iPadが電子書籍のブレイクスルーになるのではないかと、日本の出版業界関係者がにわかに騒ぎ始めています。Amazon・Kindleにつくべきか、iBooks・iPadにつくべきか、それとも第三勢力として国内の独自電子書籍サービスが生まれるのか? 遅々として進まなかった電子書籍の普及がここで一気に進むのではないかと考える人も多いようです。
しかし、iPadを手に入れたからといって、ユーザーは有料の電子書籍を購入するようになるのでしょうか?
僕はiPhoneを使うようになってから、確実に本や雑誌を読む機会が減りました。以前は電車の中では本や雑誌が手放せませんでしたが、今はiPhoneでtwitter見たり、RSSリーダーであちこちのブログを拾い読みしたりすることが、ほとんど。ネットにはリアルタイムなニュースも、読み応えのあるテキストもいっぱいあるのですから。以前も、携帯電話でmixiやら2ちゃんやらを読むことはあったけれど、やっぱりiPhoneくらいの液晶サイズがあると読みやすい。電車の中ではiPhoneを見ることが多くなりました。
そして自宅でも、iPhoneが手放せないんですよ。以前なら寝っ転がって雑誌を読んでいたような時も、iPhoneでネットの記事を読むようになりました。寝っ転がってネットを見るというのはノートPCでも、いまひとつ楽しみにくかったけれど、iPhoneなら実に快適なんですね。
でも、iPhoneだと、まだ画面サイズが小さいなぁと思う時があります。その小ささに抵抗があってまだiPhoneに手を出していない人も多いのではないでしょうか。そこでiPadです。あのサイズなら、コンテンツを楽しむには十分。雑誌を読むように、ネットを楽しむことが出来るでしょう。しかも無料で。そう、ネットには無料で楽しめるコンテンツが、すでにたくさんあるんですよ。わざわざお金を払って電子書籍を購入しなくても。
いつでもどこでも手軽に読めるというのがPCに対する雑誌や本のアドバンテージでした。携帯電話やiPhoneよりも、読みやすいというのが雑誌や本のアドバンテージでした。それがiPadで解消されたとしたら、印刷物としての本や雑誌の存在価値はなくなってしまいます。そして、ネットの無料サービスが本や雑誌にとって変わるとしたら…。
iPadの登場は有料の「出版」の息の根を止めることになるかもしれません。