ダリブロ 安田理央Blog

フリーライター安田理央のBlogです。

「痴女の誕生」参考資料

10年前に「エロの敵」を出した時にもやったのですが、「痴女の誕生」を書くにあたって参考にした本や雑誌を紹介したいと思います。

「痴女の誕生」巻末の「参考文献一覧」に掲載したリストはこちら。

参考文献一覧

<単行本・ムック>

宝泉薫『アイドルが脱いだ理由』(宝島社)2001年
前場輝夫:撮影『愛・MY・ME 飯島愛』( 英知出版)1992年
馬場賢治『アクション・カメラ術』(KKベストセラーズ)1981年
森ヨシユキ『アダルトビデオ「裏」の世界』(宝島社)2012年
藤木TDC『アダルトビデオ最尖端』(コアマガジン)2011年
東良美季『アダルトビデオジェネレーション』(メディアワークス)1999年
オレンジ通信特別編集『アダルトビデオ10年史』(東京三世社)1991年
オレンジ通信特別編集『アダルトビデオ20年史』(東京三世社)1998年
本橋信宏『アダルトビデオ 村西とおるとその時代』(飛鳥新社)1998年
藤木TDC『アダルトメディア革命史』(幻冬舎)2009年
豊田有恒『あなたもSF作家になれるわけではない』(徳間書店)1979年
下森真澄・宮村裕子『ANO・ANO』(JICC出版局)1980年
別冊宝島『1億人のAV』(宝島社)1994年
『妹ゲーム大全』(インフォレスト)2004年
『裏パソコン通信の本PART2』(三才ブックス)1995年
本橋信宏・東良美季『エロ本黄金時代』(河出書房新社)2015年
二村ヒトシ金田淳子・岡田育『オトコのカラダはキモチいい』(メディアファクトリー)2015年
『大人限定 男の娘のヒミツ』(マイウェイ出版)2015年
三葉『オンナノコになりたい!』(一迅社)2007年
団鬼六奇譚クラブ 花と蛇 決定版』(暁出版)1970年
北原童夢 早乙女宏美『「奇譚クラブ」の人々』(河出文庫)2003年
津田一郎『ザ・ロケーション』(晩声社)1980年
唯登詩樹『ジャンクション』(白夜書房)1993年
松沢呉一『熟女の旅』(ポット出版)1999年
リビア・セント・クレア『ジョアンナの愛し方』(飛鳥新社)1992年
佐野亨:編集『【昭和・平成】お色気番組グラフィティ』(河出書房新社)2014年
カンパニー松尾井浦秀夫『職業AV監督』(秋田書店)1997~1998年
和田二郎『職業。素人ヌード雑誌編集長。』(マガジンマガジン)2007年
藤井良樹『女子高生はなぜ下着を売ったのか?』(宝島社)1993年
水道橋博士水道橋博士異常な愛情』(青心社)1995年
別冊宝島『性メディアの50年』(宝島社)1995年
黒木香伊藤比呂美『性の構造』(作品社)1987年
荻上チキ『セックスメディア30年史』(ちくま新書)2011年
別冊宝島『超コギャル読本』(宝島社)1998年
美崎薫デジタルカメラ2.0』(技術評論社)2007年
『隣りのお姉さん100人』(二見書房)1982年
このどんと『奴隷戦士マヤ 誕生編』(コスミックインターナショナル)1989年
近石雅史『永瀬愛物語 騎乗位の天使』(マガジン・マガジン)2003年
現代風俗研究所『日本風俗業大全』(データハウス)2003年
『80年代AV大全』(双葉社)1999年
『花は紅 団鬼六の世界』(幻冬舎)1999年
永沢光雄『風俗の人たち』(筑摩書房)1997年
篠山紀信:撮影『135人の女ともだち 篠山紀信全激写』(小学館)1979年
別冊宝島『100万人のアダルトビデオ』(宝島社)2002年
鈴木義昭『ピンク映画水滸伝』(青心社)1983年
井川楊枝『封印されたアダルトビデオ』(彩図社)2012年
三木幹夫『ぶるうふいるむ物語』(三木幹夫 立風書房)1975年
飯島愛プラトニック・セックス』(小学館)2000年
『ヘンタイ道まっしぐら』(KKベストセラーズ)1999年
川本耕次『ポルノ雑誌の昭和史』(ちくま新書)2011年
東良美季『代々木忠 虚実皮膜 AVドキュメンタリーの映像世界』(キネマ旬報社)2011年
渡辺真由子『リベンジポルノ 性を拡散される若者たち』(弘文堂)2015年

