豊後水道味めぐり弁当(1080円/大分県/A-0)
今日は仕事のスケジュール的に、京王に行くのは無理だ。しかも前半戦最終日だから5時で閉会。これは諦めるしかないか……。
いや、ここをこうして、こうすれば、なんとか新宿に立ち寄る時間が作れるぞ。よし、行ける!
考えてみれば、何も毎日行く必要なんてないわけですが、それでもちょっと無理して行ってきました。前半戦最終日に購入したのは大分県は日豊本線の大分駅の「豊後水道味めぐり弁当」。
あの、「山海三味」や「なごり雪」を作った鮨由の初登場弁当ですからね。これは当たりに決まってるじゃないですか。
鯖、焼き鯖、鯛、小肌、サーモン、海老という六種類六個の押し寿司が入った贅沢さ。
しかもすごいのが、それぞれ酢飯に別の具材が挟んであるんですね。
サーモンにはキュウリ、焼き鯖には紫蘇、海老にはキュウリと玉子焼き、などひとつひとつ変えてあるんですよ。なんという手間ひまかけた駅弁なんでしょうか。
これによって、それぞれの味がくっきりと鮮やかな違いを見せてくれるんですよね。
海老やレンコン、さつま芋などのおかず部もナイスアシスト。
こんなに凝っていて、1080円はお値打ちですよね。うん、これは満足感ありますよ。
たらば蟹ちらし(1380円/北海道/B-5)
僕は基本的に海鮮系卑怯弁(そんな素材使ったら、そりゃあ、美味いに決まってるよ! ズルいよ!という駅弁)には手を出さないのですが、たまには行ってみましょうか。
北海道は根室本線・釧路駅の「たらば蟹ちらし」です。
八角形のややコンパクトなサイズに、たらば蟹がどっさり。ちらし寿司ということで、イクラや錦糸玉子、椎茸にガリも乗っているわけですが、こちらの量は控えめ。ひたすらたらば蟹で攻めてきます。
うむ、たらば蟹は当然の美味さなのですが、食べてみるとそれ以上に酢飯込みでの美味さというか、「ちらし寿司」としての絶妙のバランスなんですね。イクラも少なめかと思ったけど、アクセントとしてちょうどいい量なのね。錦糸玉子や椎茸も同じく。
あー、なるほど、美味しい素材であってもそれだけじゃなくて、しっかりバランスを考えているから人気弁当になるのだなぁ、と改めて再認識しました。卑怯なんて言っちゃってスイマセン。
トンかつ弁当(500円/千葉県/A-0)
チラシを見た時から今期一番気になってたのが、この千葉県は総武線千葉駅の「トンかつ弁当」です。なんと500円。「鎌倉ハムサンドウイッチ」530円を下回る大会最安値駅弁です。あの「いかめし」が780円となり、サブ弁と呼ぶにはちょっと敷居が高くなっている今、新たなサブ弁候補になるんじゃないかなと期待してたんですよね。
インパクトの強い黄色い掛紙にくるまれた箱は、スーパーのお惣菜コーナーでおなじみのフードパック。そりゃ、500円ですもんね。
そして大判だけど薄いカツがご飯の上にドーン、あとはゴマ昆布、筍煮、しば漬けというシンプルさ。フードパックに入ってるせいもありますが、スーパーの弁当感がすごいです。駅弁感薄いです。
では、カツにソースをかけて、パクリ。あれ、なんだ、この味。なんか懐かしいぞ。とんかつというよりも、あれだ、駄菓子のビッグカツとかそういう感じ。ながさき鯨カツ弁当も近いけど、もっと駄菓子感が強い。
じゃあ、美味しくないかというと、とんでもない。すごく美味しいんですよ、これ。ソースとコロモって、ご飯にこんなに合うんだと再発見。
あの「孤独のグルメ」原作版で、秋葉原で万世のカツサンドを食べたゴローちゃんが「こういうの好きだなシンプルで。ソースの味って男のコだよな」と言うシーンがあるんですが、正にその「男のコの味」なんですね。
最近ブームの「美味しいトンカツ」とは正反対のベクトルにあるトンカツの魅力を感じましたね、この弁当に。
駅弁って、缶ビールとか日本酒が飲みたくなるものが多いんですけど、これはコカコーラとかサイダーが合いそうな気がする。
サブ弁というよりも、オヤツ弁。好きだなぁ、これ。きっと、また買っちゃうな。
ちなみに、この「トンかつ弁当」、千葉駅では昭和40年代から販売されていて、千葉の人にとってはソウルフード的な存在なんだそうです。うん、わかるよ、その感じ!
