメディアが若者のものだという考え自体が間違っていたんじゃないかという気もするのだ。

「若者殺しの時代」(堀井憲一郎 講談社現代新書)によれば、若者が消費者として認識されたのは80年代に入ってからだという。70年代まで、若者は消費者ではなかった。堀井氏は70年代の若者向け男性誌・女性誌を片っ端から調べたが、クリスマスにデートをしようとか恋人にプレゼントしようとかいう記事は、わずか6つしかなかったという。それまでクリスマスは家族で過ごすものであったし(というか子供のもの)、恋人へのプレゼントも手編みのセーターとかマフラーが定番だった。若者がクリスマスに「消費」するようになったのは80年代からだ。そして若者が消費の中心として認識されていった。

 本来、若者が消費の中心ということ自体がおかしいんじゃないだろうか。若者に金が無いのが当たり前だろう。若者がブランド品買いまくったり、高級ホテルに泊まったりする世の中の方がおかしいはずだ。

 そしてエロメディアだって同じだ。エロ本はドカタが読む物だというのが長い間の常識だった。エロ本の作り手は、ずっとそう考えて来た。もともとエロは「オヤジ」のものなのだ。
 既に多くのエロ本は、若者を相手にすることを止めている。エロ本が人妻モノばかりになっているのはそういうことだ。
 もういいんじゃないかなと思うのだ。若者相手に商売しなくていい。70年代以前に戻ればいい。本だって雑誌だって(AVは無かったけど)音楽ソフトだって、70年代以前は、ずっと少部数の勝負だった。もっと小さな業界になればいいんじゃないか。肥大化しすぎちゃったのが、元に戻るだけだ。昔はそれでやっていけたんだから、何とかやっていく方法もあるはずだ。
 問題は今の若者が、年を取っても消費してくれるとは思えないということだけど。なんでもタダという意識が年を取ったらいきなりなくなるわけは無いだろうしなぁ。ま、そんな先のことなんか考えてる場合でもないから、とりあえずは、いいか。

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