<雑誌>

AERA』(朝日新聞社
『アップル通信』(三和出版
『anan』(マガジンハウス)
アサヒ芸能』(徳間書店
『attiva』(徳間書店
『いやらしい2号』(データハウス
S&Mスナイパー』(ミリオン出版 ワイレア出版
『egg』(ミリオン出版
『AV CLUB』(日之出出版
『おとこGON!パワーズ』(ミリオン出版
『オトコノコ倶楽部』(三和出版
『おとなの特選街』(KKベストセラーズ
『オレンジ通信』(東京三世社
奇譚クラブ』(曙書房 他)
『綺麗』(笠倉出版社)
『月刊DMM』(ジーオーティー
小悪魔ageha』(インフォレスト
『GORO』(小学館
『実話裏歴史スペシャル』(ミリオン出版
週刊現代』(講談社
『週刊SPA!』(扶桑社)
週刊プレイボーイ』(集英社
週刊ポスト』(小学館
小説宝石』(光文社)
『熟女クラブ」(三和出版
スーパー写真塾』(少年出版社)
『スーパー・ベスト』(KKベストセラーズ
『セクシーアクション』(サン出版
台風クラブ』(東京三世社
チョベリグ!!』(東京三世社
デラべっぴん』(英知出版
『特選小説』(綜合図書
『ナイスマガジン』(桃園書房
『NAO DVD』(三和出版
『熱烈投稿』(少年出版社)
『ビデオエックス』(笠倉出版社)
『ビデオ・ザ・ワールド』(白夜書房 コアマガジン
『ビデオメイトDX』(コアマガジン
『ビデオプレス』(大亜出版)
『ビデパル』(フロム出版
平凡パンチ』(平凡出版 マガジンハウス)
『ベストビデオ』(三和出版
『別冊くい~ん』(アント商事)
『ペントジャパンスペシャル』(ぶんか社
『ボディプレス』(白夜書房
『本当にあったHな話』(ぶんか社
『MAZI!』(ミリオン出版
『ヤンナイ』(大橋書店)
ユリイカ』(青土社


実は最初は、自分の持っている蔵書だけを資料に書けないかな、と思ったのですが結局は国会図書館にも何度か通い、当事者インタビューも結構やっています。あとDMM R-18をはじめとする動画配信サイトにはずいぶんお世話になりましたね。かなり古い作品も配信してたりするので、すごく助かりました。


さて、これらの中でも特に重要と思われる本をいくつか紹介したいと思います。絶版になっているものもありますが、古書店やネットオークションをチェックすれば、入手はそれほど難しくないと思いますよ。

オレンジ通信特別編集『アダルトビデオ10年史』東京三世社 1991年発行)
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 AV情報誌の老舗であった「オレンジ通信」(2009年休刊)の1991年3月増刊。前に紹介した『アダルトビデオ20年史』の前作にあたるムックで、ビデオ前史である1980年から1990年までのAVの歴史を克明に記録しています。当然の如く最初の10年間に関しては『20年史』よりも詳しく書かれています。藤木TDC氏によるAV女優レコードガイド「歌うAVギャル」や中野D児氏の業界自叙伝「The Story Of A Man Called Mr.D」などはぜひ読んでおきたい貴重な資料です。AV史を語る上ではこの『10年史』と『20年史』は必ず押さえておきたいところですね。



藤木TDC『アダルトメディア革命史』幻冬舎 2009年発行)
藤木TDC『アダルトビデオ最尖端』コアマガジン 2011年発行 現在は『ニッポンAV最尖端』として文春文庫化)
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「協力」という形でクレジットさせていただいた藤木TDC先輩のこの二冊は、情報の濃密さが圧倒的です。藤木さんの仕事を見る度に、いつも「ああ、おれはまだまだ甘いな」と反省してしまうほどです。AVの歴史について書いた本としては、この二冊は最も重要なのではないかと思っております。
『革命史』ではテクノロジーの進化がAVにもたらした変化、『最尖端』では日本のAVの特異性について書かれています。