今回初登場なんですけど、これは毎年来てほしいですよ。
SL大樹 日光埋蔵金弁当(1350円/栃木県/A-0)
一日お休みしてからの七食目は栃木県は東武日光線・東武日光駅の「SL大樹 日光埋蔵金弁当」です。
SL大樹とは、東武鉄道で半世紀ぶりに復活した蒸気機関車のことらしいですが、まぁ、その辺は全く興味がないので無視します(笑)。
で、その運行に合わせて販売開始されたのが、この「SL大樹 日光埋蔵金弁当」。「日光埋蔵金弁当」というのはひとつ最高18万円という日本一高い駅弁なのですが、そのシリーズの安価版というところなんでしょうかね。黒い楕円形の二段重ねの弁当箱は水戸駅の「印籠弁当」を思い出しますね。
一の段には、マスの塩焼き、揚巻湯葉と野菜の炊合せ、日光高原牛のしぐれ煮、レンコンのきんぴら、鱒のだんご、さつま芋の甘露煮といったおかず、そしてニの段には錦糸卵を敷き詰めたちらし寿司という構成。ちらし寿司の上には、「埋蔵金」と刻印された厚焼き玉子と、日光名物けっこう漬けも。
いや、実はこの駅弁をなぜ買ったのかというと、付属の石炭シャベル風スプーンが目当てだったんですね。駅弁仲間が次々とゲットしていて、自慢するんですよ。おお、これはあのサイクロンレンゲの再来か。持ってないとバカにされてしまう! と慌てて買ったんですね。つまり駅弁自体にはあまり期待してなかったんですが(失礼)、これがなかなかどうして実力派駅弁だったんですよ。
とにかくおかずの充実度が素晴らしい。マスの塩焼きがびっくりするほど美味しいし、湯葉も駅弁では珍しくて楽しい。ちらし寿司というのもよかったですね。
まぁ、贅沢を言えば、せっかくなので、埋蔵金厚焼き玉子は、ちらし寿司の中に埋めてもらって、シャベルで発掘する楽しみが欲しかったかな(笑)。とにかく、何か埋めておいて欲しかったです。
さて、この石炭シャベル風スプーン、ちゃんとステンレス製のしっかりしたものなので、なにかと使いでがありそう。これから色々な駅弁をこれで掘ってみたい!
海苔のりべん(950円/福島県/B-5)
会期中は毎日通う僕ですが、土日は激混みなので休むことにしてます。だって、まるで満員電車の車内みたいな阿鼻叫喚状態なんですもの。
とかいいつつも、ついつい覗きに行ってししまうのが駅弁大会者の性。もう混雑のピークは過ぎてる時間だからね、と自分で言い訳しつつ2時半頃に会場イン。
うーん、やっぱりそれでも混んでます。そして輸送コーナーでは、狙ってた駅弁は壊滅状態。さて、どうしよう。じゃあ、ここは実演で前半のみ(17日まで)の駅弁に行ってみますか。
というわけで、選んだのが、福島県は東北本線・郡山駅の「海苔のりべん」。2016年大会に初登場して、その年の僕のランキング2位にランクインした名弁です。
もう名前が「海苔のりべん」、そして内容も、そのまんまののり弁です。おかずも塩ジャケ、玉子焼き、煮物、かまぼこ。え、これで950円?! と思いますよね。ええ、僕だって、そう思いますよ。未だに買うのを躊躇する時があります。
でも食べ終わった時には、「ああ、やっぱりこれ食べてよかったぁ」という気持ちになるんですよね。なぜなら、すごく美味いから!
とにかく、のり弁パートが美味いんですよ。海苔は二段、そしてオカカと昆布の佃煮と梅干し、それとご飯。なんの変哲もないのり弁なのに、これが美味しい。ああ、日本人に生まれてよかった!と感謝したくなる美味さ。海苔とオカカと昆布と梅干しで食べるご飯って、なんて美味しいんだろう。
おかずも地味ながら強力なんですよ。特に塩ジャケ。脂が乗っててたまらない。これでご飯を食べる幸せよ。
ほか弁とかで300円代で販売してるのり弁も、美味いじゃないですか。でも、あれを本気で金をかけて作ったらこうなるという駅弁なんですよ、これは。酔狂な試みですよね。ある意味、野暮かもしれない。そんなのは、のり弁じゃないかもしれない。
でも、美味い。逆らえないほど美味い。弁当ってこれでいいんじゃないかと思ってしまうんですよね。豪華なオカズとか、アイディアとかいらない。基本に忠実であれば美味しいんですよ!
