ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

おやじびでお第3話 本屋で堂々とアソコが見られた時代があったの巻

 女性器が見たくて見たくて床を転げ回ったことがありますか? 私はあります。中学生の頃です。小学生でも携帯電話で簡単に無修正画像が見られてしまう現在とは違って、私たちの思春期には陰毛さえ見ることが出来ない遠い憧れだったのです。ま○こなんて言ったら、あなた、もう一生見れるか見れないかみたいな貴重なものだと思ってましたよ。小学生の頃なんか、女性のアソコは何もなくてツルツルだと信じてたほどですよ。ほら、永井豪とかのエッチマンガでは女の子のアソコは何も描かれてなかったから…。
 しかし、どうやら女性のアソコには穴が開いているらしいことを当時読んでいたオトナ向け小説の濡れ場シーンなどで知り、それが一体どんな形状になっているのか、もう見てみたくて見てみたくて、悶々としながら自分の部屋で枕抱えて転げ回っていたのですね。
 中学3年の時に、空前のブームとなった裏ビデオというものを友人が入手して、みんなで見たこともあったんですが、それがダビングにダビングを重ねたひどい画質のものでね肝心の部分もよく見えなかったりしました。画質が悪くても男のチンコだけは、しっかり形状が確認出来たんですが、そんなものは見たくねぇよ!
 早朝マラソンを口実に、苦労して入手した自販機エロ本*1も、肝心な部分はひっかき傷みたいな修正がなされていて、全く見えません。
 しかし、実はこの頃、一般の書店でも無修正の性器を見ることが出来たのです。それがロリコン写真集というもの。幼ポ法が厳しくなった現在では想像もつかないような話ですが、80年代前半までの日本では毛の生えていない性器は性器じゃないという論理で、ワレメ丸出しのロリータヌード写真集が堂々と売られていたのです。「私はまゆ13歳」*2とか立ち読みして衝撃を受けたなぁ。ワレメがばっちりと写ってて。陰毛はダメだけど、少女のワレメはOKだなんて、全く狂った時代でしたね。しかも、それが普通の書店で立ち読み出来てたんですから…。
 とはいえ、この手のロリコン写真では一本筋のワレメしか見えない訳ですよ。女性器の全貌というのは、全くつかめない。もっと、こう大股開きして、ちゃんと見せてくれるような写真はないものか。中学生の安田少年は、悶々としながら女性器に思いを馳せておりました。
 そして、高校生になって、その願いは叶うのです。それも、不意打ちのように唐突に。
 高校は都内だったもので、埼玉から電車で通学していたのですが、もともと本好き・雑誌好きだった僕は定期を利用して、途中下車しては各駅の古本屋を回っていました。確か田端とか西日暮里あたりの街だったと思いますが、ふと足を踏み入れた古本屋に、エロ本コーナーがあったんですね。んで、店員の目を盗むようにコソコソ見ていたんですが、その中の一冊の表紙に、僕は衝撃を受けました。なんとその表紙には、堂々とま○こが写っていたのです。いや、厳密に言うと極薄い布がかけられていたのですが、それはビニール程度の透明度なので、女性器の形状がはっきりと見て取れたのです。
 えええええええ、なんで見えてるの? いいの、これ?!
 後でわかったことですが、これはベール本と呼ばれるビニ本*3でした。80年に一大ブームを巻き起こしたビニール本は、そのものズバリの無修正=裏本*4の登場により、人気が急落。それに対抗するように、露出度を過激化させたベール本となって第二次ブームを巻き起こしたのが僕が高校生になった83年だったのでした。薄いベールで隠しているからベール本というわけですね。ベール本は、表紙から、もうバンバンと見せちゃってるのが特色。だから、僕が見たベール本もビニールに包まれて中身は見ることができなかったけれど、表紙だけで、それは確認できちゃったわけなのです。
 古本といえど2千円弱と高価だったし、それをレジに持っていったら怒られるんじゃないかと、貧乏で純真な高校一年生の安田少年は購入することは出来ず、その場でしっかりと網膜に焼き付けて、その夜にはコキまくったのでありました。
 その後は、勇気を振り絞って、当時はビニ本のメッカであったH賀書店*5にも入りました。凄かったんですよ、その頃のH賀書店。ズラーッとベール本の表紙が店内に並んでいるんですよ。つまり、申し訳程度にベールで隠しただけのま○こがずらりと並んでる。今では考えられないというか、無修正が珍しくなくった今でも、街の中の書店で、ま○こ写真が並べられているなんてことはありえない。
 思えば、本当に80年代前半の日本のエロシーンは、ちょっと狂ってました。少女のワレメは一般書店で立ち読みできるわ、(成人向けとはいえ)書店の店内にま○こ写真が並んでいるわ…。どう考えてもオカシイ状態ですよ!
 そういえば、地元の古本屋でも、夜になると堂々と裏本を売ってた店があったなぁ。
 中学生時代の飢餓状態が一気に解消されたような状況を迎えた高校生の私は、貪るようにして、ま○こを見まくっていたのでした。
 しかし、今のように簡単に無修正が入手できる時代の少年たちは、私のように初めてま○こを見た時の感動を覚えることは出来るのでしょうか? そういう意味では、私は幸せだったかな。

DMM DVD(ジーオーティー)2009年9月号掲載。現在は「TENGU」(ジーオーティー)にて「続おやじびでお」として連載続行中。

*1:自動販売機でのみ販売される独自流通のエロ本。多くは低予算で作られたが、その中から「JAM」「EVE」と言った現在の裏モノ誌の源流となるサブカル色の強い雑誌も生まれた。70年代後半から80年代初頭までが全盛期。

*2:清岡純子先生撮影による写真集。モデルの花咲まゆは、あどけない顔立ちと豊満な体つきで人気があり、大ヒットとなった。フジアート出版から82年発売。

*3:独自流通のヌードグラビア本でビニールに包まれて中身を見ることができないことからビニ本と呼ばれた。80年に岡まゆみの「慢熟」が薄いパンティ越しに陰毛が透けて見えるということから話題になり、一説によれば10万部以上の大ヒットを記録。以後、ビニ本は大ブームとなり、その露出度を競いあったが、81年に大規模な摘発にあい、沈静化する。

*4:非合法スレスレのビニ本とは違い、完全非合法の無修正エロ本。81年に登場し「金閣寺」「法隆寺」などがヒット。その後も細々と作られていたが、2006年に遂に新刊の発行が停止。

*5:神田神保町を中心に出店しているアダルト系書店。80年代にはビニ本の聖地と言われたが、現在は主にAVを扱っている。出版も行っている。

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