水道橋博士水道橋博士異常な愛情』(青心社 1995年発行)
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サブタイトルは「または私は如何にして心配するのを止めて風俗とAVを愛するようになったか。」。現在はすっかり健康な人になってしまった(笑)浅草キッド水道橋博士がエロの冒険家だった時代の著書です。1992年から1995年にかけて「熱烈投稿」に連載していた「チンチン日記」をまとめたもので、「痴女の誕生」でも重要な役割を果たした南智子さんのプレイ体験記は必読です(巻末の南智子浅草キッドの対談も素晴らしい)。ここで描かれる博士の風俗へのハマりっぷりはすごいんですが、この時期の風俗界はそれも無理はないほどに先鋭的でエキサイティングだったのです。

『大人限定 男の娘のヒミツ』マイウェイ出版 2015年発行)
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来栖美憂氏による男の娘のメディア史と、しのざき嶺氏の名作マンガ「ブルーヘブン」の再録を中心にしたムック。やはり圧巻は日本書紀から現代に至るまでの「男の娘」史です。マンガやゲーム、アニメなどに登場する男の娘たちの変遷を詳細に紹介してくれます。個人的にはあまり得意ではなかった分野なので、この本は本当に参考になりました。



一日店長やります!

おかげさまで「痴女の誕生」、順調な売れ行きのようです。この調子で、どーんと重版を期待…。

さて、今週の金曜日20時から、東中野BARバレンタインで久しぶりに一日店長やります。
BGMは、もちろん80sニューウェーブオンリーですよ。

チャージ(ワンドリンク+おつまみ付)1000円と大変お安いお店であります。ぜひ遊びに来て下さい。一緒に飲んだり話したりしましょう。

「痴女の誕生」も物販しますよ。なんならチェキも撮りますよ!(笑)

BARバレンタイン
中野区東中野4-2-1 帆刈ビル3F
 JR東中野駅から徒歩44秒(東口北側)
 大江戸線東中野駅から徒歩3分
03-5330-8336

新刊「痴女の誕生 アダルトメディアは女性をどう描いてきたのか」(太田出版)が発売になります

 京王駅弁大会以降、ずいぶん更新サボってしまいました。すいません。

 久しぶりに本が出ます。タイトルは「痴女の誕生 アダルトメディアは女性をどう描いてきたのか」太田出版)です。
 書き下ろしの単行本としては「エロの敵 今、アダルトメディアに起こりつつあること」翔泳社)が2006年だから、実に10年ぶりですよ。「エロの敵」は雨宮まみとの共著だから、単独の単行本とすると、2004年の「日本縦断フーゾクの旅」(二見書房)以来ということになりますね。いや、ホントに久しぶりだ。
https://www.instagram.com/p/BDPsmFPjW12/
 しかも初のハードカバー本ですよ。鈴木成一さんによる大変クールな装丁。内容もふさわしく、大変マジメな本です。ええ、例え書き出しが、

 愛らしい美少女が、自ら性器を押し開き、桃色の粘膜をむき出しにして、男に見せつけ、あどけなくも淫らな声で叫ぶ。
「おまんこ、すごく感じちゃうの」
「おまんこ、ぐちゃぐちゃにして」
 左右の足の裏で男のペニスを挟んで上下にしごく、いわゆる足コキプレイをしながら、股間の部分がぱっくり開いたパンティから、性器を剥き出しにして無邪気に叫ぶ。
「くぱぁ~!」

だとしても!