というのは、駅弁自体を否定することになってしまう危険な思想ですね。うん、ある意味で危険な駅弁だと思いますよ、これは。超保守派です。だからこそ力強い説得力を持ってるんですよ。ううむ、恐ろしいぞ、海苔のりべん。
元祖特撰牛肉弁当(1350円/三重県/A-0)
五食目は輸送で、三重県は伊勢本線の松阪駅の「元祖特撰牛肉弁当」行ってみました。
まず、箱の大きさにびっくりしましたね。大会出場駅弁の中で一番大きいんじゃないですかね。測ってみたら横27.6センチ縦18センチ。参考にカセットテープを置いてみましたが、これだと若者にはわかりづらいかもしれないですね(笑)。
パッケージはDD51型ディーゼル機関車の写真が全面に貼られていて、これが実は掛紙。剥がすと下にイラストのパッケージがあります。いずれにせよ、レトロ感ばりばりで、歴史ある駅弁だという雰囲気が伝わってきます。
さて、フタを開けると、裏に昭和三十四年に「日本初の牛肉駅弁」として発売されたこの駅弁の誕生秘話など書かれています。こういうの読みながら食べると、美味しさが増す気がしますね。ほう、当時は日本で一番高い駅弁だったのか。
主役の牛肉は二枚。付け合せはフライドポテトにごぼう、タケノコ、漬物など。正直、箱のイメージほどのボリューム感はないかな。
では、お肉をパクリ。おお、柔らかい。そして美味い。甘辛いタレもいいけれど、それ以上に肉の味が素晴らしい。これ、今まで食べた駅弁の牛肉の中で一番美味しいかも!
付け合せも、ご飯もしっかりと美味しくて、うん、あんまり注目してなかったんだけど、これいい駅弁だわー。
あとで調べたらこの「元祖特撰牛肉弁当」、駅弁好きなら、知らない人はいないくらいの有名駅弁なんですね。おれ、駅弁には詳しくないから知らなかった!
牛肉好きなら、新作牛肉駅弁対決もいいけど、こちらもチェックしていただきたいです。
「第二回 京王駅弁大会公開チラシ飲み!」開催!
今年もやりますよ、京王百貨店非公認(黙認?)の京王駅弁大会イベント!
「第二回 京王駅弁大会公開チラシ飲み!」
渋谷ロフト9 1/16(火)
OPEN 19:00 / START 19:30
前売¥1,500 / 当日¥1,800(税込・要1オーダー500円以上)
駅弁大会チラシ付(当日お渡し)
【出演】安田理央、柳下毅一郎、ラズウェル細木、パリッコ、モギ 他
今回で53回を迎える日本で最も有名な駅弁大会「駅弁の甲子園」こと、「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」を、こよなく愛する者たちが熱く語り合うあのイベントが帰ってきた!
今回の大会の目玉は何か? 後半戦をどう戦うべきか? 猛者たちが、激しく討論する!
テレビ、ラジオでも話題になった「チラシ飲み」とはこれだ!
「おれたちは駅弁が好きなんじゃない。駅弁大会が好きなんだ!」
前回は開幕前日の前夜祭でしたが、今回は前半戦の終盤ということで、前半戦の総括と後半戦の計画を話し合いたいと思います。
僕らにとって、京王駅弁大会はなぜこんなに楽しいのか。
それは駅弁を食べることよりも、駅弁大会の話をして盛り上がること自体が楽しいのではないか。
いや、もういっそ、チラシさえあれば、駅弁なんか買わなくても食べなくてもいいのではないか、なんて極論(笑)が出るほど、飲みながらチラシ片手に駅弁大会の話をするのが楽しいんですね。これが人呼んで「チラシ飲み」。
その楽しさをイベントにしてしまおうというのがこの「公開チラシ飲み」なのです。
マイクも客席にガンガン回しますので、ぜひ今大会前半戦の戦果や後半戦にかける意気込みを、どんどん発言して下さい!
まぁ、まさかチラシを入手してない人はいないと思いますが、会場にはチラシを用意しておきますので、手ぶらで来ても大丈夫ですよ!
駅弁大会話で盛り上がりましょう!
「駅弁はその販売駅で買い、その路線に乗りながら食べるべきだ」というのもひとつの考え方だと思うのです。そちらを「右派」だとすると、僕らのように「駅弁大会が好きなのであって、特に駅弁が好きなわけではない」というのは「左派」。となると「もうチラシさえあれば、駅弁いらない」なんてのは「極左」ですね(笑)。
でも、ぜひ「駅弁右派」の人とも話してみたいなぁ。イベントに来てくれないかなぁ。