ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

児童ポルノ単純所持禁止になったら

 6月26日の児童ポルノ禁止法案の審議が、あまりにショッキングだったということで反響を呼んでいますが、どこまでをポルノとするかの線引きばかりが話題になっていて、どうも単純所持禁止は避けられないみたいですね。一応、民主党案だと、単純所持禁止ではなくて、繰り返しの取得を禁じる「取得罪」を主張してるのかな。

 児童ポルノの単純所持を禁じられると、僕のようにエロメディアの歴史に興味がある人間には非常に困るわけですよ。なにしろ日本のエロメディアにおいて80年代前半はロリコンヌードを抜きには語れないのです。マニア誌としては異例の8万部を記録した「ヘイ! バディ」を筆頭に20誌以上の専門誌が発売されたことは大きなトピックだし、何よりもこの頃のエロ雑誌って、ロリコン向けじゃなくてもロリータヌードが載ってたんですよ。例えば「写真時代」にはアラーキー清岡純子のロリータヌードが満載だし、「ビデオザワールド」の創刊号にもロリータヌードがいっぱい(あ、全部、白夜書房だ)。それだけじゃなくて当時は「プレイボーイ」や「GORO」「スコラ」にも少女のヌードは載っていたはず。今、調べてみたら1995年の「スコラ」にも16歳の白石琴子が巻頭グラビアでヌードを披露してましたよ。これを全部、捨てろと? 編集部にバックナンバーもとっておけないと?
 この間の審議じゃ、宮沢りえの「サンタ・フェ」もダメみたいな話もあったけれど、そうするとあの時、全面広告を出した読売新聞、朝日新聞の縮刷版もアウトですね。
 貴重な資料を全て放棄しないとならないわけですよ。日本のエロメディア史、いや日本の雑誌史すら語れなくなっちゃう。もう「エロの敵」みたいな本は書けない。だって資料がなくなっちゃうんだもん。持ってたら逮捕じゃ、記憶だけで書かなくちゃいけなくなる。その部分だけ切り取れなんてのはナシですよ。教科書をスミベタで塗りつぶした敗戦後じゃあるまいし。
 少なくとも、過去の物に関しては所持を許可してもらえないのかなぁ。芸術的なものならお目こぼしはあるかもしれないけど、「エロ」じゃダメなんだろうなぁ。
 今回、これを書くのに参考にした「ミルククラブ アリスクラブ年鑑1991」(白夜書房)なんて、1991年までのロリコンメディアを総括した非常に素晴らしい資料なんですよ。こういう物を廃棄しろだなんて、そりゃあんまりだ。
 しかし、単純所持が禁止されたら、荒木経惟篠山紀信にもポジを廃棄しろって迫るんですかね? そして彼らはそれを受け入れるのでしょうか?

 それにしても、テレビや雑誌、新聞ではこの話題をほとんどスルーしているのが気になるなぁ。

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