ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

アダルトメディア変遷史


 先日(2022年4月10日)、新宿ロフトプラスワンで開催されたイベント「コアチョコTシャツデスマッチ」に出演して、「アダルトメディア変遷史」というプレゼンをしたのですが、まぁ実演だけではちょっともったいないかなと思ったので、改めてここにまとめておきます。60年代から現在にかけて、登場しては消えていった動画・音声メディアを紹介しています。

01 8mmフィルム


公式に発売された動画アダルトメディアとしては8mmフィルムが一番古いのではないでしょうか。それ以前にもブルーフィルムが16mmでも出回っていましたが、アンダーグラウンドな裏メディアでしたし、かなり高価でしたからね。

僕が所有している「大奥浮世風呂」は1977年の東映作品のポルノで主演は「愛のコリーダ」の松田英子。フォーマットはシングル8で、トーキー(音声入り)対応なのですが、まだトーキー映写機が普及していなかったためか、音声入りのカセットテープが付属していて、同時に再生できるようになっています。定価は9,800円。

こうした8mm映画フィルムは、70年代からビデオに取って代わられる80年代初頭まで発売されていました。

02 8トラック


8トラックは、60年代から70年代にかけて主に音楽メディアとして扱われていたカートリッジテープメディアです。既にコンパクトカセット(いわゆるカセットテープ)も開発されていたのですが、まだモノラルだったため、音楽用としてはこの8トラックが主流となりました。

コンパクトカセットが主流となる70年代後半でも、カーステレオやカラオケ用としては80年代まで現役だったようです。

これは70年代後半くらいの商品だと思うのですが、おそらくトラックの運転手用に作られていたのでは? 現在、8トラックの再生装置を持っていないので内容は聞くことは出来ないのですが……。意外に中古市場で見かけるので、そこそこ作られていたようです。

「最新版 悦楽」のみ、パッケージに価格が表記されているのですが、定価は4,800円となっています。

03 カセットテープ(コンパクトカセット)


そして60年代に発売開始され、現在でも現役のカセットテープ。エッチな音声を収録したエロカセットは、かなり作られています。

60年代には、ピンクテープ、エロテープ、シークレットボイスなどと呼ばれており、1970年にはなんと10万本の売り上げを記録した『恍惚』というベストセラーも登場しています。

僕の所持する70年代後半の商品と思われる『昇天試験』という商品はなんと定価5,200円。しかもA面に10分ほどのエロティックなラジオドラマ風の音声ドラマが収録されているだけでB面は無音。

70年代から80年代にかけては、ラブホテル盗聴テープや、カセット付きのビニ本なども人気を集めました。

中でも1985年から販売開始されるマドンナ社(二見書房)の『マドンナメイトカセット』シリーズは当時の人気AVアイドル総出演で、大ヒット商品となりましたね。

04 ソノシート


60年代から80年代にかけては簡易レコードとも言うべきソノシートが、雑誌やムック、単行本などの付録としてよく付けられていましたね。

この『NEWロマンPORNO』(隆成館 1971年)付録のソノシート「夏の夜は長く眠れぬ夜 下町娘は燃える」は、本誌のグラビアと連動しているということですが、二人の女性の会話が延々続き、ようやく喘ぎ声が入ったと思ったら10秒くらいで終わってしまいます。作・演出は清水正二郎、つまり胡桃沢耕史

05 Uマチック


VHSやβ以前の、初めて家庭用に販売されたカセット式のビデオテープということで1971年から販売開始されたUマチックですが、高価だったためあまり家庭には普及せず、放送業務用としての使用がメインとなりました。通称3/4インチ、シブサン。

僕の所持するこのUマチックは、東映のポルノ映画「サファリの女豹」をソフト化したもの。ビデ倫審査は1978年。ラブホテルなどの館内放送用にレンタルされていたもののようです。弁当箱ほどの大きさです。

06 VHS、β


おなじみのVHS、β。日本のAVの始まりを1981年とすることが多いのですが、それはビデオで撮影された販売用のAVがその年に作られたからなんですね。Uマチックのようにラブホテルでの放送用にピンク映画などをソフト化したものはそれ以前から存在しました。

初期のAVはパッケージも紙だったりハードケースだったり色々でした。初期の宇宙企画はメタリックなケースで、銀パックなどと言われていましたね。

よくVHSが勝利したのはAVや裏ビデオがVHSだったから、と言われますが初期はちゃんとβでも出てたんですけどね。

07 レーザーディスク


1981年から販売が開始されたレーザーディスクではアダルト作品もかなりリリースされました。この時、対抗馬とされたVHDではランジェリー止まりのセクシーイメージしか出てませんでしたね。

レーザーディスクはレンタル禁止だったのでセルオンリー。

「半永久的に劣化しない」という売り文句だったのに、実は結構劣化しちゃうようです。
サイズ的には史上最も大きなアダルトメディアだと言えるのではないでしょうか。レコードサイズなのでジャケットをディスプレイしたくなりますよね。

08 8mmビデオ


ハンディカムなどの撮影用という印象の強い8mmビデオですが、映像ソフトも発売されています。個人的には、パッケージをそのまま小さくしたミニチュア感が好きだったんですけど、あんまり映像ソフトは普及しませんでしたね。80年代末からMiniDVが普及する90年代半ばまでの短い寿命のメディアでした。