 タイトルは「痴女」となっていますが、本書は「美少女」「熟女」「素人」「痴女」「ニューハーフ・女装」の5つのジャンルの誕生と発展の歴史を追うことで、アダルトメディアの中で、女性がどう描かれてきたのかを検証するという内容になっています。
 そう書くと、堅苦しいですね。まぁ、ようするに、例えばAVでいうところの「痴女」のスタイルは、誰がどんなふうに作りだし、どう変化してきたか、という話なんです。熟女・人妻にしても、現在はアダルトメディアの中でも最も大きなジャンルとなっているわけですが、80年代までのAVでは、熟女・人妻物というのは、ほとんど存在してなかったんです(でも成人映画など70年代までのアダルトメディアでは割りとメジャーだった)、それが90年代には、ちょっとマニアックなジャンルとして一部で支持され、00年代になって一気に花咲いた。さらに10年代には、細分化と拡大が進んでいった、というように、歴史を追っていくと実に興味深いんですね。
 アダルトメディアで描かれる女性像というのは、男性の性的欲求を写しだしたものなので、その女性像の変化を追っていくと、男性の性の好みの変化もわかる、と。

 結局、まるまる一年かかってしまいました。19歳でアイドル雑誌の編集部に入ってAV記事を書くようになってから現在まで29年に渡る僕のキャリアを総括するつもりで書きました。巻末には29ページに渡るアダルトメディア年表も付録で付けました。「エロの敵」の時にも付けましたが、グッとバージョンアップしてますよ。

 そして高橋源一郎さんに推薦文をいただきました! ちょっと紹介させていただきますね。

アニメやマンガや文学や美術も大切だ。
だが、アダルトヴィデオの歴史を知らなければ
この国の文化はほんとうにはわからない。
そのことを、この本で証明してみせた
安田里央に文化勲章を! 
教科書にして学校で教えてもいいよね


太田出版から3月31日に発売です。定価1600円(税別)。
どうかよろしくお願いします。

2016年京王駅弁大会 個人的ベスト3

 ちょっと時間があいてしまいましたが、今年の京王駅弁大会のまとめをしておきたいと思います。
 後半、風邪をひいてしまったため、ラストスパートがかけられず、食べた駅弁は全部で15個と大分少なめでした。でも、まぁ、目をつけていた駅弁は概ね食べられたかな。

のどぐろと香箱蟹弁当(1600円/石川県/B-3)
台鉄パイコー弁当 記念ステンレス容器・巾着袋付(2200円/台湾 台北駅/C-3)
山海三昧(1296円/大分県/A-0)
海苔のりべん(900円/福島県/B-6)
から揚げ鶏めし弁当(650円/秋田県/A-3)
ながさき鯨すき弁当(1296円/長崎県/A-5)
滊車辨當(450円/栃木県/D-1)
ほっかぶり寿司三品盛り(1280円/北海道/B-6)
さなえばっちゃんのおこわ弁当(1280円/岩手県/D-6)
北さつま牛・鹿児島黒豚贅沢すきやき重(1280円/鹿児島県/A-6)
甲州かつサンド(鶏)(680円/山梨県/B-6)
三味牛肉どまん中(1300円/山形県/B-3)
ぶりかまめし 吹雪(1200円/富山県/B-4)
ひつまぶし巻(1000円/愛知県/A-0)
米沢牛いも煮弁当(1350円/山形県/A-0)

海鮮系は初日に食べた「のどぐろと香箱蟹弁当」だけで、あとは割りと地味なところを狙って行った感じですね。実際、今年は地味弁がよかったという印象があります。

では個人的なベスト3を発表させていただきます。

第三位:米沢牛いも煮弁当
https://www.instagram.com/p/BAtHr6ejW-A/
あっさりな味付けで米沢牛の旨さがしっかりと味わえました。ねっとりとした里芋も素晴らしい。

第二位:海苔のりべん
https://www.instagram.com/p/BATaY8mjW40/
一見するとオーソドックスなのり弁。それで900円は割高では? と思いましたが、のり弁でもひとつひとつをきっちりと作ればこんなに美味しいのだと驚かされました。特におかか、昆布、海苔だけで満足できちゃうご飯部分の美味しさ。これぞ究極ののり弁!

