最初はキングジムが発売した「フリーノ」の記事を読んでいたんですね。電子ペーパーを採用したデジタルノート。
電子ペーパー(E-Ink)というのは、紙の特性を持ったディスプレイ技術で、消費電力が極端に少ないとか目に優しく疲れないとか、そういった長所があります。有名なところだとKindle Paperwhiteが電子ペーパーを使ったデバイスですね。
「フリーノ」はメモに特化した電子ペーパーデバイスで、「ほほう、これは紙のノートがわりに使えるかなぁ」と思いながら見ていたわけです。ここ数年、スクラップブック的な使い方をしていたので、ノートがやたらと重くなっちゃってて、持ち歩くのが不便になってたのが悩みだったのです。
rioysd.hateblo.jp
いっそ電子ペーパーのノートにしちゃうというのもいいのかなぁ、なんて思いながら値段を見ると、4万6千円とかなんですね。さすがにノート代わりに使うには高すぎる。同じような商品である富士通のクアデルノも、4万円弱。
うーん、これは、もう少し待って安い製品が出てからかな……なんて思いながら色々調べていたら、BOOX NOVA2という名前が目に入ってきました。
BOOX NOVA2、全然知らなかったんですが、Onyxという中国のメーカーの製品で、これは電子ペーパーでありながらAndroid 9搭載のタブレット。Google Playが使えるので、様々なアプリをインストールできるというものなんですね。
電子ペーパーというとKindle Paperwhiteのような電子書籍リーダーか、フリーノのような手描きノートなど、単機能に特化したデバイスしかないと思い込んでいたから、ちょっと驚きました。
ということは、電子書籍リーダーとしても、Kindle PaperwhiteのようにKindleだけじゃなくて、hontoとかebooksJapanとかの電子書籍も読めるということじゃないですか。いや、コミックDaysとかマンガ図書館Zなんかも読めるのかもしれない。
そしてフリーノと同じく、ワコム製の筆圧4096段階のデジタイザーを搭載してるというからデジタル手書きノートとしての機能もよさそう。
それでいて39,800円。フリーノよりもずっと安く、クアデルノよりも機能が豊富で値段はほぼ同じ。これ、いいんじゃね?
いや、冷静に考えれば、普通のタブレットが買える値段です。電子ペーパーというのは、モノクロで反応が遅いので使い道は、かなり限定されます。電子ペーパーのAndroidタブレットなんて、はっきり言って、物好きしか買わない変態ガジェットですよ! 絶対、使わなくなって後悔する!
それなのに、ああ、それなのに、一度「これ、いいんじゃね?」と思ってしまった物欲の火は消せません。気がつけば、ポチっとしてしまいました。ちなみに私は、ミヤビックスの保護フィルム、ペン用替え芯、日本語設定マニュアル 、純正保護ケース、スマートカードリーダーというオマケに惹かれて、E-Ink製品の専門店であるSKTのサイトから購入しました(今はオマケの内容が変わっているようです)。

というわけで2週間ほど使ってみました、BOOX NOVA2。結論からいいますと、なかなか気に入っております。愛用しているといっても過言ではないでしょう。スマホと一緒に常に持ち歩いてます。
まず最初の目的である「ノートの代用品」としての使い方。私がノートに求めていたのは、「取材メモ」「打ち合わせメモ」「アイディアメモ」「ToDoメモ」といった用途です。今はスマホにメモを取ることも多いんですが(特に私のスマホは、Galaxy Noteで手描き機能も充実していてメモ向き)、やっぱりある程度の紙面に手書きで、ワーッと走り書きをしたくなるんですよね。図形とか矢印とか多用して。
特に「ToDoメモ」に関しては、思いつくToDoを片っ端からノートに書いて、書ききった後に整理してスマホのToDoアプリに転機するというやり方を好んでるんですね。ちょっとGTDの「収集」ステップに近い。
BOOX NOVA2の書き心地は、かなり紙に近く自然な感じ。書き始めの一瞬だけ遅れる感がありますが、後はキッチリと書けますし、書いている時の感触も紙とペンそのもの。イラストとか描く人だと、もう少し不満点も出てくるかもしれませんが、少なくとも私の使い方では問題ナシ。

ホーム画面を「ノート」にしているので、カバーをパカっと開ければ、すぐにスリープから復帰してノートに書き始められます。途中まで書いたページのままスリープさせておけば、またその画面から復帰するので続きを書けます。これは紙のノートよりも早い!
そしてデジタルのメリットとして、「戻る」「移動」が出来るのも、意外に便利でした。書き間違えたら、「戻る」で前の段階へ。ペンのお尻で画面を擦れば消しゴムのように消すことも出来ます。書いた文字や絵を範囲指定して、移動させられるというのも便利。これは手書きノートでは出来ない大きなメリット。
私の場合、ToDoメモは終わったら線を引いてどんどん消していくんですが、これである程度消したら、次のページに移ります。紙のノートの時は、前のページを見ながら、まだ終わっていない項目を書き写していたんですが、デジタルだとこれもコピーで済みます。