Uマチック、VHS、β、8mmと並べてみると大きさの違いがよくわかりますね。
09 フロッピーディスク


まだインターネット時代がやってくる前のパソコン通信時代の90年代初頭、フロッピーディスク(これも、もはや説明がいる時代かも?)にエロ画像を収録したものも、ちょこちょこ売られていたんですよね。だいたいインディーズというか、無断で適当にエロ画像を収録したものを、PCソフトショップでこっそり売ってたという感じなんですけど(右の光月夜也のがソレですね)、この「RED CARD」は珍しく公式の商品。メーカーは日本メディアクリエイトとなってますが、確かVIP(アトラス21)じゃなかったかな。中身は、水野さやかなんかのAV女優のスチール写真が60枚入ってるだけです。
でも、当時はフロッピーにエロ画像が入ってるというだけで、妙なエロティックさを感じたんですよね。マッキントッシュのSystem7.1対応で定価2800円。これが発売されたのは、もうCD-ROMも出ていた時期ですが「一人でも多くの方に衝撃のエロスを楽しんでいただくためにメディアは敢えてフロッピーディスクを選びました」とのことです。

10 CD-ROM

「VIRTUAL VIVID3」(TMA)より

90年代前半の「マルチメディア」ブームの時に脚光を浴びていたのがCD-ROMです。1993年にステップスというメーカーが出した『ハイパーAV』が日本のアダルトCD-ROMの第一号と言われています。その後、KUKIを中心に多くのAVメーカーがアダルトCD-ROMをリリースしました。結構面白いアプローチをした作品もあったんですけど、結局は単に動画をたくさん収録しただけの作品の方が売れたりして、結局DVDにとって変わられちゃいました。

実は僕がフリーライターとして活動を始めた当初に得意ネタとしていたのが、このアダルトCD-ROMでした。他にあまり書く人がいなかったからというのもあったんですが、ずいぶんハマって書いていました。なので、思い入れもあるんですよね。少なくとも、アダルトCD-ROMはあの時、未来を感じさせてくれたのですよ。

11 フォトCD


1992年にコダックとフィリップが共同で開発したフォーマット。1枚のCDに約100枚の画像を収録できるというもので、一時期はヌード写真集がたくさんリリースされました。

なぜアダルトCD-ROMじゃなくて、フォトCDでリリースしたのかというと、当時アダルトCD-ROMはソフ倫の審査を受けないと流通が難しく、ソフ倫はまだヘアを解禁してなかったんですね。でもフォトCDだと、ヘアも出せる! ということでフォトCD版のヘアヌード写真集がバンバン出てたわけです。

フォトCDだと、PC以外にセガサターンPC-FX3DOなどのゲーム機でも再生できました。

12 ビデオCD


DVDより以前、1993年に登場した動画を収録したCD。デジタルではあるけれど、解像度が低くVHSよりも画質は悪い。しかも再生時間は74分までということで、日本ではほとんど普及しませんでした。今回調べてみて、日本でもビデオCDでAVがリリースされていたのを初めて知ったくらいです。

ただアジアではかなり普及していたようで、海賊版ビデオCDがずいぶん売られていました。

写真の細川ふみえ杉本彩ビデオCDは、村西とおるのパワースポーツで出てたイメージビデオが元ですね。たしか100円ショップで買いました(笑)。

13 DVD


1996年に登場し、今でも主流となっているメディアですね。アダルトでは1996年にいち早く第一号ソフトの「小室友里 桃艶かぐや姫・危機一髪」が発売されているのですが、意外に移行は進まず、リリースが本格化したのは00年代に入ってからでした。

14 UMD

PSPで再生するとこんな感じです。

2004年に登場したPSP専用メディア。なにしろPSPでしか再生できないというかなりニッチなメディアなんですが、当時は結構AVもリリースされたんですよね。すぐにリリースも途切れましたが(笑)。ディスクとしてはアダルトメディアで一番小さいサイズで、このコンパクト感はちょっとイイですね。ほとんど知られていない幻のメディアです(笑)。

15 HD DVD
立花里子の奴隷部屋」(GLAYZ)

幻といえばこれが一番レアなアダルトメディアかもしれない。Blu-rayの対抗馬として名乗りをあげたHD DVD。実はアダルトでは、Blu-rayよりも先にHD DVDがリリースされたのです。2006年8月。ただし、どうもこの一作だけしか出てないみたいなんですよね。今回紹介しているのは、全部僕が所持しているものなんですが、この一枚だけ入手できなくて……。

16 3D Blu-ray

単にBlu-rayだと面白くないかなということで、2010年頃にちょっとだけでた3D Blu-rayを紹介しますね。みなさんすっかり忘れてると思いますが、この時期「アバター」のヒットで3D映画が盛り上がり、3Dテレビも注目されたんですよ。そして「これからはAVも3Dだ!」と一部のメーカーがかなり力を入れて3D制作に乗り出してたんですが、まぁ、どう考えても普及するとは思えず、あっという間に消えていきました。3D効果を活かすために浣腸とかが飛び出したりしてたんですよね……。

ちなみにBlu-rayも2006年からリリースされてるんですけど、AVでは未だにあまり普及してません。HD画質を求める人は配信の方で見るようなんですよね。

しかしディスクメディアはほとんど外見は変わらないから、こう並べて見ても面白くないですね(笑)。

フィジカル(物理)メディアとしては、このあたりが最後で、以降は配信が中心になっていきます。2016年くらいから盛り上がっているVRも配信ですね。配信、確かに便利なんですけど、ブツとしての魅力はやっぱり捨てがたいんだよなーと個人的には寂しい気持ちもありますね。

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