第一位:山海三昧
https://www.instagram.com/p/BAQyTxkDW9T/
大会二日目にこれを食べた時から「今年の一位は決まったな」と思いました。焼き鯖、海老、鯛という海の幸に加え、湯布院牛のあぶり、椎茸のバター焼き、鶏天という山の幸によるお寿司。どんな味だろうというワクワク感と、その期待に応える旨さ。これで日本酒いきたかったなー。

次点としては、650円でここまで美味しい駅弁が作れるのだという驚きを感じさせてくれたから揚げ鶏めし弁当を。ほっかぶりさなえばっちゃんのおこわ弁当は、もう殿堂入りです。

体調不良(あと天候不良も)がホントに残念でしたが、今年もいい大会でした。ではまた来年!

滊車辨當(450円/栃木県/D-1)

 今年のチラシを手にした時から、ずっと気になってしかたなかったのが、この滊車辨當。大会最安値の450円という値段もさることながら、チラシの写真で見る限り竹の皮で包まれたおにぎりが二個、以上。その間にチラリとお新香が見える? おにぎりも、海苔は巻いておらず、ごま塩をかけただけ。もしかして、中に具も入ってなかったりする?
 と、こちらの想像力を刺激しまくるその佇まい。しかも、チラシではふたコマ分のスペースを使って大きく掲載。つまりこれは京王も推しているということ。いったいこの駅弁は何なんだろう……?

 というわけで、駅弁大会仲間の間でも話題沸騰。大会前のチラシ飲みの時も半分くらいはこの弁当の話をしていたような気がします。そこで「ネタバレ禁止」という声も上がりました。中身に何が入っているか、など、ネタバレしてしまうと、面白みがなくなるからです。初のネタバレ禁止弁! ということで、このBlogでも、レビューの公表を控えていたわけです。
 しかも大会が始まると、この駅弁、あっという間に売り切れてしまうのです。幻の駅弁。もしかすると、これはとんでもない名弁なのではないか。期待と妄想が膨らんでいきます。
 大会6日目にして、ようやくゲット! 11時過ぎなのに売り場にたくさん積まれているじゃないですか。これは販売量を増やしたのかな? とにもかくにも、購入したわけですが、12時半にはもう売り切れてたらしいです。
https://www.instagram.com/p/BAbKnMiDW20/

 さて、それでは食べてみましょう。いやね、おにぎり二つですから、物足りなくなることは必須。だから別にもう一個駅弁買おうか、あるいは「うまいもの」でおかずを買っておくか。ながさき鯨カツ弁当の鯨カツを一枚バラ売りで買うのもいいかも……なんて考えたんですが、やはりここは、これだけで食べてみて、その満足度を図るべきだと思いまして、控えました。仕事場に買って帰って食べる時は、いつもインスタント味噌汁をつけるんですが、今回はそれも止めてお茶だけにしました。この駅弁だけで勝負! したかったのです。

 二枚重ねられた竹の皮を開くと、おお、おにぎりがゴロンと二個、ラップにくるまれています。そしてその横には黄色いタクアンが二切れ、以上。なんという潔さ。正式名称は「駅弁発祥の地 滊車辨當」というのですから、これは元祖駅弁の形なのでしょう。これこそが駅弁の原点なのです。豪華なおかずに頼る駅弁を嘲笑うかのようなシンプルな力強さ。お前にとって、駅弁とは何なのかを問いかけてくる、そんな駅弁ではないでしょうか。

 おにぎりにガブリと食いつきます……。固い。冷えたご飯がゴワゴワしています。かなり大ぶりでしっかり握られています。二口目でようやく中の具に到達。梅干しです。ああ、やはり梅干しか。しかし、梅干しの酸味と塩っぱさに出会った時に、なんと美味なことよ。というか、これはもう梅干しが頼り。だって、ご飯が美味しくないんだもん(笑)。
 もうひとつのおにぎりも、中身は梅干し。二切れのタクアンがこんなに嬉しかったことはないですね。梅干しうめぇ、たくあんうめぇ。……うん、駅弁におかずは必要だな……。食べではあるので、とりあえずお腹はいっぱいになるんですけどね。

 というわけで、ううむ。この大会では450円は破格の安さですが、コンビニで100円のおにぎり二個買った方が、安くて美味しいよな、というのが正直なところですな。いや、しかし、それは駅弁に関しては禁句。そういう意味でも、お前にとって、駅弁とは何なのかと問いかけられるわけです。そういうコストパフォーマンスでお前は駅弁を食っているのかと。