私は汚くなったページをそのまま次のページにコピーして、線を引いた項目を消していって、残った項目を移動させて整理して、新しいToDoメモにする、というやり方にしています。線や四角、丸などをデジタルで描くことも出来たり、デジタルでテキストを入力出来たりと、手書きとデジタルを併用できるのも大変便利。
これに慣れちゃうと、手書きオンリーの紙のノートに戻れなくなりそうです。個人的には、やっぱりモノクロというところが残念な点かな。以前は二色ボールペンで赤インクもよく使っていたので。あんまりカラフルにするのは好きじゃないけど、黒と赤くらいだと見やすいんですよね。これは電子ペーパーのカラー化が一般化するまで待ちましょう。
さて、もうひとつの使い道である電子書籍リーダー。BOOX NOVA2には「書店」というアプリがプリインストールされていてBOOXの電子書籍ストアにアクセスできるのですが、日本語の本は無いので、これは不要。
Google PlayからKindleなどの電子書籍アプリをダウンロードして使うことになります。電子ペーパーなのでモノクロであり、若干ページめくりの時にもたつく感はありますが、だいたいKindle Paperwhiteと同程度。慣れてくるとあまり気にならなくなりますね。それよりも、透過光ディスプレイではなく、紙と同じ反射式なので、目に優しいのが嬉しいところ。暗いところで読むのもライトがあるから大丈夫です。
そしてKindle以外の電子書籍アプリが使えるというのがKindle Paperwhiteにはないメリット。コミックDAYSやマンガ図書館ZのようなWEBコミックアプリも使えます。

さらにPDFリーダーもあるので、自炊した書籍のPDFデータを転送しておけば読むことができます。
あれ、これ、電子書籍リーダーとしては最強のデバイスなんじゃないの?
BOOX NOVA2は基本的にはAndroid 9搭載タブレットなので、タブレット同様に使えるはずですが、まぁ、電子ペーパーだったり、かなりカスタマイズされているため、ちゃんと動かないアプリもあります。この辺は色々試していくしかないでしょう。

私はスケジュールはGoogle Calendarを利用していて、PCとスマホで管理しているのですが、BOOX NOVA2にも手書きでも入力できるカレンダー機能があるので、これひとつで手帳の代わりにすることも可能ですね。
そして電子ペーパーデバイスの大きなメリットである電力消費が少なく、バッテリーの持ちがいいという点。普通に使っても一週間は持つんじゃないでしょうか。画面を出しっぱなしの時は電力を消費しないから、いちいち電源を切ったりスリープにしなくてもいい、というのも紙のノート感覚があって使いやすいんですよね。
というわけで、大変気に入っているBOOX NOVA2ですが、初期設定が色々と面倒くさい(Google Playを使えるようにするのにちょっとした作業がいる。日本語入力アプリを自分で入れないといけない、など)こともありますし、操作性にクセが強く、色々悩むけれどマイナー機種ゆえにネットにもあまり情報がないなど、初心者には少しハードルが高いかも。
そして4万円という金額が妥当かというのも難しいところ。
でも、ま、個人的にはオススメだよ! というのが結論です。デジタル手書きメモに興味がある、目に優しい電子書籍リーダーが欲しい、という人には、もうBOOX NOVA2一択なんじゃね? とまで思っております。
さらに使い込んでから、またレポートしたいと思います!
<追記 2020/08/19>
残念な点、もうひとつ。
BOOX NOVA2、本体は重量275g(測ってみたら271gだったけど)で、まぁ、それほど軽くもないけど重くもないというところなんですが、専用ケースをつけると384gに! でもケース無しだとワコムペンを装備できないしなぁ。Galaxy Noteみたいに本体にペンを収納できたら……。せめてもっと軽い専用ケースがあったらいいのに。


あと、それまで使っていたRollbahnのノートに求めていた用途として、名刺などを貼り込むスクラップブック的な機能と、切手やハガキ、ポストイットなどを入れる小物入れ的な機能(Rollbahnのノートにはクリアポケットがたくさん付いている)があるのですが、スクラップブックとしては従来のノートに継続してデスクに置きっぱなしにする、そして小物入れは、A6サイズのクリアファイルブックを持ち歩くということで解決しました。
