ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「コンテンツ消滅」小林雅一

 違法コピーの横行により、音楽やゲーム、アニメなどの文化が危機に瀕している。この状況が進めば、やがてコンテンツは消滅し、あなたが楽しむものが何もなくなってしまう「大衆文化果てる未来」が到来する。あなたの無知が大衆文化を破壊していく!…という本だと聞くと、単に保守的な立場からネットやコピーを非難している内容のような気がしますが、実際にはこうした状況を冷静に分析しているので、なかなか興味深く読めました。

 なによりも11月18日発売にして、10月(11月のも?)の状況も盛り込まれているという雑誌並の情報の新鮮さに感心しましたね。これだけ大量の情報を、読みやすくまとめてくれるとなれば、「本」という形態にも価値があるのだなと改めて思ったんですね。同じ情報量の文章をネットで読もうとすると、かなりしんどいだろうなぁ。この本は、光文社ペーパーバックという新書というかムックのようなシリーズの一冊なんですが、情報の新鮮さと情報量の豊富さ、掘り下げの深さを兼ね備えたこうしたスタイルは、「本」の今後を占う意味で重要な役割を果たしていくのではないでしょうか。読み捨てできるような気軽さが大事といいますか…。

 ところで気になったのは、この本の文章中で、単語などがいちいち英訳で繰り返されること。例えば「あまりにも短絡的shortsightedな発想は、もう片方に見せる卓越した技術的知性との落差gapが甚だしい」とか「ここでは論旨を明快にするためにto make my argument clear、思い切って単純化simplifyした」など、英語表記が続いてくるんですね。最初は「別に英語が学びたくてこの本買ったんじゃねーよ」と鬱陶しく思っていたのですが、慣れてくると「ふーん、逆に言うとってのは、in other wordsになるんだ」などと感心しちゃったりします。あー、結構勉強になるかもー(笑)。これ、光文社ペーパーバックシリーズの仕様なんですかね。


http://www.kobunsha.com/book/HTML/ppb_93346_7.html

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