 でも、まぁ、食べる瞬間まで、すごく楽しませてくれたので、文句はないです。むしろ、ありがとう、滊車辨當! と言いたい気持ちです。これを食べたことで、自分は駅弁者として、ひとつステップを上がった気がします。いや、次回また来ても、たぶんもう買わないけど(笑)。

米沢牛いも煮弁当(1350円/山形県/A-0)

さて、今年の「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」も本日6時で終了。最後にどの駅弁で〆るかというのは、毎年悩むところであります。
 色々考えた末に僕が選んだのは山形県の「米沢牛いも煮弁当」。実は数日前から風邪をひいてしまって、体調があまりよろしくない。魚介系はちょっと食べる気がしない。あんまりボリュームがあるものも……と消去法で浮かんできたのがこの「いも煮弁当」だったんですね。駅弁仲間があんまり美味しかったので二個目を購入したというのを聞いて気になってはいたのです。
 山形のソウルフードいも煮を弁当にした、といっても、汁気はないのであっさり目の牛丼という感じですね。里芋はもちろん、筍、ネギ、飾り人参、こんにゃくなどが、いも煮感を盛り上げていますが。
https://www.instagram.com/p/BAtHr6ejW-A/
 まずは肉をぱくり。なに、これ、美味しい。あっさり目の味付けな分、肉の旨さがズンと来ますね。これが米沢牛の実力か! 今年も肉弁当はずいぶん食べましたけど、ナンバーワンかも。
 そして、ねっとりとした里芋もまたいい味出してますね。いも煮と名乗るだけのことはあります。
 というわけで、いも煮というよりも、あっさりすき焼き丼っぽい感はありますが、これは素晴らしい。牛肉好きなら、ぜひ。
 ただ、1350円というのは、ちょっと割高感があるかなぁ。ちゃんとした米沢牛使うとこれくらいの値段になっちゃうんでしょうけど……。

ぶりかまめし 吹雪(1200円/富山県/B-4)

 初めて京王駅弁大会に行く人に一弁勧めるという時は、僕はいつも富山の「ぶりかまめし」にしています。柔らかく煮こまれたぶりかまの味わいとボリューム、そしてそれを受け止めるワサビ酢飯の美味しさ。誰にでも満足してもらえる駅弁だと思うのですよ。魚介好きはもちろん、肉好きの人だって、この食べごたえは十分に満足してもらえます。

 というわけで、毎年リピート必須なぶりかまめしですが、今年はなんと新作が登場。その名も「ぶりかまめし吹雪」。
 なんと蟹が加えられているというじゃないですか。さらに薄切り蕪の酢漬けもプラス。それで「吹雪」というわけですか
 駅弁大会のブースでは、通常のぶりかまめしは実演なのですが、こちらの吹雪は輸送ということで、少し出遅れると売り切れてしまったりします。なので、終了日一日前というギリギリになってようやく入手しました。
https://www.instagram.com/p/BAqqHOcDW5C/
 さて、ぶりかまめし吹雪。どーんとボリュームあるぶりかまがご飯の上を覆い尽くしているのは通常どおり。しかし、通常版の白えびとワカメ、ガリのかわりに、に薄切り蕪の酢漬けと、そしてほぐした蟹の身がご飯の上にまぶされています。ご飯はワサビ酢飯ではなくて、通常の酢飯になっていますね。
 柔らかなぶりかまの食感と蕪のサクサクとした歯ごたえの対比がなんともいいですね。。蕪の歯ごたえで、雪の上を歩く時の感覚を表現しているとか。というと、これはむしろ蟹よりも蕪が重要なのかもしれない。実際、蟹はいまひとつ存在感がないかも。いや、もう、蟹ってだけで嬉しいもんなんですけどね。

 これはもう好みの問題になっちゃうと思うんですけど、個人的にはぶりかまの甘辛い味をさっぱりさせてくれるワサビご飯の方が合うような気がするので、通常版に軍配があがるかなぁ。蕪のサクサク感も捨てがたいんですが。
 いずれにせよ、こちらの吹雪も、誰にオススメしても間違いない名弁だと思いますね。

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